2017年1月8日日曜日

スズキ・スイフト 「豪華なフルラインナップで何を目指す!?」

  年末のギリギリになってスイフトのフルモデルチェンジが発表されました。「稀代の名車」として間違いなく歴史に残る存在の先代スイフト(3代目)の退場は名残惜しい限りです。5年半で累計500万台をアメリカ・中国でほとんど数字を出していない中で達成したのはとても偉大な記録だと思います。1.6L自然吸気を積んだスイフト・スポーツはドイツの雑誌でもクラス最強のハンドリングマシンとして非常に高く評価されていました。

  そんな偉大な先代の後を受けての4代目に対しては否応無しに辛口になっちゃいますけども、報道に使われた写真からしてあまり見栄えがしないなー・・・。一目見て統一感を欠いている印象の雑味のあるデザインは、最近のスズキ車によく見られるデザイナーが「仕事し過ぎ」な難解路線ですが、今回はややピン惚けしていて、ちょっとケチを付けたくもなります。デミオやアクアの整い過ぎていて「つるつる」な感じが苦手な人には、かなり好意的に受け止められるのかもしれません。

  今回のフルモデルチェンジでは。一気にHVとガソリンターボが追加されて、これまでの「走り」一点突破なイメージからの脱却が意図されているようです。先に登場したインド製造のバレーノにも使われた、ガソリンターボ&ステップ6ATを配備した「巡航型」のRStは、これまでの日本生産車には無かった趣向です。VWポロなど欧州Bセグの典型的な設計を取り入れたといえばそれまでなんですけども、日本の自動車産業の中でもとりわけ「粋」を見せつけている「横置きステップAT」。このアイシンAW製ミッションのおかげでMINIもBMWも「いいクルマ感」が出てます。

  「そもそもスズキなんて眼中に無い!!」・・・ウチの年老いた母親もそんなこと言ってますけどねー。なんというか・・・バブルの価値観がまだまだ幅を利かせていますよー。マツダといえばロータリーで、GT-Rは500万円くらいで買えると思っているオッサン多いことに呆れますね。

  三代目スイフトは度々ブログで絶賛してきましたが、そのつどフランス車だかドイツ車だかに乗っているオッサンが勘違いコメントを残してくれるんですよね。そもそもスイフトの価値を理解できない人に、VWとかプジョーとか完全に「猫に小判」以外の何者でもないだろって思いますから、そういう人々は失礼ですが適当にあしらっています。そもそもスズキの価値が解って無いからVW、プジョー、MINIをわざわざ買うんでしょうけどね・・・。同じ日にクーパーSとスイスポを運転したことがありますが、贔屓眼とか無しでもまあスイスポの圧勝ですわ。遠隔操作しているようなクーパーSのアクセルフィールはとりあえず論外ではありますけど・・・。

  かつては高品質で知られた三菱やVWの威光は、今ではモラルの欠如した経営人にの手によって地に堕ちましたし、これからの時代はスバルだ!マツダだ!といった意味不明な声も聞かれますけども、スバルにEJを越えたエンジンはもう期待できないでしょうし、マツダにもMZRを越えるフィールのエンジンは二度と戻ってこない・・・。世間は一体何にワクワクしてんだろ?いいクルマが欲しい人にとってはかなり「末期的」な状況です。

  日本車のエンジンがやっぱり世界最高だ!!そう胸を張って言える数少ないエンジンの一つが、このスイフトに使われている1.2L直4自然吸気の「K12C」なのですが、新型になって車重840kgとトール屋根の軽自動車並みにまで軽量化されたMTモデルはどんな走りをするのでしょうか?欧州仕様のようにアシを固めると、ハネてトラクションに難有りとなる可能性もありそうですけどね。

  「速い・安い・旨い」って素晴らしいことだと思うんですけど、クルマに関しては「安い」を嫌う人々もまだまだ多いんですよね。そのくせマツダやホンダには「高過ぎる」とか言うくせに・・・。スイフトとスイスポが世界に訴えてきたコアが、4代目のスペックを見ると、さらに高いレベルへと深化しています。マツダがフィアットの支援によって仕上げたNDロードスターを開発する際に掲げた目標に近いくらいに「純化」されたロードゴーイングカーの理想型を、汎用Bセグで実現してしまっている!!と断言してもいいんじゃないでしょうか!?

  速い・安い・旨いのB級グルメ!!というのはスズキもかなり意識しているらしく、グレード&装備から伺えるスズキの隠れた主張は「スイフトはあくまでB級グルメなのでデートカーとしては使えません!!」。まあよくよく考えればその通りなんですけどねー。最新のスズキ車の売りといえば、運転席&助手席に装備されるシートヒーター。これは軽自動車にも標準装備されるくらいなので、スイフトにも当然に!!と思いきや、「巡航スペシャル」のRStを始め、NAエンジンで思う存分にMT走行が愉しめる「走り」のRSも、助手席ヒーターはカットされています。しかもオプションでも付かない徹底ぶり。デート用途ならイグニスかエスクードにしておけ!!ってことなんでしょうか!?

  助手席ヒーターが標準で付くのはAWDモデルのみで、NAエンジン車(XL)とHVに設定があるのですが、いずれもCVTのみの設定です。マイルドHVならばホンダCR-ZみたいなMTがあってもいいなーと思うんですけどね。クルマ好きがスイフトに注目するのは、愛着を持って使い込める3ペダルのグレードの存在だと思うんですけども、軽量ボデーを変速ショック無しで操つることができる、神業シフト職人なんてもはや昔の話で、エンストすれすれでドタバタ走る若造に、助手席シートヒーターなんて永遠に不要だ!!ってことなんでしょうね(笑)。

  国内のライバル車といえばマツダ・デミオになるでしょうけども、後輪ディスクブレーキ装備のグレードが一気に増えて、最廉価のXG以外は全てディスクです。ここがデミオに対しての最大のアドバンテージでしょうか。情熱の赤にワンモーションで描けそうなイタリア車的なコミカルさを持つデミオに対して、キャビンスペースの存在感が際立つスイフトはフランス車的なデザイン路線を継続しています。傑作デザインとの呼び声も高いイグニスの後を受けてどんなスイフトになるのか?と思いましたが、予想以上に「普通」「キープコンセプト」でしたね。

  あれこれと好き勝手に書きましたけども、なんだかんだ言って新型スイフトにはスズキの「日本市場を背負って立つ!!」という深い自負を感じます。スズキ以外の全ての日本メーカーがBセグの本質から大きく逸脱したクルマを作って、徹底したセルフプロモーションで売り出している歪な状況を、スズキが変えてみせる!!という意志表示に思えます。見た目で得している(選ばれている)デミオやアクアは、Bセグにディーゼルやフルハイブリッドを無理やり持ち込むことで、意図的に話題性での勝負に持ち込んでいて、トヨタもマツダもそれを承知で「速い・安い・旨い」よりも「希少性・付加価値」を追求した完全なアウトローなBセグですし、ノートe-POWERもその路線をそのまま踏襲して日産が作ったシロモノです。

  そしてそれ以外の国産Bセグであるマーチ、ヴィッツ、パッソ、ミラージュは日本よりも日本メーカー車占有率が高いと言われるASEAN基準で作られた低コスト車です。もちろん日本の交通インフラを支える大切なモデルなんですけども、残念なことにそういった社会常識が全く身に付いていない一部の自動車ライターや輸入車好きな人々に、日本車を批判する格好の材料を与えています(マーチ、ヴィッツ、パッソ、ミラージュを批判する輩はクズ!!)。そしてホンダ・フィットに関してはアクアへの対抗意識によってその立ち位置を大きく左右され個性を失ってしまった「悲劇のクルマ」ですね、次世代はおそらくギミック満載のカルトカーとなって我々を驚かせてくれるのでは?

  意味不明にハイスペックなモデルもあれば、日本やASEANの草の根レベルの生活を支えるリーズナブルなモデルもある・・・そしてその立ち位置があまりにも極端になり過ぎてしまった結果、欧州のWRCで盛り上がる「標準的」なBセグに対抗するクルマがスイフト以外になくなってしまいました。WRC参戦が決まっているトヨタが今後は欧州戦略モデルをTNGAで作ってくる可能性もありますが、それまではこの4代目スイフトが、VWポロ、プジョー208、ルノー・ルーテシア、シトロエンC3、MINI、DS3といった欧州のボリュームゾーンに位置するモデル群を相手にたった1台で対峙することになりそうです。


スイフトを絶賛したら欧州Bセグ乗りが次々出て来た記事へのリンク

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