2016年11月24日木曜日

BMW4シリーズ・グランクーペ 「このクルマにはブランドの魂がある!!」

  BMWが2016年10月よりラインナップの一律値上げを敢行しました。3erに新たに1.5L直3ターボを投入するタイミングで、円安を理由にさりげなく値上げなんですけども、格安の3erの投入とM2の人気によってディーラーはなかなか賑わっているようです。月に数回送られてくるダイレクトメールをたまには開けてみると、軽く100〜200グレードもある価格表に圧倒されます。その数はトヨタより多いかも。

  「BMW買うなら何がいいと思う?」とか聞かれてラインナップをあれこれ思い起こすと、結構いろいろあるよなーと思わず感心います。まずは即座にSUVは全て却下。なかなか売れているという2erツアラーも全グレード無し。とっくに生産終了になったZ4も無し(もう価格表に入ってません!)。5、6、7erはさすがに金額が気まずいので安易には切り出せず。・・・で残るのが1〜4erの「L7」シャシーを使うFR車が残ります。それでもまだ全体の半分近いグレード数が・・。

  そんな消去法で考えるのも楽しいですが、個人的には結論が出ていて「320iグランツーリスモ・Mスポ」「420iグランクーペ・Mスポ」「M240iクーペ(MT車)」そして新たに追加された「M2(MT車)」と「318i・Mスポ」(リムジン/ツーリング)の5台(6台)です。趣味性が高いMTの2erクーペの2車と、コスパと使い勝手に優れる318iMスポ、ファミリーユースに優れるグランツーリスモ、そしてBMWの誇る「全能感」を見事に体現したのが420iグランクーペ・Mスポ。クルマの良し悪しはエンジン(高回転&高出力)、駆動伝達(トルクベクタリング)、ミッション(速い&賢い)、ハンドリング(コーナリング性能)で決まるんだ!!というのは、マツダ、日産、ホンダの熱狂ファンによる戯れ言に過ぎない!!ともの静かに主張している趣き深い1台です。

  この「420iグランクーペ・Mスポ」を、ロードスター、GT-R、NSXといった走りそのものを愉しむためのクルマ=「主体性」で勝負するようなマニアックなクルマと単純比較するのは、全くもってナンセンスです。もちろんBMWにもロードスターを追いかけた「Z4」や、GT-Rに挑む「M4」、NSXと同じ方向性を夢見た「i8」といった「主体性」のクルマはありますけど、どれもマニアック気質全開な日本のスポーツカーの前には、かなり「中途半端」な結果に終わっています。

  心拍数がMAXになるような、過激でエクストリームな走りを求めるなら、とりあえず日本メーカーに期待した方がいいでしょう(日産やホンダに1000〜2000万円払うなんてビックリかもしれないですが)。BMWにも800万円で十分に愉しめる「M2」がラインナップされましたが、スーパースペック的な煮詰めではなく、グランドツアラー的な「ゆとり」のスペックの延長線的なクルマです。エンジンもM3/M4のようなハイチューン&高回転仕様でもないです。

  「BMWの走りでは日本車には勝てない!!」身も蓋も無い言い方ですが、2000年頃ならいざ知らず、今では日本メーカーの実力(技術と資本)は圧倒的で、あまり言いたくはないですが、ポルシェやフェラーリもすでに完全に屈していると言っても過言ではないです。まだまだBMWに期待しているオッサンはたくさんいるようですが、「走り」に関してはあまり多くを期待するのは無理です(やる気もないし)。私は免許を取った頃にはもうすでに日本車がドイツ車を圧倒していた!という世代なので、「別に『走り』で勝てなくてもいいじゃん」というドライな考えなんです。もっともロードスター、GT-R、NSXでドライブを純粋に愉しめるのか?・・・そっちの方がよっぽど疑問です。

  「4erグランクーペ(420i)」はとても穏やかで良い乗り物だと思います。180psの過不足ないエンジンパワー・・・とっても好感が持てます。F30系になって3erは確実に乗り心地が良くなりましたが、ストロークし過ぎるアシは大袈裟に表現すると「トランポリン」化しています。なんだろうこの落ち着かない感触は・・・ク◯ウンに近い乗り味なの? 基本性能はそれほど悪くはないけど、残念ながら「ハマる要素」が見当たらないです(そもそも探すものでもないですし)。ゴルフGTIの素直でダイナミックな走りの方が「うまく付き合えそう」なフィールの良さを感じます(もちろん乗り出し500万円の320iと400万円のゴルフという前提もかなり影響してますが・・・)。

  ちょっと残念なF30系3erの弱点を分析して、徹底的に修正してきた!?かのように、後から追加された4erはいくらかスッキリしたハンドリングと、だいぶフラットになった乗り味になっていて、これならほぼ不満はないです。エンジンのスペックなどは変わらないはずなのに、ここまで乗り味が変わるか?ってくらいにドラスティックなほどの変化(良化)があります。ミッションも全く同じで発進時のギクシャクも3erのままなのに・・・。しかしアクセルのレスポンスはだいぶ違う印象が・・・いやこれはもはや別物!!おかげでエンジンもなんだかツキが良いような(錯覚が)。しかし中速域を経過するとモタれ気味なターボエンジンの特性もそのまま・・・このトルクが「萎える」仕様と5年も付き合えるかが個人的には一番の悩みどころです。

  ハンドリングもよくよく吟味すると「ガリガリくん」です。緩斜面(登り)の中速コーナーではVWゴルフ、スバルインプレッサみたいな、ガサガサした質感の悪さがかなりハッキリ感じとれます。L7シャシーを使う全てのクルマに言えることですが、BMWがスパっと割り切った部分がここですね。油圧の時代だったらそれほど気にならないですけども、電制の時代となった今では、ここでクルマの「格」が決まってしまうくらいに特徴的です(現行のアテンザやアコードもこの辺の手触りがどうも納得できん!!)。例えばレクサスISなどは、トヨタが徹底的に電制ステアリングを煮詰めてきたこともあって、まあ見事なものです。

  徹底して相対的な視点でBMW車を見ると、下手すれば日本市場で最低くらいの評価になるかもしれません。決してBMWがひどいわけではなくて、競合車を送り込んでくるグループはいずれも大資本で、圧倒的な物量作戦で「高級車=高スペック」というスタンスに固執しているからです。レクサス、日産、ホンダ、アウディ、メルセデスのライバル車は好き嫌いはあれどもやはり「飛び道具」満載です。さらにBMWが新しい7erで追求したような「ソフト」のテンコ盛りです。それに対してBMWは5〜7erはいわゆるプレミアム路線ですが、1〜4erには全く別のキャラクターを意図的に与えているように感じるのです。

  「ゴルフGTIのように気ままに使い倒しちゃってください!!」メーカーがこういう姿勢でクルマを作れば、走らせるのが好きなユーザーは大抵満足しますよ。何が言いたいかというと、走行性能を尖兵化させた「スペック」ではなく、「使い道」であり「アクティビティの質」こそがミドルサイズのプライベートカーに求められる本質じゃないかと思うのです。乗り手は神経を張り巡らし(財布をすり減らし)、クルマはトルクベクタリングのモニターをしながら駆けるNSXより、素朴で道具感満載の420iを自分の腕で「表情豊かに」走らせる方がよっぽど幸せだ!!って人の方が実際は多いと思うんですよね。

  


  

  

  

  

2016年11月1日火曜日

トヨタCH-R 「クルマ選びのマインドが崩壊!?」

  2012〜2013年にかけては、比較的に幅広いブランドのクルマが日本市場で売れた時期でした。今では目も当てられない三菱も2代目アウトランダーがPHEVとして登場しスマッシュヒットしていました。7代目ゴルフに注目が集まるなかで、ライバルメーカーも奮闘しメルセデスAクラスやボルボV40も予想以上の売り上げを記録しました。マツダは不死鳥のように甦り、スバルは真っ先に自動ブレーキという金鉱を掘り当ててました。そしてトヨタは86を見事にヒットさせています。

  そして2017〜2018年にかけては一大乗り換えキャンペーンに突入します。5年で乗り換えるなんて贅沢な気がしますけども、今では延長の新車保証や残価設定ローンも5年が定番になってますから、それなりの数のオーナーが乗り換えをするのは確かだと思われます。それを待ち構えるかのようにスバル・新型インプレッサ、ホンダ・シビックの日本復活?、マツダ・ロードスターRF、BMW・直3になった3er「318i」、VWは2Lターボの本格仕様のパサート。なかなかの自信作が出揃ってきた印象があります。そんな中でトヨタの大本命はC−HRというCセグのクロスオーバー。ライバル各社ではとっくに出そろった感がある「コンパクトSUV」に満を持して最大手が乗りだします。

  話題になっているのは「ザックス製ダンパー」の採用・・・いよいよトヨタもサプライヤーのネームバリューで勝負するようになったのか〜。 それともドイツのサプライヤーをクレジットに入れておけば、無闇やたらと乗り心地を叩かれたりすることはないだろう!というカーメディアを軽くあしらう高等戦術かも? (早くもK沢さんが喰いついてました)。

  現行のスバルWRXがデビューしてグレードによってビルシュタイン製とKYB製が選べるようになりましたけど、たしかにこのクルマの乗り心地に関してカーメディアは何も苦言を言わなかったような・・・。実際にWRX・S4の乗り味はビルもKYBのどちらを選んだところでお世辞にも高級な乗り味ではなかったのですが、カーメディアは封殺していました。特に乗り心地を考えると上級グレードの「ビルシュタイン」にわざわざ追加料金を出す気はさらさら起きません。それでもBMWのE90系Mスポほど突き上げが酷いということではないですけど。

  最近のトヨタはそのポテンシャルを十分に発揮していると言うべきか、何を作らせても予想より良い仕上がりであることが多いです。新開発の直4ターボ(1.2Lと2.0L)は絶妙なところに着地しましたし、新プラットフォームのTNGAも評判は上々でカーメディアをほぼ沈黙させるという快挙を達成しました。何も言えないカーメディアがダメダメなだけかもしれないです。トヨタが本気出せばザックスなんて不要なんじゃないですかね。ちなみにザックスはVWグループが採用して高い評価を得ていますが、他のメーカーでも質の良いダンパーはいくらでもありますし・・・。

  トヨタにとってはいつものことですけども、C-HRを設計するにあたって、他メーカーのSUVを徹底的に分解して、そこから何を読みとったきたのか? これだけ全世界から広く受容されるようになったコンパクトSUVのジューク、ヴェゼル、CX3、XV、X1、2008、キャプチャーなどに対しても相当レベルの決定的な弱点を見つけているはずです。トヨタがBMW・X1と同じものを作ったらカーメディアからどれだけ酷評されるのか(笑)。などなど。

  SUVは「趣味のクルマ」なのか?それとも「国民車」なのか? 「趣味のクルマ」といえばまずは専用設計のスポーツカー(86、ロードスター、ポルシェ911/718など)が思いつきますが、高性能改造車(アウディRS5、BMW・M4、GT-Rなど)であったり、高級セダンや、ラダーフレームを使った本格SUVなども、一般的な用途で使われるクルマとは立ち位置が違っていて、今では専ら好きな人が買うタイプのクルマになっています。かつてのミニバンブームのような賑わいを見せているSUVは果たして「趣味車」と言えるのか?

  スズキが少し前に発売した「イグニス」は超軽量設計(850kg)など、旧車好きには堪らない要素を持っていて、1.2L自然吸気(スズキの誇る名エンジン)に5kg・mほどトルクを増幅できるモーターを積んだHVという気の利いた走り優先のパッケージは「ホットハッチ」として需要されるはずでしたが、価格があまりにリーズナブル過ぎたのか、それともスポーティ派によるハイブリッドへの偏見がまだまだ根強いのか、あるいはCVTが残念なのか?なかなか思うような結果は出ていません。「5MT」を積んでくれば、立派に「趣味のクルマ」なんですけども・・・。

  6MTを用意する「マツダCX3」や、190psのターボを用意する「日産ジューク」には、マツダや日産のスポーツカーを愛するファンへ向けた意識の高さを感じます。この2台は日本でも発売されるようになった「top gear」を見ていても欧州の「趣味的」カーメディア人からの評価は非常に高いです。欧州ではGT-Rのユニットを積んだ「ジュークR」が限定販売されたり、「CX3にはロードスターの血脈を感じる!」と英国人ライターは絶賛していました。

  欧州で評価が高い・・・だから何なんだ? 「ヴェゼルHV」や「スバルXV-HV」に関してもアクセルを踏んで楽しくなる仕掛けはあって、コンパクトで200万円そこそこの価格なのに、アクセルオンすれば単なる「国民車」とは別次元の加速性能が発揮され、その「体感」はゴルフGTI(400万円)やメルセデスA250シュボルト(500万円)の「S」モードでアクセル全開したくらいの高揚感は十分です。いずれもディーゼル、ターボ、ハイブリッドによるトルク増幅を使った子ども騙しと言えるかもしれませんが、そもそも日本に入ってきている欧州車のほとんどがこの手法を使っています。ただし出足の軽快さこそあるものの、中高速の加速になると、2Lエンジンを搭載したGTIやA250のシャープな伸びには及びませんけど・・・。

  果たしてトヨタは「スポーティSUVのアヤ」を今回はC-HRでどのように解釈してきたのでしょうか?これがトヨタCH-Rの本質的な評価基準になると思います。トヨタの近年のヒット作はアルファードやハリアーなど、「高級ピープルムーバー」路線が多く、その成功に引っ張られ過ぎると案外「あれれ?」なクルマになったりするんじゃないか?という危惧もあります。ただし「トヨタ86」あるいは「レクサスRC-F」など、世界基準(ワールドクラス)のスポーツカーやGTカーを作ってきた見識が発揮されれば、SUVに対しての警戒感をまだ持っている保守的なクルマ好きに、SUVとは何か?への新たなる答えを用意してくれるかもしれません。

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