2015年11月20日金曜日

フォード・マスタング 「伝統か?実用か?それとも・・・」

  国産車シェアが世界でも異例の9割を誇る日本市場・・・だから「もっと輸入車が売れなければおかしい!」みたいなことを言ってくる自動車評論家がたまにおられます。大手マスコミが発信するネットメディアの記事でも、「ガラパゴス」とかこれに近いようなことが盛んに書かれてますけども、じゃあアメリカでは国内販売の30~50%が輸入車なのか?というとそんなことはありません。日本メーカーの直近のアメリカでの販売で月間10万台以上を販売しているのはトヨタ、ホンダ、日産の3グループですが、現地生産の比率はトヨタ75%、日産80%、ホンダ99.99%です。米国ビッグ3の台数を合わせると・・・アメリカにおけるアメリカ生産車の割合はやはり9割程度になります。

  もちろんアメリカはNAFTAを早くから結んでいて、カナダやメキシコとの経済の連携を強めているわけですから、まだTPPが成立しない「ボッチ」の日本とは状況が違って生産拠点がNAFTA全域に広がっていますから、NAFTA内となると日本を上回る割合になるかもしれません。同じようにEU域内を一つの経済圏と考えると、ドイツ、イギリス、フランス、イタリアといった主要市場におけるEU生産車の販売の割合も9割を越えます。要するに「日本だけが9割」という主張は残念ながら根本的に間違っているのです。あくまで国内メーカーが占める割合が9割です。つまりバブル期以降で日本に生産拠点を構えたり委託したりする海外メーカーが「ほとんど」無かったよ!という話です(割と最近までシトロエンのSUVが三菱のOEMで倉敷で作っていた!なんて例もありますが・・・)。

  で?何でマスタングなの? って話なんですが、遥か昔にフォードはマツダにマスタングを作らせようと意図したことがありました。結局はフォード内部の反対があったようで、完成していたマスタング候補車は「プローブ」という名でアメリカでも日本でもフォードブランドで販売されました。このクルマは実際はミシガン州で製造されたようですが、もしこの時に「マスタングの設計をマツダに任せる!」という決断が下っていたなら、その後のマスタングの開発拠点は広島に移っていたかもしれません。・・・そんな「たら、れば」な話をしていても仕方ないですけども、もし海外メーカーが今後わざわざ生産拠点を日本に設けるとするならば、マスタングのような趣味性の高いクルマの製造を委託するのであればメリットがあるのでは?と思います。

  フィアットから新しくマツダ・ロードスターの設計をそのまま使ったライトウエイトスポーツカーが登場するようですが、この日本製フィアットは世界からどういう評価を受けるのでしょうか。最近のフィアットグループの傘下ブランドでは、日本市場をよく研究していて、なかなか買いやすい価格設定で注目を集めることが多いです。このフィアット版ロードスターは日本で作りますから当然に他のフィアット車よりも輸送費用も低減されますし、マツダが生産するのだからマツダの販売に遠慮する必要もないですので、興味深い価格が設定されて、予想以上に日本で売れる?かもしれません。余談ですがアルファロメオ4Cの価格にはイタリアからの搬送に基づく費用が見積もりにハッキリと項目が付けられて盛り込まれます(約10万円)。単にアルファロメオは全てイタリア製です!とアピールするのが狙いでしょうけど。

  どう考えても「ロードスター」と「マスタング」は全然別のクルマですから、ロードスターの例がそのままマスタングに通用しないかもしれません。しかし今年から販売が始まっている新型マスタングに乗ってみて感じたことですが、レクサスやBMWに本気で対抗しようと言うのなら、出来ることならどこかの日本メーカー(もしくはドイツメーカー)と組んだ方がいいのでは?と思いました。先代同様にスタイリングは素晴らしいですし、マツダとの合弁でつくったアメリカの拠点で製造しているので、マツダの伝統芸とも言える塗装技術が見事に注入されています。

  エクステリアに対して内装はちょっと・・・、確かに先代よりも質感は相当に良くなっていますけども、欧州の伝統モデルが大切にしているインパネのアナログ感をこれでもか?というくらいに徹底排除したデザイン。このボタン多過ぎなインターフェースはどうなの???これがアメリカで流行の「メカ=インパネ」です(レクサス、インフィニティなど日本ブランドが流行らせたという説も)。

  肝心の走りですが、開発期間が足りなかったという情報もありますけど、後輪を独立懸架にしたことの影響が素人でも十分にわかるほど・・・まあ言ってしまえば違和感あります。ちょっとラフなハンドリングをすると横Gが予想以上に「グギャ・・・」と腹筋あたりに襲ってきます。BMW乗りと一緒に試乗に行ったのですけども、彼の「らしい」運転で左ハンドル車の助手席という普段は運転している位置で感じたヤンチャな挙動は確かに他のクルマと違っていて、目隠ししてもマスタングだってわかるくらいです!この揺さぶりを良しとするならば、確かに走り好きを一発でノックアウトできるチャームポイントではあります! クーペボディから来る剛性感の高さ、車幅1900mmから予想できる広大なトレッド幅、極太タイヤによるグリップ・・・、これらさまざまな要素が合わさって出来上がった「仮想のトルクハンドルレバー」で、クルマの重心を軸にして車体をキュルキュルと回す感覚に近いかも・・・ちょっと大袈裟?

  ケーニッグセグやブガティといったスーパーカーブランドのクルマの剛性桁違いで、一説によると(市販車で最強レベルの)マクラーレンやレクサスLF-Aのさらに3倍にもなるそうです。そんなクルマがミッドシップの超絶出力で旋回すれば、マスタングで感じるような「キュルキュル感」の比ではないのでしょうけども、500万円で買えるマスタングでこれだけのスリリングなフィールが楽しめるならお買い得だと思います。スポーティさを求めるならこのクルマは相当に高い評価が与えられます。「マスタングはデカいロードスターだ!」・・・なんて大層なことを言ってみても、じゃあ買うならロードスターで良くない?ってことになるだけですけど。

  でもマスタングに注目している人は、おそらく誰一人としてこんなロードスター的な要素なんて期待してないと思うんです。そんなガチ過ぎる走りの性能よりも、流麗なデザインから想像できるラグジュアリーな雰囲気を楽しみたい人が多いと思います(偏見?)。そしてオールドデザインの復刻モデルですから、ミニ、ザ・ビートル、フィアット500といったクルマを可愛くて欲しくなる人とツボはほぼ同じです。そうじゃないと左ハンドル&直4ターボという「謎のスペック」がここまでカルト的な人気を誇る理由がいまいちピンと来ません・・・(フォードもビックリ!なほどデザインだけで売れちゃった?)。

  伝統的なアメリカンスタイルのカーライフをこのクルマで楽しみたい人は、とりあえずアメ車らしいV8モデルの発売を待っているでしょうし、フォードのクルマ作りの先見性を理解して、このクルマが日本市場でもベストバイな存在になりうる「実用車」だと感じている人は、アメ車という発想を無視して、使い勝手がいい右ハンドルの投入を待っているはずです。・・・しかしこのクルマはもはや「キュルキュル」な乗り味ですから、アメリカンスタイルなクルマ(アメ車)の要素はほとんどありません(インパネがアメリカ生まれを主張している?)。またメルセデスやBMWのように日本で広く受け入れられているドイツ車と比べてしまうと、どうも「実用性に潜む心地よさ」が幾分足りないのでは?という気がします(熟成不足だけではいいわけ出来ない「粗雑」さを感じる!)。

  マスタングは今のところは「アメ車」でも「プレミアムクーペ」でもない・・・「デカいロードスター」という特殊なジャンルに属するクルマだと思います。運転していて楽しいですけども、このクルマで5時間はちょっとシンドイか・・・シフトのタイミングで不可思議な横揺れが発生して、落ち着かないのでちょっと不安になる!なんてことはレクサス、インフィニティ、メルセデス、BMWではなかなか考えられない(メルセデスのFFでは・・・)です。これはリンカーン・マスタングではない!フォード・マスタングなんだ!と高らかに宣言して、新しいクルマとして日本市場でブレイクする余地はあるとは思いますけども、日本のアホ評論家にケチョンケチョンにされる前に、テスラモデルSのように、どっかから高性能車が「作れる」連中を連れてきた方がいいかもしれません。

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2015年11月19日木曜日

三菱アウトランダー 「収まるクルマとして定着するか?」

  三菱・アウトランダーPHEVは、最近次々と日本上陸を果たしている欧州車のPHV化の機先を制した形でイギリスなどでは、プラグイン車のベストセラーになっているようです。ヨーロッパで売れた(絶賛された!)日本車というだけで、だいぶ「カッコ良く」見えてしまう度に、悲しい輸入車コンプレックスを自覚しますね。欧州では他にもジュークとエクストレイルの2台の日産車がよく売れていて、三菱&マツダが誇った「欧州販売神話」はだいぶ薄まったものになっているようですが、かの地ではトヨタ/レクサスが苦戦中、ホンダが大幅減に追い込まれていて、日産、マツダ、三菱の「走り」と「デザイン」を兼ね備えた「本格派」?と呼べるクルマが、まだまだ売れるのが欧州市場みたいです(日本に入ってくる安い欧州車はちっとも本格派じゃないですけど・・・)。

  「収まるクルマ」ってのは、ラゲッジが豊富という意味ではなく、乗っていて風格が感じられて落ち着いた雰囲気が出せる「車格」のクルマという意味です。単にデカければいい!というわけではないですけども、一般にデカいクルマの方が自然とそれ相応に「収まる」のは確かです。「グランドチェロキー」「ティアナ」「アルファード」などなど・・・価格は高級車としては比較的手頃なのですが、とりあえずしっかりと「収まって」います。しかしヘビー級のサイズと重量のボデーでは、パワートレーンがショボいと、動かなくなってしまって、ハリボテ感が出ちゃうとダメですね・・・。

  性能と環境のバランスが良くより使い勝手がいいサイズで、しっかりと「収まる」クルマを作れるか? これが今の日本と欧州を制するクルマ作りの最大のポイントになっています。しかしこれは、どんなブランドにとっても至難の技であることは同じで、結局のところ他を圧倒するほどの情熱が注ぎ込まれ、その良さが自然とユーザーに伝わり、さらに新たな流行(ブーム)を牽引するくらいの話題性が要求されます・・・なんだか書いててこっちが恥ずかしくなる形容がずらずらと並んでしまいました。ただこの三菱アウトランダーもまたこの「表現」に相応しいポジションへと登り詰めつつある「選ばれたクルマ」だと思うのです。今回のマイナーチェンジでは、内装に関してかなり思い切って改めたとのことですが、これはおそらくトヨタ・ハリアーを研究してのことでしょうか・・・三菱もこのクルマに手応えを感じているようです。

  このクラス(アウトランダー、ハリアー、エクストレイル、CX5)のSUVは、4車ともにインテリアがセンスよくまとまっていて、上質な空間作りという点では、各ブランドのセダンよりも居住性に優れているのでは?とすら感じます。しかも4車がお互いにシェアを争う!というニュアンスは当事者のメーカーにこそあるでしょうけど、クルマが売れない時代において、新たな需要を生み出している!(買う気にさせている!)ように見えます。プリウスに乗っていた人がいよいよ飽きた、あるいはアクアやフィットの狭さに辟易していた層が乗り換えている姿がなんとなく想像できます。

  いろいろなディーラーで聞く話では、今の時代はクラスが全然違う乗り換えなんて当たり前にあるようです(アルトが売れてメルセデスEを下取りしましたなんて話も)。若い頃にアシがフニャフニャのコンパクトカーに乗っていた人が、お金がいくらか手に入るとスピード出しても安定する高級セダンが欲しくなるように、小さいクルマにウンザリしてデカいクルマを買う時代とも言えます。ディーラーとのつながりもビジネスライクになりつつある御時世ですかrあ、大衆ブランドもプレミアムブランドも関係なく、気に入ったらすぐにクラスを越えてでも乗り換え!ってのが多いのではないかと思います。(HVの有無で別のクラスでも価格は同じなんてザラですし)

  しかし三菱自動車のイメージは一体いつになったら回復するのでしょうか?街中で見かける三菱車はやっぱり現象傾向で、たまに見かけたら三菱系企業にお勤めかな?と漠然と想像してしまう時代がかれこれ10年以上も続いちゃってます。少なくとも私はあまりネガティブな意識はないですし、三菱が本気でイイ車を作ってくれるならば喜んで検討したいと思ってますが、ギャランフォルティス・ラリーアートが廃止され、ランエボが終焉し・・・と少々テンションが下がるニュースが多いのが残念です。元々欧州志向のブランドということもあって、パジェロのガソリン以外はディーゼルもガソリンも4気筒に統一されています。日産と協業で作る軽自動車と、東南アジアで合弁で作っているミラージュを除くと、現行の三菱はSUVとミニバンがそれぞれ大・中・小の3段階というとてもわかりやすいラインナップになっています。(パジェロ、アウトランダー、RVR、デリカD5、D3、D2の6台です)

  「日本市場にCセグはいらねぇ!」とばかりにギャランフォルティスを廃止・・・どうやら日産、ホンダと同じ方針みたいです。たしかに三菱系列の一部上場にお勤めの人にとってはこのクラス(Cセグハッチバック)はあまり魅力を感じないのかも知れません。とりあえずRVR(CX3やヴェゼルサイズのSUV)があれば、ギャランフォルティスの穴は十分に補えるはずです。

  フルサイズのミニバン・「デリカD5」は、アルファードやエルグランドに匹敵する存在感が溢れる個性的なスタイリングで街中でも良く目立ちます(デカいです!)。ミニバンにクリーンディーゼルを使うという非常に画期的なパッケージが採用されているのですけども、マツダのようなディーゼル搭載車の宣伝(ブランディング)はあまりしてこなかったので、今でも知名度はほとんどありません。「D3」はセレナやヴォクシーと同等のミニバンですが、ちょっと冴えないので、これは日産からセレナのOEMに置き換えても良くないか?という気もします。「D2」はホンダとトヨタが凌ぎを削っているプチバンです、D3よりはしっかりしたデザインですので、パジェロユーザー向けのセカンドカーにちょうどいい感じです。・・・とりあえずどのクルマも市場のニーズをしっかり掴んだ良い設計で開発者はしっかり仕事しているのですけど、「評判」を落としたメーカーの運命は過酷です。

  一部上場企業にお勤めのアッパーなサラリーマンの生活!といってもイメージは千差万別ですけど、「身の丈に合った良いクルマ」として選ばれる質感のクルマ(背伸びしてないけど、全然安っぽくもない!)を作るメーカーへと、半ば強制的に歩む運命にあった三菱ですが、見事に少数精鋭で粒ぞろいなラインナップになりました! さすがにそろそろ風向きが変わるのではないか?という気もします。社会インフラとして「ランエボ」やCセグハッチバックはもはや「オワコン」と言い放ち、欧州ブランドも真っ青になるくらいの合理主義を自ら吹かしまくってます! 計算づくなのかわかりませんが、改革の大胆さから来る「最大瞬間風速」はホンダやマツダの勢いをも越えているんじゃないですかね。

  一人のバカなクルマ好きとして今の三菱を見ていると、「ランエボを終わらせちゃうのか〜・・・」という残念な思いだけで、このメーカーを勝手に末期症状だと判断してしまいがちですが、ホンダやマツダよりもストイックに日本市場を研究して、現代人のライフスタイルに適ったラインナップを築いています。「デリカD5」も「アウトランダー」もとてもナチュラルなデザインで好感度高いですし、素直で高級感溢れる佇まいがなんとも目を惹きますね。最近巷に溢れてきている「お手軽」なメルセデスやBMWなんかよりもよっぽど上品なクルマに見えます。例えば「2シリーズグランドツアラー」と「デリカD5」のインテリア・エクステリアなんて比べるまでもないくらいです・・・。

  トヨタが突然にラインナップを厳選して、「ランクル、ハリアー、C-HR(東京MSのコンセプト)、アルファード、ヴォクシー、シエンタ」の6車種だけに絞ったとしたら、・・・あれれ、これは案外誰も困らないのでは? これにあと追加するとしたら、ミラージュに相当する「コンパクト枠」としてアクアを残しておくくらいで十分では? 86はほしいな!・・・スバルで買えばいいじゃん。マークXやクラウンは?・・・もうレクサスでいいじゃん(三菱も日産からシーマとフーガをOEMしてます)。「ヴィッツ」や「bB」はダイハツのキャストとウェイクで代用できるし、軽自動車の規格がちょっと変わればすぐに同等以上のものが作れるはずです(ヴィッツもbBもいまやダイハツ主導で作ってるくらいです)。

  三菱には頑張ってほしいですけども、主力の6車に競合するトヨタ車はどれも強敵ぞろいなので、まだまだイバラの道は続きそうです。それでもトヨタやホンダの若者に迎合したようなクダけたデザインはイヤだ!という人も一定割合はいるでしょうから、堅実な三菱デザインが選ばれる余地はありそうです。なによりトヨタがなかなか普及に本腰が入れられないPHVで先行している「アウトランダーPHEV」は三菱復活の旗印になる可能性を秘めています。何年か後に「ランエボやめて大正解だった!」というカーメディアが仰天するような結論が下される日がやってくるかのかな〜?


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2015年11月18日水曜日

フォード・フォーカス 「躾けのいいクルマとは?」

  298万円に設定された「メルセデスA180」と「BMW118i」という2つのモデルが、名門ブランドのすそ野を広げるために日本に投入されてからしばらく経ちます。やはりどちらもオプションを最小限にしか付けない「プレーン仕様」での注文がかなり多いようで、やっぱり日本人はブランド好きなんですね。 さてBMWがこのクラスの常識を破るかのように、新たに直3ターボを搭載してきたので、今後は何だか怪しげな輸入車Cセグが増加するのでは?と危惧していますが、どうやらこの「118i」は予想外の評価を獲得しているようです。・・・某有名評論家の連載では、まさかの「全BMWの存在をあざ笑うかのような傑作」と評されてました。それにしても3気筒ゆえのバイアスってのがあるのかな?

  昨今のCセグはボデーの大型化、あるいはワゴンボデーの導入などで「ツアラー化」が急速に進んでいて、ひと昔前の手軽な「スモールカー」のイメージから、よりコンフォートで長距離にも耐えられる「ミドルサイズカー」へと立ち位置が変わりつつあるようです。ホイールベースが2700mmに達したCセグは、もはや1クラス上のC/Dセグと呼んで区別すべきではないかという気がします。いずれも2700mmとなったメルセデスAクラス、マツダアクセラ、日産シルフィの3台は、他のモデルよりもいくぶん居住性がいいです。ホイールベースの拡大によって、クルマの安定感や静音性にも一定の効果が期待できます。ちなみにゴルフ/アウディA3やジュリエッタなどは2635mmとなっています。

  ゴルフ、メガーヌ、プジョー308などワゴンボデーも定番グレードになっている欧州Cセグは、ハッチバックが2620~2650mmくらいで、ワゴンが2700mmといったところでシャシーをつくり分けて用途に合わせて適性化しています。逆転の発想で、ワゴンサイズのゆとりのあるシャシーに、デザイン重視のハッチバックボデーを被せたのがAクラスとアクセラで、高級なセダンボデーを取り付けたのがシルフィとCLAです。マツダとメルセデスの近年の成功のポイントはコレではないか?と思います。そしてちょっと異色なのがスバルで、ハッチバックのインプレッサとセダンのG4は2645mmを使い、ワゴンボデーとなったレヴォーグとセダンのWRX S4は2650mmとなっていて、作り分けているのにほとんど変化なしです。スバルは何を意図したのでしょうか?

  一般的にCセグをナメている自動車評論家ほど、Cセグ車の評論という仕事に際して、やっつけ気味に「輸入車>国産車」の図式を持ち込んできます。インプレッサやアクセラに乗ってなかなか満足な走りだったのに、輸入車の方がまだまだずっと走りがいいと言われると、それはまじですか!?と興味本位で2013〜2014年にかけてはあちこち乗りにいきましたよ・・・。まずはカーメディアがちょっと怪しいくらいに大絶賛していた「VWゴルフ」です。いざ乗ってみると・・・いや〜カーメディアは全然嘘なんてついてなかった!このクルマはやっぱりとってもいいですね!とりあえず気に入りましたよ!それで一体いくらなんですか?とおもむろに訊くと、なんと貰った見積もりが乗り出しで460万円だってさ・・・え?なんでこんなに高いの〜?(「GTI」という特別なモデルらしいです・・・内装は安っぽかったけど)

  続いては販売が絶好調の「メルセデスAクラス」。乗り込んですぐに感じるのが、内装がとってもいいですね!さすがはベンツ!これだったら長時間乗ってても包まれ感があって心地良いですよ!きっと。しかし走り出すとアレレ・・・というくらいにアクセルフィールが悪い。ハンドリングもややチグハグ。まだまだ出来たばかりの新型Aクラスだからサジ加減がわからないのかな?そのうちに改良されるのを待つとしても、エンジンもなんら印象には残らない・・・これが黒子に徹するメルセデスエンジンか?まあどこ走っても過不足ない加速感があってスペックはちょうどいいかも。さてこのクルマのお値段は?と訊くと、特別に値引きを入れてちょうど500万円でいいですよ!だってさ・・・え?本体価格200万円台って聞いたんですけどどういう事ですか!説明してください!・・・どうやらこのクルマも「A250シュボルト」という特別なモデルらしいです。

  さてついでにBMWも行ってみました・・・。やはりCセグの1シリーズに乗ってみます。いやあ!これはさすがに私にだってわかりますよ!4気筒のフィールじゃないです!これはいいエンジン積んだ上級モデルでしょ!600万円くらいするやつじゃないんですか? と知ったかぶりをかましたところ・・・なんと!確かに6気筒のモデル(M135iというらしい)ですけど、お客様には特別に400万円でいいですよ!というスペシャルオファーに思わずぶったまげました。ええ〜!これはどういうカラクリなの〜?この価格は試乗車落ちの新古車のものなの?いえいえディーラー在庫ですけどれっきとした新車ですよ!だってさ・・・。みなさんこんなえげつない値引きを仕掛けてくるBMWディーラーを信じられますか?オイシイ話には絶対に裏がありますよ!!!あまりに怖くなって急いで帰ってきました(買わされそうな勢いなので)。あまりにビックリしたので乗り味をあんまり覚えてないな。鼻先が重いってこともなかったような・・・。

  他にもボルボやアルファロメオなど試したのですが、総じて言えることはCセグ車は完成度が高いのは当たり前で、あとはクルマが持つ固有のクセがどれだけ印象に引っ掛かるかの勝負なんじゃないの?ってことです。クルマ雑誌はやたらと優劣を付けたがりますが、ハッキリ言ってそんなのは不毛で、あくまで優劣は個人の趣味のレベルだと思います。人によってはAクラスが最低!というでしょうし、また別の人はジュリエッタが最低!だと言い放つでしょう。でもAクラスの内装はかなり良かったですよ。居心地良かったな〜。それにジュリエッタもいいじゃないですか!正真正銘のイタリア製というだけで満足ですね。南アフリカ製(BMW)とかタイ製(フォード)とかポーランド製(メルセデス)とかメキシコ製(VW)とかこのクラスには勢揃いしてますけど、やっぱりイタリア製か日本製がいいなあ〜。

  さてタイで製造されているフォード・フォーカスが本稿の主題だったんですけど、3代目フォーカスの後期モデルがいつの間にやら日本でも販売されはじめました。Cセグは「どれだけ心に刺さるか?」で選ぼう!なんて調子のいいこと言ってしまいましたが、全ブランドに横断的に技術の新陳代謝が遅めなようで、言うなればドングリの背比べで「ぬるま湯」なのかも?といった冷めた見方もしてしまいます。冒頭の某有名評論家の「118i傑作」発言のウラにも、このクラスを震撼させるようなビッグバンが欲しいという気持ちの表れなんじゃないですかね。

  いよいよ日本市場にもあらゆるスペックのフォードの「エコブースト」エンジンが導入されてきました。「フィエスタ」、「クーガ」、「マスタング」ときていよいよ主力のフォーカスです。4車ともに日本価格がボッタクリ気味なのが気になりますが、経営危機から脱してフォードが新たに作り上げた「新しいパラダイム」の製品群はやはり興味がそそられます。何といっても現在のフォードのSEOは、あのマーク=フィールズです!誰だよ!という人の為に説明すると、マツダが初代アテンザとか初代アクセラとかRX8とか作っていたころに社長やっていて、日本ではFD3Sを常に愛用していたというアメリカ版のモリゾー社長(トヨタ)みたいな人です。新型マスタングの超絶デザインを見て、やっぱりマーク=フィールズだな・・・とため息出ましたよ!

  マーク=フィールズがトップになってからフェイスリフトが行われた3代目フォーカスの後期モデルですが、これもシャープでカッコいいですね。初代アクセラの繊細なデザインを思い出します(まだその辺を結構走ってますけど)。「モリゾー社長vsマークCEO」というカーガイなトップ対決でトヨタ&レクサスとタイマンが張れるくらいにフォードのラインナップはこれからもっと期待できそうです。すでに発売されているものでは、「クーガvsハリアー」「マスタングvs86」「フュージョンvsクラウンアスリートT」・・・なかなかいい勝負してますよね。「フォードGTvsレクサスRC-F」というGT3車対決もまもなく実現しそうです。フュージョンとフォードGTも日本導入を!

  世界的なビッグネームなのに、日本ではいまいち馴染みが薄いフォード車なので、あれこれ書いてみましたが、本題は「フォーカスvsオーリスT」ですね。価格はどちらも本体がやく300万円。エンジンのポテンシャルで上回るのがフォーカスで、内装などトヨタ得意のコモディティで勝負しているのがオーリスTなので、対立軸が完全にズレてしまってますね・・・。フォーカスのシャシーはマツダが設計したもので、ハンドリングもマツダと共同開発しています。先代アクセラの設計を大筋で使いつつも、フォードのエコブーストと欧州フォード車らしいDCT装備です(訂正!トルコンATに変更だそうです)。

  これだけでも300万円くらいの価値は出てきそうですが、さらに欲しくなる話を付け加えると、先日発売された「営業バンが高速道路をぶっとばせる理由」という本で、國政久郎という足回りの専門家が、ノーマルで非常によく躾けられているクルマとして、「ジープチェロキー」と「フォーカス」を挙げてました。日本車やドイツ車を差し置いて、アメリカ車こそが基本がしっかり出来たクルマだ!といわれても俄には信じ難いのですが、この人はNBロードスターの足回りを徹底的に改善して乗っているようなので、マツダっぽい躾けがお気に入りなのかもしれません。まあ参考までに。

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2015年11月17日火曜日

BMW・M2クーペ 「ケイマンGT4を蹴散らす戦闘力?」

  モンスターCセグ(A45AMG、RS3)とピュアスポーツ(ケイマンGT4、エキシージS)の間にはどれくらいの差が存在するのか? そんな中二病な発想で楽しんでいるクルマ馬鹿です。とってもとっても楽しいです。勢い余って買っちゃいそう!・・・ってことはないですけど。純正スポーツカー設計の「911ターボ」と改造乗用車設計の「GT-R」の対決でメーカー同士が予想外に白熱して盛り上がったのはだいぶ昔のことのように感じます。この時にポルシェも日産も相当にムキになって開発競争を繰り広げたからこそ、そのブランド力は今も世界中の熱狂的なクルマ好きの金持ちにまで届いています。

  けどこの対決でポルシェも日産もだいぶヘトヘトになったようで、どちらももう開発競争なんて辞めたいようです。その後もルノーとホンダの「FF最速対決」なんかも盛り上がりました・・・そして無事市販化!どちらも話題性十分!でめでたしめでたしでした。たしかに開発共存は大変な負担でしょうけども、こういった対決を避けるブランドにはち注目も集まらないし「未来は無い!!!」と思います(アクアだってフィットと競争してます!)。マツダもスポーツメーカーとして有名ブランドと肩を並べるつもりなら、とりあえずホンダもスバルも日産もまとめてぶっ飛ばして「日本車最強」を名乗るくらいのウルトラマシンを作ったらいいのでは?

  それにしてもドイツ人のクルマ商売はとってもズル賢いです。なにもディーゼルエンジンでしくじった某メーカーのことを言っているわけではないです。「911ターボ」vs「GT-R」みたいな究極の競争は割が合わないので、ライバル同士が口裏を合わせて、適当なスペックのクルマ同士を競わせて、注目を集めるみたいなことをやっています(裏では某サプライヤーが暗躍?)。・・・そして冒頭にあるような、無邪気な日本の中二病オッサンを巻き込んでいくような、「開発プロレス」が堂々とプロモーションされています。どちらの陣営も日本価格はだいたい600~800万円くらいの価格帯で、各メーカーが「スポーツカー要素満載」のオシャレでクールなスペックしかも扱いやすいサイズで、まだまだ中流が多い日本の金持ってる世代を狙っています。

  そんな裏事情は十分にわかっていても、スバルやホンダのスポーツモデルを上回るスペックですから十分に「特別」なクルマですし、インテリアもエクステリアもさすがの出来映えで、とにかく「説得力」があります。さらにとても扱いやすいサイズなので日本のドライブコースをどこでも好きなだけ堪能できますし、サーキットにだって余裕で参戦できます。この問答無用の使い道の広さを考えると「安い」気も・・・!しかも都内のコインパーキングだって余裕で停められます。一方で2000万円くらいするE63AMGやアルピナB6なんかを頑張って所有したとしても、実際に走れる場面は限られてきますし、基本的にはVIPカーの「上位互換車」くらいの用途しかありません。これらは走りを楽しむというよりは、いい格好したい人のクルマなのかな・・・。

  メルセデスが大幅にデザイン変更した現行のAクラスを発売した時に、真っ先に日本に持ってきたのが「A45AMG」でした。当時は700万円でAMGが買える!というのが呼び水になったようですが、これ休日の都内(環7あたり)を走っていると、かなりよく見かけるんですよ。けっこうブレーキの性能もいいので安心なようで、ちょっとスペースが出来ると自慢の加速を炸裂させています。これがAMG最速のE63だと、ヘビー級ですから同じようなヤンチャな運転はまずできません(やる人はいるけど)。E63だとせいぜい深夜の第三京浜やR246でノロい国産車(シ◯ビア、ア◯テッツァなど)をブチ抜いて楽しむくらいですかね。今はすっかり「A45AMG」のような軽さ(1500kg)とハイスペック(360ps)を備えたランエボのようなドイツ車が幅を利かせる御時世みたいです。

  A45AMG、RS3、TT-RS(現行は未発表)といった改造乗用車派はいずれもFFベースのAWD車です。一方でピュアスポーツ組のケイマンGT4やエキシージSは後輪駆動(RWD)です。面白いことに両者は出没するコースや時間帯が見事に異なります。天気の良い休日の昼間に長野や群馬の自然豊かなワインディングコースで見かけるのは、ケイマンやエキシージSが圧倒的に多いです。一方で改造乗用車派は、もっとアーバンな地域に出没します。自動車専用道路が多くなってきた都心部に直結する主要国道であるとか、環7、環8、湾岸線や第三京浜が多いです。

  独りで改造乗用車(A45AMG)とピュアスポーツ(ケイマンS)を2台持ちして、買い物や都心の散策にはA45AMGを、休日のドライブにはケイマンSを使い分けるといった律儀な人がもしいるとしたら、最高にオシャレだと思います。「A45」に乗る時は気軽に街中に出て行けて、かつデパートのブランド売り場にも出入りできるような服装をしていて、「ケイマンS」に乗る時は、ちょっと過激でそのまま電車に乗るのが躊躇われるほどの個性的なドライビングファッションに身を固めていてほしいです(つなぎ、アーミー、乗馬スタイル?)。

  新車で買ったら2台で1600万円! 中古で上手くやりくりすれば800万円くらいで済むでしょうが、やはり輸入車のハイスペックモデルは相当な維持費を覚悟しなければなりませんから、年収2000万円以上はないとツライですね。そこで「A45AMG」のユーティリティと「ケイマンS/GT4」の官能をどっちも備えた気の利いたクルマをどこか作ってくれませんか?というわけです。そんな声が日本からはるばる届いたのか、あのBMWがいよいよ「AMG」も「ポルシェ」も「アウディ」まとめて相手にしちゃいます!といった主旨の「M2クーペ」がいよいよ本国で発売されたようです。・・・BMさん!これを日本で売らない手はないですよ!

  案外に後ろの席も人が乗れてしまう!という評判の2シリーズクーペがベースですから、ユーティリティもまずまずで、トランクあるから買い物も余裕! そして0-100km/hのタイムもケイマンGT4の4,4秒を上回る4.3秒のFR最速レベルだそうで・・・(M4は4.1秒)。とりあえずスペックでも官能性でも特別にチューンされた直6ターボ(370ps)ならばこのクラスでは無敵ですね。もちろんケイマンGT4のようにMTモデルもあります! そして2ペダルはパフォーマンス重視の7DCTなので、一般庶民が乗る南アフリカ製ベンベの「しょんべん8AT」なんて使ってないです。ちなみにエクステリアも一目でわかる特製フロントバンパーで十分に差別化されています。

  いや〜久々にBMWが「貴族趣味」なクルマを出してきてくれました。M5/M6なんてもはや「ビジネス・スポーツカー」ですから、怪しげな格好して乗れるクルマじゃないです。とりあえず乗る時はいつも上等なジャケット(10万くらい)を着て運転するしかないです。なんか堅苦しいくて幻滅してしまいます・・・。あくまで私の感覚に過ぎないのかもしれないですが、一般庶民がなかなかできない格好して遊び回ることこそが「貴族趣味」だと思うんですよね。上等なジャケットなんて誰でもボーナス叩けば買えますし、誰でもそこそこに似合って使い回せるので逆にコスパが良かったりしますが、そんなのは一般庶民の安易な趣味に過ぎないです。使い回しの上等なジャケットって「センスが無いヤツ」のトレードマークじゃないですか?(もちろんそれを着なきゃいけない時もあるわけですが・・・)

  BMW・M2はこのブランドのラインナップには珍しく、「他人と違う服装」を目指す趣味の人を広く受け入れてくれる懐の深さを感じます。上下ジャージ、レーシングスーツ、全身タイツ、パジャマ、着ぐるみ・・・なんでも挑んでみろ!って言ってくれているようです。ケイマン、ザ・ビートル、フィアット500、ミニ・・・の列に並ぶBMW車。なんかとってもいい感じです!!! 直6ターボが載ってるからリアルBMWだ!と粋がるわけじゃないですけど、もちろん大きなポイントです。趣味ってあくまで等身大でやるものですよね。日本の若者が必死で働いて頑張れば、800万円くらいのクルマを手に入れてもいいじゃないですか!業界人か裏社会の人しか買わないような2000万円もするBMWがベントレーと張り合っているのがいかに不健全だったと・・・ブランド自身が気がついてくれればいいですね。

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2015年11月14日土曜日

トヨタ・クラウンアスリート 「ここから何か始まるのか?それとも終焉の時か?」

  自動車評論家の福野礼一郎さんの書籍はいつ読んでも面白いです(賞味期限無し)。だいたい発売直後に購入してざっと読むのですが、その段階では読み手(私)にはまだ発表されて間もない新型車へのイメージなんて全くできてないですから、ニュアンスがわからない表現もあれこれ出てきます。そのままほっぽらかした本を1〜2年寝かしてから読むと、出てくるクルマに試乗したり見かけたりするようになってイメージが固まってきているので、改めて福野さんの文章が楽しめたりします。

  2年ほど前に出版された「福野礼一郎・クルマ論評2014」という傑作がありまして、これをほぼ1年ぶりくらいに開いて見ると・・・改めてこの評論家の素晴らしい視点がいくつも発見されて、初めて読んだときよりもむしろ興奮できます。特に「トヨタクラウン」と「クライスラー300」を比べる一節が良かった!!!2年前はなんとも思わなかったのに、今読んでみると妙にリアリティがあります! もちろん2年前の本ですから、クラウンはフルモデルチェンジ直後で、クライスラー300は先代バージョンということになります。

  福野さんのクセ?あるいは意図的なのかもしれないですが、高級輸入車で幅広く使われるようになったZF社製の8速AT(通称8HP)のミッションをそこいら中の連載で「神!」「神!」「神!」と表現しています。・・・ということは8HPを装備しているクライスラー300が優位か?というと、そうでもなくクラウンアスリートの3.5Lモデルに採用されているアイシンAWの8速ATの方が、滑らかでショックも少ない!とはっきり断言しています。エ?エ?エ?「神」ってどういう事?・・・と読者を煙に巻いてくれます。なんとも便利な表現ですね。福野ワールドの「神」ということならオールOK?

  BMWとレクサス(FRガソリンモデル)のどちらにも乗ったことがある人ならわかると思いますが、「ZF」も「アイシンAW」も結局のところどっちもどっちな印象でしかないですし、あのミッションが付いているからそのクルマが素晴らしい!という結論にはならないです。しかし2000年頃のBMWやトヨタの中古車に付いてまわったミッションの段付き感を考えれば、それから開放されて、福野さんが「神」といいたくなるほどの「高ぶり」もなんとなくわかります。この段付き感さえ消えてくれればこのクルマを心から愛せるのにな・・・という過去のほろ苦い経験なんでしょうね。福野さんはおそらく「常にクルマに寄り添う」非常にやさしい心の持ち主なんだと思います。

  さてそんな「クラウン&クライスラー300」の評論で、印象に残ったのが「新しいクラウンは改造車的だ」という表現です。余計な説明などないのでその真意は不明です。もしかしたら言外にクラウンの基本設計の古さを示唆したのかもしれないですし、伝統のフラッグシップに注がれるトヨタの情熱を指しているのかもしれない、それともトヨタ車にしては感動的なほどに「手数」が多いという意味でしょうか?

  「改造車的クラウン」・・・なんだかこのクルマの抱える現実を打破できそうなミラクルな響きがします。ハイブリッドを業界のスタンダードへと押し上げることに心血を注いできた、1997年からの約15年間においてトヨタはクルマ好きの期待に報いることがほとんどできませんでした。これはモリゾー社長みずから公式の会見で述べた所感であり、その反省を生かして「86」「RC-F」を作ったとも言っています。確かにこの2台は、真剣にクルマ選びをすればするほどに、重要な選択肢であると認識させられますね・・・。どちらも文句なしにクルマ好きに愛されるモデルです。

  トヨタが「86」や「RC-F」よりもさらに手数をかけて、クラフトマンシップを誇示するべきクルマが「クラウン」だと思います。このクルマにとって少々悲劇なのは、セルシオ(レクサスLS)を派生させるなど国内外のメーカーに絶えず刺激を与えてきた「クラウン一族」の直系でありながら、国内市場では7割以上がハイブリッドで選ばれていることです(電気式CVTは・・・)。今や「BMW」「マセラティ」「キャデラック」「ジャガー」といった名だたるラグジュアリー・メーカーの主力を担うEセグセダンは明らかにクラウンの乗り味を志向しているのに、国内ユーザーはそんな「亜流」のフォロワーばかりに興味振々で、クラウンを買うユーザーは何も考えずにハイブリッドを買う・・・確かにトヨタのマーケティングが仕掛けたシナリオなのかもしれないですが、これはあまりにも切ない光景です・・・。

  さて現行モデルに使われるシャシーは2代前のデビュー時に更新され12年がすでに経過しています。日産のスカイラインも同じく3代に渡ってシャシーが使われていますが、なにやら次のモデルはメルセデスのものを使うことになるのだとか・・・。クラウンのシャシーも引退が既定路線ですが、次はいよいよ燃料電池車になってしまうのか? クラウンと共通の設計を使っていたレクサスGSは現行モデルから新型シャシーに変わりました。こちらは「全世界プレミアム展開」を狙って、ドイツ車を越える水準の高い剛性を誇るシャシーを作ってきました。

  BMWはクラウンを目指し、クラウン派生のレクサスはBMWを目指す・・・といったねじれた関係は、これまでもトヨタと日産、BMWとメルセデスなどでしばしば起こって現象ではあります。しかしその先に待っていた結末は必ずしもお互いを高めあって最高のものができたというのではなく、なんだか味の薄いクルマに結実して評判を落とすケースの方が多かった気がします。例に漏れずに・・・といったら失礼かもしれないですが、ドイツ車を超越した新型シャシーが投入されたレクサスGSやISは、本当に歴代トヨタのどれよりも素晴らしいクルマだったでしょうか?

  果たして次世代のクラウンはどうなってしまうのか? レクサスのシャシーを流用して「能書スペック」を備えたグローバル・セダンになってしまうのでしょうか、それともミライを高級車調にしたプレミアムFCVに生まれ変わるのでしょうか? それとも・・・モリゾー社長の英断で、「トヨタのクラフトマンシップ」を誇るノスタルジックな「永遠のクラウン」を描くのでしょうか。福野さんが2年前にふと言い出した「改造車的クラウン」・・・果たしてこのフレーズがトヨタのインスピレーションになったかわかりませんが、クラウンに新たに2L直4ターボ搭載の「改造車的グレード」が追加されました。先に登場したレクサスISの2L直4ターボ(245ps)よりややデチューンして235psとなったエンジン・・・なかなか芸が細かいです。

  「86」の2L自然吸気で200ps出しているので、輸入車のように2Lターボで180psといったパワーの出し惜しみなんてことはできません。ターボチャージャーの設定による「出力の量り売り」なんて下劣なやり方は日本メーカーには絶対に真似してほしくないですね。そんなゴミみたいな商売に血道を挙げているから、排気ガスを意図的に操作するなんて下劣な手段を厭わなくなるのかな? 

  日本車でもっとも長い歴史を誇る「クラウン」。ぜひ憧れのクルマとして長く残してもらいたいです。幸い?なことに中小企業の社長さんのクルマという役割は、レクサスやアルファードへと分散しているようです。400万円は若者が乗るには高嶺の花ですけれども、頑張って働いて乗ってやる!と思わせてくれるクルマへと、脱皮するのも「86」や「RC-F」を手掛けるトヨタであればそれほど難しいことではないと思います。スバルのアイコンが「WRX」であるように、「クラウン」をトヨタのアイコンに位置づけて、トヨタグループのネットワークをフル動員して、スバルSTIのS207のような「コンセプトカー」を発売するモデルに位置づけてみるなんてどうでしょうか?

  例えば・・・
最近提携したマツダからディーゼルを調達して積んでみる。

一緒にMTも導入して装備してみる。

スバルのHVシステムをトヨタが取り入れて「走りのクラウンHV」をつくる。

ついでにSTIのチューンによって足回り(ビルシュタ)とブレーキ(ブレンボ)を強化した「クラウンアスリートSTI」をつくる。

提携先のBMWにお願いして「クラウンアスリートM」をつくる。エンジンはもちろん直6。

アルピナにチューニングをしてもらって「アルピナ・クラウン・ビターボ」をつくる。やっぱりエンジンは直6。

提携しているロータスに納入している3.5Lスーパーチャージャー(406ps)を積んだ「クラウン+M」をつくる。


まあなんでもいいですけども、「VIPカー」という日本発信のクルマ文化がアメリカを席巻している!クラウン派生のドリ車「チェイサー」が東南アジアで人気!などなど、長い間国内専売だったはずのクラウンの魅力は、勝手に世界に羽ばたいていっているわけで、これらを見る限りではこのクルマの将来をトヨタが悲観する必要なんてないと思います。おそらく福野さんもクラウンのそういう素晴らしい側面をちゃんと見据えた上で「改造車的クラウン」という新しいキャッチコピーを打ち出してくれたのではないでしょうか?

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2015年11月13日金曜日

ロータス・エヴォーラ400 「GT3時代の到来?」

『GT3規格』・・・市販車を認定するFIA規格の中で現在最も高性能なクルマのためのカテゴリー。約40車種がホモロゲーションを取得していて、日本車は日産GT-RとレクサスRC-Fのみ。フェラーリ、ポルシェ、アストンマーティンなどの有名ブランドを代表するモデルがずらりと名を連ねていて、その多くは都心の真ん中でゴージャスに乗るクルマ。



  「軽自動車やコンパクトカーに乗るくらいならクルマなんて要らない!」・・・公共交通とネットカフェに恵まれた都会に住む人々の偽らざるホンネです。右を向いても左を向いても街中はドイツ車だらけという状況で、型落ちの国産のちっこいクルマを笑顔で乗りこなすには、よっぽどのクルマに関する教養が必要になってきます(まあ実際は軽自動車でもどうってことないですが)。また東京や横浜の中心街に繰り出して行くと、今度はドイツ車ならばなんでもいい!というワケにはいかないですね・・・。80万円でゲットした型落ちの3シリーズなんて軽自動車よりも低い、最下層のステータスですから(だから80万円!価格は嘘を付かない!)。とりあえず都市部の近隣住民を装うならば、多少無理してでもメルセデスのEクラスくらいがもっともお手頃(中古価格や新車値引きで)なようです。

  いっそのことスポーツカーにしてみたらどうでしょうか? とりあえずマツダ・ロードスターもトヨタ・セリカも50万円程度で豊富に選べますが・・・。けれどもやっぱり「価格は嘘をつかない!」わけで、都会の住人が乗るには何かと不便?不器用?なクルマです。50万円のセルシオも50万円のマークⅡも・・・150万円のマークXも150万円の先代スカイラインも道具としては非常にいいですから、気取らずに乗る分にはいいのかもしれないです。・・・ったく東京って面倒くさいですね。でもそこが東京のいいところなのかもしれないです。なんといっても「日本の顔」です。特に大使館が立ち並ぶ港区の界隈を走るプライベートカーは、イタリア車とイギリス車そしてレクサス車ばかりであってほしい気もします。

  もし人生で幸運にもちょっとした小金持ちになることができて、晴れて港区民にでもなったならば、その時は一体クルマは何を選べばいいのでしょうか? 世間が言う「高級車」の概念が通用しない街(現実の港区・中央区はBMWの安いヤツがけっこう多いけど)に住む事になったら、よくわからないけど、誰が見ても「こだわり」と「高級感」に妥協が全く見られないような「一流」のクルマを選びたいですよね! ではどれを選べば失敗しないのか?ちょっと乱暴かもしれないですが、とりあえずは「GT3にカテゴリーされてるクルマのベース車」から選んでおけば万事上手くいくかと思います。しかしこのカテゴリーはよくよく探せば「マスタング」「カマロ」「BMW・Z4」といった500万円くらいのクルマもあるわけですが(これらでもまあ十分に高価ですけど)。

  ちょっと話が飛びますが、まだまだバブル真っ最中の中国では、とうとう高級車の市場が完全に日本を越えてしまっています。・・・今では安物のスポーツカーは中国市場ですら売れなくなっているとか!!! 中国で相手にされないからといって悪いクルマだとレッテルを貼るのはちょっと違うと思いますが、それでも多くの人々の意識に留まらないような、陳腐で瑣末なクルマを国際都市・東京のド中心でドヤ顔で乗り回すことは、明らかに日本の国益にはならないと思います。せめてこれらの地域でスポーツモデルでクルマ通を気取りたいのであれば、中国人でも憧れるようなフェラーリやポルシェに匹敵するクオリティのクルマを買え!!!ってことです。

  中国市場では消費の嗜好までも急展開してしまい、「リアル・スポーツ=GT3規格」しか羨望が得られなくなってしまいました!そしてこれこそがホンダやマツダに突き付けられた中国から指摘された厳しい現実だと思います。東京MSでも公開された「NSX」と「RX-VISION」といったモデルは決してお遊びで作っているわけではないはずです。この2台が持つ意味とは?ホンダとマツダが中国市場で一流ブランドとして生き残っていくための「切り札」というべきクルマになりそうな予感がします。冗談ではなく「最低でもフェラーリを越える性能」がそれぞれに担当する開発者に課せられたノルマであり、もしそれが達成できないならばブランドが中国から弾かれて存続そのものが難しくなるということです。

  ホンダもマツダも新型のリアル・スポーツカーで「GT3規格」の仲間入りを目指しているようです。この戦略が至極真っ当な経営上の決定であることは、海外のブランド(大衆ブランド)を見てもなんとなくわかります。フォードは過去に「GT3規格」を取得していたフラッグシップ・スポーツモデルの「フォードGT」をいよいよ復活させます。この新型にもおそらくGT3モデルが用意されることでしょう。またアルピーヌの復活を目指して共同開発をしているルノー=アルピーヌでは、いよいよ完成した「R.S.01トロフィー」というモデルをGT3取得の為に市販化されることが決まったようです(ちなみにGT-R・NISMOの3.8LV6エンジンを使ったMRのリアルスポーツ)。

  ホンダ(アキュラ)、マツダ、ルノー、フォードといった一般ブランドからGT3規格のモデルに十二分に匹敵するリアルスポーツが次々と発売されることになりそうです。ホンダもフォードもルノーも2000万円くらい?そしてロータリー復活という「花道」まで用意されるマツダも1000万円近くなるのかな。これならば1500万円くらいのマセラティ・グランツーリズモや、1000万円のロータス・エキシージといった代表的なGT3車の方がむしろお手頃にすら感じます。

  数年前にはブランドの解散まで噂されていたロータスですが、ここにきてGT3クラスに匹敵するハイグレードなラインナップが好調のようで、なんと周囲の予想を覆すような新型モデルを投入してきました。トヨタから供給される1.8L(直4)と3.5L(V6)の2種類の自然吸気エンジンもしくはスーパーチャージャー過給を使って、ライトウエイトスポーツを中心に作ってきましたが、フラッグシップとなる「エキシージS」は1120kgのボデーを最大350psで走らせるというレース専用車(フォーミュラーカー)並みの3kg/psという驚異のパワーウエイトレシオを記録しています。こんなハチャメチャなクルマにMTモデルが未だに設定されているって!・・・これはすっごいことです。

  このロータスのトップグレードに使われるユニットは、実はトヨタ車にも密かに積まれています。そのクルマとは「マークX +Mスーパーチャージャー」というコンプリートカーで、トヨタの公式ホームページでマークXを選択し、そこに出てくる「カスタマイズカー」の1台として掲載されています。価格は560万円だそうですよ。同じエンジンとはいえ、車重が500kgも重くなるようなので、エキシージSと同様の走り!とまではいかないです(全然別ものであることは予想がつきます)。もちろんMRとFRの違いもありますし、ホイールベースも大きく異なります。しかし4ドアセダンですから日常での使い勝手に関しては文句無しではあります。

  そしてこのたびですが、「エキシージS」と「マークX+Mスーパーチャージャー」の間に位置するような、2+2シーターのMRスポーツ「エヴォーラ400」が発売されました。3.5Lスーパーチャージャーは406psまで出力アップされ、エキシージとマークXのちょうど中間くらいの車重1400kgを強烈に引っ張るユニットになっているようです。パワー自体はBMWのM4やAMGのC63あたりと比べて特筆するほどではないですが、なんといってもMRですから、トラクションを考慮するとFRのBMWやAMGを寄せ付けない走りができそうです。

  さてこのロータスが使うトヨタ製ユニットですが、いっそのこともっとトヨタを巻き込んだ展開になれば面白いのではないか?と思います。例えばトヨタ86のシャシーを使った新型モデルに積んでみる!とか、レクサスIS/RCに投入してみる!とか、オーリスに載せてゴルフR、アウディRS3、AMG・A45といったスーパーホットハッチを叩き潰すモデルを作ってみてはどうでしょうか? ちょっと前までオーリスのシャシーに3.5Lを積んだ「ブレイドマスター」というクルマを、R32ゴルフに対抗してトヨタは売ってました(今や完全に珍車スペック!)

  「エヴォーラ400」のおよそ1400万円という価格設定は、もちろん決して安くないわけですが、ロータスがポルシェを撃墜する為につくったモデルであることを考えると、十分に価格面で頑張っていると言ってもいいかもしれません。特に港区のような特殊な環境に住む人々にとっては、ファミリーカーとしては不適ですけども、どのブランドのクーペよりも個性的な設計に満足が出来て、MTも選べるのでこだわりの運転環境も確保できるなどを考えると、ある意味で「ベストなクルマ」だと言えるかもしれません。風前の灯火と思われたロータスが、ガラパゴス日本を見事に射止める可能性を秘めたモデルにいち早く辿り着いた!ことがとても素晴らしいことではないでしょうか?


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2015年11月12日木曜日

イヴォーグ・コンバーチブル 「新しい波が発生する予感!!!」

  今日のSUVの隆盛を築いた一台として知られるレンジローバー・イヴォーグ。2012年の発売と同時に大ヒットしましたが、400万円台からランドローバーが手に入るというお得感と、SUVのイメージを根底から覆すような気鋭の若手デザイナー(この成功でロバート=メルビルはマクラーレンのチーフデザイナーになる!)を登用したデザインは、今から考えてもコレは売れて当然ですね。発売から早くも3年が過ぎ、あまりの売れ行きの良さゆえか、やや強気な戦略を採り出したランドローバー・ジャパンは、度々グレード変更を行って価格を400万円台から600万円台まで引き上げてきました。

  しかし600万円台となるとライバル関係も一気に強力になります。その価格帯の新型SUVとしてポルシェからマカンのベースモデルが投入されて以来、あまりイヴォーグの話を聞かなくなったような気も・・・もはや旬は過ぎた?。いやいや!やはり縦置きエンジンのFRシャシーを使うマカンの魅力の前では商品力で苦しい!という厳しい意見もあるようですが、それでもこのイヴォーグはまだまだその魅力が色褪せてはいないです。ランドローバーの今後を背負っていくニュー・スターですし、まだ発売して3年ですが、知名度は高く、すでにイヴォーグは独自のブランド価値を築いています(ファンは多いですよ!)。

  改めて言うことでもないですが、ポルシェ、レクサス、ジープ、ランドローバーの4ブランドは、SUVへの取り組みが非常にマジメです。素人目で恐縮ですが、1つ1つのクルマに独特の魅力を持たせようという意識の高さが光ります。敬意を持って「プレミアムSUVのスーパー4」と呼ばせて頂きたいと思います。メルセデス、アウディ、BMW、ボルボといった日本市場にすっかり根付いている輸入ブランドのSUVが特に駄目ってことはないですけども、これらのブランドではわざわざSUVを選ぶ理由がないな〜・・と感じてしまします。SUVをナメているってことはないでしょうけど、ちょっとやる気が感じられないところが目に付きます・・・。見方を変えれば「日本風味」なんでしょうけど。

  私は東京都の西部に住んでいまして、家の前の通りを見ていてもメルセデス、アウディ、BMW、ボルボ、マツダ、スバル、ホンダといったメーカーのクルマの持っている雰囲気ってなんだか似たり寄ったりなんですよね。非常に洗練されてキレイなデザインなんですけども、それ以上に訴えてくるものがないです。なんだかむしろ存在感を消したいかのようで、結局ファミリーカーのバリエーションを増やしているだけ・・・開発者が抱える「タスク感」が満載のエクステリアは、時に見ていて残念な気分になります(カッコいいファミリーカーも結構なことですけどね・・・)。

  そんなところにラングラーやチェロキーがやってくると、SUVライフを楽しんでいる様子が存分に感じられていいなと思います。やっぱりSUVを持つことで得られる特別な感情が伴わないとSUVのデザインはダメだな・・・。ヴェゼルとかCX3とかデザインは隙がなく良くできていますが、クルマの属性をアピールする要素が見事にすっ飛んでしまっています。フィットとデミオにそれぞれクロスオーバー要素をマイルドに混ぜ込んだだけだ・・・と気がついた瞬間に、クルマへの愛情が冷めてしまいそうです(余計なお世話ですね)。

  イヴォーグもフォードグループが開発した(マツダが担当)シャシーを使ってつくられた、Cセグのクロスオーバー車に過ぎないのですけど、デザインは軍用車両にルーツを持つSUVらしく、武骨な実用美を中心としたキャラクターに徹したところがヒットのカギを握っていると思います。ジープの新型車も基本的には趣向は同じで、マツダやホンダのように軍用要素を意図的に抜いたと思われる「平和な日本的デザイン」との間にできる適度な距離感が、ジープやランドローバーといったブランドの人気にいい影響を及ぼしているんじゃないですかね。

  とはいえ600万円台のマカンと、それよりも安いジープの攻勢の前に、イヴォーグの存在感が以前よりも薄まっているのも事実で、ランドローバーは同グループのジャガーからFペースというSUVを発売してマカンと対峙する構えを見せています。マカンのつかみ所の無いお行儀の良いデザインといい、そのマカンとガチンコになるジャガーFペースといい、なんだか日本人の保守的な感性に訴えるような「ぬるさ」を感じますね。その一方でやはりランドローバーの本流は決して流行に流されることなく、常にゴリゴリのSUVデザインでなければ!という注文通りと言える「イヴォーグ」の派生モデルを作ってきました。

  「イヴォーグ・コンバーティブル」は現行の日本市場にありそうで無かったオープンSUVで、なんと来年に日本での販売も決定しているようです。日産がアメリカで発売していたムラーノ(2代目)のオープンを日本で売ったら人気になるのでは?と以前から思っていたのですが、どうやらランドローバーが先に販売することになりそうです。「ムラーノ・クロスカブリオレ」を軽井沢や箱根で休日に走らせたなら・・・あれこれ想像すると、これこそが「SUV貴族趣味」といった楽しみ方ができそうです。そしてついに!ランドローバーからそれが楽しめるクルマが出てきた!

  日本メーカーが発売しようともしなかったボデータイプですから、ちょっと想像するだけで当然にさまざまな制約がでてきます。どう考えても現実にはあくまでセカンドカーとして使うのがせいぜいなところでしょう。ソフトトップですからガレージも必要ですし、軽井沢などの観光地で乗るためにも、そういったオシャレな場所に別荘(隠れ家)を所有する必要があるかもしれません。時間的にもコスト的にも様々な制約に悩むサラリーマンにとっては、あれこれと想像するのが精一杯なところで実際に所有となると、日産GT-Rやポルシェ911を買うよりもずっとハードルが高いかもしれません。

  それでも「ジムニーだとちょっとイメージと違うんだよね・・・」というロマン溢れるアウトドア・ライフを夢想する人々(単にこだわりが強い)にとっては、自分の夢に近づいた一台なんじゃないかと思います。ハードルの高さに尻込みして凡百な人生を送るなんてまっぴら!という「突き抜け派」にとっては、イメージを具体化してくれるクルマだと思います。オープンカーが欲しいけど、スポーツカーだと結構ありふれていてあまりテンションが上がらず、ゆっくりと風景を楽しむならばもっと車高が高い方がいいな・・・と「当たり前のことを当たり前」に感じていた人にとってもピッタリの一台じゃないでしょうか。まだまだクルマの可能性はたくさん残されてますね・・・。

  レクサスやポルシェは、洒脱なラグジュアリーカーのブランドとしての地位を欲しているにもかかわらず、こういう個性的なクルマを率先して作る勇気は持ってないです。トヨタやVWといった安定志向のメーカーグループに属していると、出世競争への影響を恐れて企画段階で無謀な冒険をしなくなるのだと思います。ランドローバーやマツダ、スバルといった綱渡りなメーカーから新しいトレンドが発信されることの方が多いです。この「イヴォーグ・コンバーチブル」も反響次第では、レクサスやポルシェからすぐさま対抗モデルを導入してくるかもしれません。そして同じくパクるのが大好きなメルセデスやBMWのラインナップにもすぐに波及するでしょう。

  いまはもしかしたら1989年のユーノス(マツダ)・ロードスターの発売前夜と同じ状況なのかもしれません。相変わらず世界有数の購買能力を持っている日本のセレブ連中が、この「イヴォーグ・コンバーチブル」に注目したら・・・、一気に大挙して今乗っている「カイエン」を売りはじめるかもしれません!近頃ではめっきり街中でオーラを発信できなくなった「カイエン」に既に飽き飽きしているけど、乗り換えを決断させてくれるくらいに決定的な次世代プレミアムSUVが無かったのも事実です。BMWはi3やi8といったどうしようもなく使いにくいモデルなんかを開発する前に、冴えた次世代デザインをまとったEV方式の新型ラグジュアリーSUVを開発していれば、一気に主導権が握れたんじゃないか? それくらいにカイエンを売りたいセレブは多いと思いますよ!


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2015年11月11日水曜日

プジョー508GT 「セダン・スタイルの最先端」

  プジョー、シトロエン、DSの3ブランド構成になったPSAグループは、いよいよ日本市場での攻勢をかけるべく「新たなラインナップ」を投入する準備ができたようです。僭越ながらPSAの各ブランドが近年の日本市場で輝けなかった理由を分析すると、まず選べるエンジンの種類が少ない点でしょうか。ある程度大きなサイズの「プジョー508」や「DS5」、「シトロエンC5」といったモデルでも一律に同スペックの1.6Lターボしか選べず、このエンジンでは乗り出しで400万円もするクルマとしてはハッキリ言って不満でした。

  それぞれのブランドで現在の日本市場のフラッグシップとなるモデルが、レヴォーグのベースグレードに使われるような1.6Lターボでいいのか? ・・・とはいっても今さらV6NAの重苦しいエンジンをこのFF車3台のフロントに載せておくのも不粋ではありますけども。Cクラスだって1.6Lターボでは?・・・確かにそうです!だからいまいち人気になりませんでした。エンジン以外は素晴らしい!PSAの3台はそれぞれにフラッグシップに相応しい優美なデザインですし、足回りに関しては三車三様で、ドイツ車や日本車と同等のマルチリンクで安定志向の「プジョー508」と、それにさらにハイドロサスを組み込んで高級車の乗り味を作る「シトロエンC5」。さらに足回りよりも居住性を優先する「DS5」は、トヨタのアルファードに近い発想です(アルファードは現行ではサスを変えてきましたけど)。

  エンジン以外は「やる気まんまん」・・・これがなんとも惜しいですね。この1.6LターボもBMWと共同で開発された素性の良いものですが、フラッグシップ車に載るにはちょっとな〜・・・と買う側が二の足を踏んでしまうような露骨なダウンサイジングです。例えばBMW5シリーズが直4ターボ(523i)になってお買い得ですけど買いますか?っていう話です。やっぱりこの手のクルマ(高級感)を所有するならば・・・ハッキリ言うのはちょっと恥ずかしいですけど「格」が大事だと思います。

   欧州ではボデーサイズに比べて破格に小排気量(ターボ)のエンジンも多いようですけど、日本ではやはりそこまで合理的に考えられない・・・いや!クルマにロマンを求め続けるのが日本のクルマ好きなんです! 1.6Lターボで統一された(1.2LのNA/ターボもあるけど)PSAグループが、日本でまさかの大失敗に終わった原因は結局のところ、日本市場の趣向を全く掴めなかったマーケティングの甘さにあったと思います(そもそもやる気がない?)。

  くどいですが、要はエンジンをなんとかしろ!という課題が浮き彫りになったわけで、それに対するPSAの回答は?というと、同じくFFベースの中型車で旋風を巻き起こしているマツダに追従!という至極真っ当なものになりました。手堅くディーゼルでいきましょう!・・・VWやBMWのような不始末は起こさないために、メルセデスと同じ尿素処理機構を組み込んだ手の込んだクリーンディーゼルを投入してくるようです。ちなみに厳しい排出ガス基準をクリアする方法として、メルセデスの「尿素処理方式」とマツダの「低圧縮方式」が最先端ディーゼル技術として確立されていますが、マツダも米国基準に適合するために「低圧縮&尿素処理」の新機構エンジンのコスト適正化を図っているようです。

  さて日本導入が早くも決まっている「プジョー508GT」は2Lディーゼルターボを搭載したモデルで、出力自体はBMW、ジャガー、ボルボの同排気量ものとほぼ同等のようです。BMW、ジャガー、ボルボはZFかアイシンAWか供給元は違いますがいずれも8ATを装備して変速ショックを抑えて低燃費に振っています。メルセデスの直4ディーゼルは9ATが採用されました。これに対してプジョー508GTはアイシンAW製の6ATを採用してきました。マツダ(自社製6AT/6MT)と同じで、「ドライビング・ディーゼル」を目指す方向なのではないか?と思われます。グレード名を堂々と「GT」にしたところからも、運転して楽しいクルマにしたい!といういかにもプジョーらしい意図が感じられます。いっそのことマツダに倣って本国では必須のMTモデルも日本にもってきてしまえばいいと思うのですが・・・。

  さて「Dセグのプジョー車」がこの10年で築いてきたものとして特筆できるのが、彫像のような断面美を採用した「モデラー主義」のスタイルです。2000年代の初頭にプジョーのDセグは「406」と「407」という2代に渡るモデルで、ライバルがたくさんいるDセグでもひと際輝くスタイルを確立してきました。ライバル車を引き合いに出してデザインの優劣を一方的に主張してもあまり説得力がないので、別のいい方をしてみます。華々しくルノーのチーフデザイナーに就任した「アッカー・デザイン」でおなじみのローレンス・ヴァン・デン・アッカーの代表的なデザインに共通する原点は、この「406」「407」で花開いたプジョーデザインから受けたインスピレーションにあるからです。

  ヴァン・デン・アッカーがその実力を世界に知らしめたのが、フォード傘下にあった2000年代のマツダでの仕事ですが、2代目アクセラや2代目アテンザは同時期のプジョーのデザインにかなり影響を受けていることがわかります。またゴーン政権下の日産でデザイン部門の責任者を務めている中村史郎氏をもプジョーの影響下にあるようで、V36スカイラインのデザインなどにそれが見られます。ヴァン・デン・アッカーと中村史郎という2人のカリスマ・デザイナーを虜にした「406「407」を生み出したプジョーこそが、現代の中型車デザインにおける「オリジナル」だといっていいと思います。

  東京MSで公開された508の新しいデザインもまた、素晴らしく甘美なリアデザインが特徴的です。・・・っていうかこれ欲しいです!あとは価格(400万円台前半で)とディーゼルの仕上がりなどにもよりますが、アテンザ、ジャガーXE、Cクラスなどなど完成度の高いデザインが増えているDセグにまた一台「引き」の強いクルマが現れたかな?という気がします。街中のA4、3シリ、IS、スカイラインが「イモ」に見えて仕方ない!という美意識が高い人にとっては非常に楽しみな1台ではないでしょうか?


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↓フランス車特集をのびのびやるところがこの雑誌のいいところ!
 独車が大好きな「CG」や「Mマガ」は・・・誌面が葬式です。

  

  
  

2015年11月10日火曜日

スバルSTI・S207 「世界最高のカリスマ・スポーツカーが降臨!」

  数年前から情報が小出しにリークされ、いよいよ発売!ということで話題沸騰のホンダ・シビックtypeRですが、予想通り日本導入分は台数限定となり、希望者が多い場合は抽選になることが発表されました。どうせ発売と同時に定価の2割増しぐらいの未使用車が中古車検索サイトに並ぶんじゃないの?いやいや今回は5割増しくらいになるかも・・・「ダフ屋」行為対策はメーカー側は考えている?といってもホンダもどうすればいいのやら・・・。

  2000年代に入り限定スポーツカーのリセールは日本メーカーでもビックリするくらいに高くなっています。やや投機的ともとれる値動きで最終型ランエボXや最終のNCロードスター、RX-8などが定価以上の価格の新古車として売られています。この「スポーツカー投資」の契機となったのが、日産スカイラインGT-R(R34)と、ホンダNSX-R(最終型)の2台の伝説的スーパーマシンで、この2台の低走行&高年式(といっても軽く10年落ちですけど)は新車価格をはるかに上回るプレミアム価格になっています。

  特にスカGとNSXの2台は世界でも注目されたスーパースポーツだったということもありますが、もっと身近な価格で買える限定モデルスポーツカーとして人気なのがスバル系列のチューナー・STIから発売されるコンプリートモデルです。多くはインプレッサ(WRX)をベースにしたモデルですが、中には「S402」というレガシィB4をベースにしたものも過去にはありました。この「S402」もまたかなりレアなモデルとして知られ現在は入手困難なクルマとなっているようです。そんなに人気になっているならメーカーが追加生産すればいいと思うのですが、それじゃ意味がないってのがじれったいところで、増産したら単純に市場価値が下がるだけです。追加生産を絶対にしないからこそ価値が生まれます。年間に7000台程度しか作らないフェラーリが、収益アップを狙っての増産計画を発表しましたが、ファンからは市場価値の低下を危惧する声も上がったとか。

  希少であるゆえに価格が高騰している中古車なんて、最初から無かったものとして、よっぽどのマニア以外は絶対に手を出すべきではないです。しかし逆に新車で入手できるならば将来的に価格が高騰することが予想されるので、クルマ購入のタイミングさえ合えば積極的に検討したいところです。3年乗ってもほぼ本体価格が維持される!なんてこともあります。特に比較的に維持費が安いライトウエイトスポーツはそういう傾向にあるようです。密かに人気再燃の中古ロータスなどは1年乗り回しても価格の下落をほぼゼロに抑えられることもあるようです。他にもシトロエンやプジョーといったフランス車のハイスペック&MTモデルも限定モデルではないのに新車と変わらない価格だったりしますし、アルピーヌA110などはなんと超プレミアで1000万円以上の価格が付いています。

  日本車もMTモデルを中心に人気で、去年の暮れ頃に発表になった「ランエボX」の最終モデルなどもかなりの価格で未使用MTモデルが出ています。今年の夏頃にはいよいよ本当に最後!だったわけですが、そんなタイミングでランエボを追ってきたスバルは何を思ったか、ほぼ同価格帯で「BRZ-tS」という限定モデルを発売しました。BRZベースのこのモデルは今回で2回目となりますが、まだまだスバル内ではクルマのブランド力が確立できていないようで、販売はやや苦戦だったようです。兄弟車の86からはスーパーチャージャーを装備したやや目立つコンプリートモデルも出ているので、やはり企画力が弱いかな?という気がしますね(400万円あったとして、エボXではなくBRZ-tSを選ぶ理由はあまり見当たらないか)。

  さて今度はホンダ・シビックtypeRの発売に合わせて?だったのでしょうか、いよいよ多くのスバルファンが待ち望んでいた「S207」が発表されました!・・・しかしですね、もう売り切れました。そもそも400台はさすがに少な過ぎではないかと・・・。予想されていたこととはいえ、10月28日の発表とともに即日完売! 600万円以上するインプレッサ(レカロシートなど付属しているので当然ですが)が、わずか1日で400台売れました!STIはやっぱりスゲー!スゲー!スゲー! 

  なにやら外国人が転売目的(投機目的)で一気に買い漁ったという未確認情報もありますが、これは完全にスバルが世界から認められたということだと思います。世界の多くの地域でスバルのスポーツカーに高い価値が置かれているからこその現象で、世界的なスポーツカーの権威ともなるとこれくらいのことが起こっても不思議ではないです。そしてこれと同じことが起こせるブランドが世界にどれくらいあるのでしょうか? ロータス?アストンマーティン?ジャガー?アルファロメオ?メルセデスAMG?BMW・M?ポルシェ?にだってそう簡単には真似できないと思いますよ。

  さて新しいS207の公式発表をあれこれ見てみたのですが、これまでのインプレッサベースのコンプリートモデルと一体何が違うの?というアウトサイダー的な疑問しか思いつきませんでした。ハッキリ言ってエクステリアもインテリアもスペックも(これまでのモノと比べると)特筆すべきところは無いです。スバルのボクサーターボでは歴代最強の328psまで出力アップされているそうですが、おそらくスバルファンからしても「だから何?」のレベルの話題だと思います。スバル歴代最強のエンジンはともかく、その他のクルマの魅力自体はもう何がなんだかわかりません・・・。

  インプレッサWRXは手頃な価格でポルシェやフェラーリを楽々追い回せるハイスペックが得られることで商品性を確立しました。確かにカタログモデルのWRX・STIは300万円台を維持していて、今もそういうリーズナブルな需要にも十分に対応していますが、このクルマをベースにして600万円以上するコンプリートカーが売れる!というのがなかなかのトリックです。最初からレカロ付いててビルスタイン入っていて、ブレンボ付いていれば、個人でいちいち改造する手間もないですから楽なんでしょうけども、それでもポルシェや6気筒のBMWが買えちゃう600万円以上という価格はスゴいことです。やはりリーズナブルだけではなく他にも理由があると思います。

  例えば最も有名なスーパーカーブランドであるフェラーリの代表的モデルの内装は、誰に対してもコンフォータブルなわけではなく、現実は軽自動車よりも狭かったりします。乗り心地に関してはノーコメント(価格が1/3しかしないレクサスLSに負けるけど・・・だから何?)。エクステリアに関しても失礼ですが絶対的な「美」などとは程遠い曖昧さと前衛さが雑然と入り乱れた感じ・・・けれどもとりあえずブランド価値だけは抜群。これってそのまま「STI」にも当てはまります。あの垢抜けないエクステリアがあるから、ひたすらに固い乗り味の足回りがあるから、まったくラグジュアリーな要素がないインテリアがあるから・・・これら全てがSTIのブランドのコアとなっています。

  スバル自慢の「アイサイト」・・・もちろんそんなものは付いてないです。一般のスバル車とは完全に購入者の目線が違うのです。レカロシートが前に屹立してしまったら、リアシートの居住性なんかは完全に崩壊します。一般モデルでは後席の居住性を下げる要素は設計ミスと受取れてしまいますが、STIのユーザーはそのシートが付いているからこそ600万円払います。

  乗用車としての「使いやすさ」や、「デザインや高級感」、「乗り心地」といった高価格な乗用車では常識といっていいくらいですが、これらの非常に重要な評価基準を完全に無視してます・・・。そんなクルマだからこそポルシェや6気筒BMWと同じくらいの価格にもかかわらず国産の4気筒ターボで小振りなスポーツセダンが1日で400台も売れるのです。このクルマを「エクステリアがダサい」「乗り心地が悪い」「内装が安っぽい」と下らない視点で批判する人がたまにいますが、そういう人は黙ってアウディでも買っておけばいいわけです!ここまで開き直ってクルマを開発できたブランドだけが・・・フェラーリやポルシェのようなカリスマ的スポーツカーブランドへと羽ばたいていけるのだ!なんて独りで納得しちゃいます。

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2015年11月7日土曜日

ポルシェ・MISSION E 「ポルシェのスタイリングに感動するなんて・・・」

  

 「ポルシェ・ミッションE」・・・



   あんまりデカい声で言うと袋叩きにされそうですが、このクルマのデザインは日本車?みたいでなんか和みます。ひと昔前の東京MSに出てくる日本メーカーのコンセプトカーってこんなデザインの多かったような・・・。まあマツダも昔はポルシェをパクって大批判されていたこともありましたけど(RX7FC3S)、あれから30年経って逆にポルシェが昔の日本車デザインをパクる関係になるとは思いませんでした。RX8で採用されたスポーツモデルの観音開きドア(ロールスとは区別)に、フォロワーが現れることを願ってましたが、市販車では今の所は全くと言っていいほど普及していません!というか絶滅?と思ってましたが、ここに来てポルシェが採用するとは・・・。 

  まだまだコンセプトカーの段階とはいえ、こうしてポルシェに採用されてみると、この手のクルマを使うところのイメージがあれこれと結構浮かびます。このタイプならばフロントドアの長さもかなり抑えられるので、日本では使いにくいとされる2ドアクーペの左ハンドルでも、なんとかなりそうな気がします。左ハンドルしか用意しないシボレー・カマロみたいなクルマだと、道路脇に寄せて降りようとしてもドアが開けられないです。私ごとで恐縮ですが、いつも一方通行路の途中にあるクリーニング屋さんを使っているので、その際はちょっと路駐させてもらっているのですが、左ハンドル車にするならば、一通で右に寄せて停める!という裏技もあるのかな?それはそれで・・・なんかカッコいいかも。

  ちょっと余計なことかもしれないですが、観音開きの4枚ドアということは、3人以上で乗らないと基本的に後ろのドアを開ける必要がないです。観音開きドアでは前後のドアが同時に開いた状態そのものが壮観なのですから、普段は1人か2人しか乗らない独身ドライバーにとっては、その素晴らしいシルエットを楽しめるシーンは少ないのかもしれません。ちなみに前だけ開けたときは、ドア自体がヘンにコンパクトな感じですので、なんか貧乏くさい感じも。例えばレクサスISやBMW3シリーズに乗った時に一番ガッカリするのがドアの開け閉めの時ですが、この2台のように開閉時に「色気」が全くないパカパカタイプ(軽い!)のドアみたいに見えてしまいます。これはちょっと問題ですね!

  この「ミッションE」を市販化するのだとしたら、明らかに北米で人気絶頂で「最も売れているEV」とされているテスラ・モデルSをターゲットにしたモデルで、同時にパナメーラの後継モデルといった位置づけのEVセダンになるみたいです。・・・ということは、モデルSの価格帯が5万〜10万米ドルなので、かなりこれに接近した価格帯での発売が予定されているかもしれません。この5万米ドル以上するEVが最も売れているという事実はなかなか信じ難いですが、アメリカ政府もメーカーへの支援と補助金制度の拡充(HVの締め出し!)を進めた結果のアメリカの国策によるクルマなんだと思います。

  そしてこれは完全に憶測ですが(かなりタチの悪いブラックジョークですが)、フランクフルトMSでこの「ミッションE」が発表されたことで、今後のテスラブランドの販売(株価)に悪影響が及ぶことが懸念されたようで、ポルシェの所属する世界有数の巨大メーカーグループ「VW」に大打撃を与えようとしたのでは?・・・と勘ぐってしまうくらいのタイミングで事件が明らかになりました。もしかしてVWの尻尾を掴んだ大学の研究チームはテスラの関係者でした!なんておぞましいことは、アメリカのような「資本主義暴走国家」ではいくらでも起こるでしょう。そんなアメリカの最大の「属国」として世界に知られる国では、どこのの差し金かは知りませんが、輸入車ブランド第2位の地位にある「VW」に対するネガティブな報道が繰り返し垂れ流され続け、1ヶ月が過ぎた今でもまだまだ収まりません。

  そういった「企業陰謀論」とは全く別の話ですが、VWがどうあれ、この「ミッションE」のデザインはツボです! フロントマスクも日本人が愛していた(ちょっとしたブームになった)ランボルギーニにどことなく似てます。「ガヤルド」は好きだけど「ウラカン」はちょっとなぁ〜・・・という趣味の人にはすんなり受け入れられるデザインですね。控えめなルックスなのにモンスターってのが大好きって人多いです!!!一件垢抜けない感じなんですが、こういうデザインこそが10年経っても色褪せない普遍的な魅力を放つことが多い気がします(10年後どういう印象を持つかはわかりかねますけど・・・)。

  日本メーカーの生ける伝説!色褪せない魅力!といえば歴代のマツダのフラッグシップ車(ユーノス・コスモ、RX7、ミレーニア、アテンザ・・・)ですが、この「ミッションE」のデザインもそれに通じるような雰囲気を感じます(コスモという車名でマツダが作っても違和感ないですね)。今、世界のブランドがマツダのような飽きないデザインを作り上げはじめていて、テスラ・モデルSもそうですけど、ジャガー、メルセデス、ボルボ、フォード(フュージョンやマスタング)などに広がっているように感じます。ライトとグリルで「表情」を構築する手法がとても似ています。

  911、ケイマン、ボクスター・・・どれもリアデザインは現行の991型、981型になって非常に洗練されてきました。ドイツ車もリアデザインがまともに作れるようになった!とか言うと失礼かもしれないですが、リアデザインの出来映えで年式がある程度特定可能なのがドイツ車! LED装飾の進化こそがドイツ車の真骨頂・・・と「揶揄」する正義なライターは見た事ないですね、けどクルマの本質よりもLEDで売っている!って否定できないですよね。もちろん初代アウディTTやら先代のBMW6シリーズやら、この法則に逆らって優雅なリアデザインを持つ旧式のクルマもありますけど・・・。

  「ミッションE」のデザインが良いなと思ったのは、こうしたドイツ車の安易な方向性から抜け出しを図っていて、ポルシェというブランドが規定するデザインの枠をも軽く飛び越えて・・・バブル期の日本のラグジュアリーカーからアウディの台頭を経て現代に至るカーデザインの歩みの中でも「屈指の芸術性!」という評価を勝ち取るだけの「自由」があって心地よい感動を与えてくれます。またクルマの回りをどうデザイン処理するか?という「部分最適化」デザインに嫌気が差していたところで、ポルシェらしからぬ「美麗な3ボックス車のシルエット」のインパクトがデカいです。

  最新のBMW7シリーズ(6代目)の色気の無い胴体を見て・・・「もっとどうにかならないの?」、E38系7シリーズ(3代目)の頃のシルエットの美しさに回帰しようという気はさらさらないのか・・・とガッカリしました。パナメーラもクワトロポルテもギブリも全体のシルエットが破綻気味です。アストンマーティンV8ヴァンテージみたいな・・・キレイなシルエットのクルマをセダンで復活させてほしい!!!大衆車に過ぎないマツダ・アテンザよりもシルエットがキレイな高級セダンが無いなんて酷い時代だな・・・。けど予想外にポルシェが健闘してくれました。ぜひ市販化を!

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2015年11月4日水曜日

トヨタS-FR 「ヨタハチを知らずに僕らは生まれた」

 なんで黄色なのだろう・・・ スポーツカーだから それとも小さいから あるいはその両方だから? 

  そういう事を考えはじめちゃうと、なかなか冷静にクルマの価値が掴めなくなりがちです。某雑誌では市販化を諦めたと報じられていながらも、東京MSに出品されている「トヨタS-FR」に対して「あまり好意的になれないな・・・そんなバカな?トヨタは頑張ってのに」なんてヘンな葛藤に悩まされていませんか? でも思い返せば86のコンセプトが登場したときも同じような想いだったですけども、ご存知のように86は今や日本のクルマ文化の「現行車種代表」という重要な地位を占める存在になりました!

  ちょっと皮肉ですが、86って休日の峠に行ってもあまり見かけないです。もちろん全くいないということは無いですが、トヨタがさかんにプロモーションしているような使い方は実際にはあまりされていないような気がします。しかしそれに変わって路地裏の生活道路では早朝・日中・深夜問わずにしばしば見かけます。仕事帰りに駅からとぼとぼと歩いていると、雑然とした通りに不思議なほどマッチしています。これほどに駅前が似合うスポーツカーもないような・・・。スープラでもロードスターでも多少は違和感ありますし、NSXとかGT-Rとか停まってたら「なんだ?なんだ?」ってなりますけど、86は普段着のクルマとしての要素があります。

  別にスポーツカーとしてのオーラが無い!と馬鹿にするつもりはこれっぽっちもありません。夜道を流れてくる自動車の中でもやはりスポーツカーらしくルーフラインが非常に美しいですし、前後にアウディやらBMWやらが走っていることも多いですが、86が完全にスタイリングで勝っているのがよくわかります。「徘徊用」とか書いちゃうと誤解されるかもしれないですが、平日の深夜23時〜26時くらいの寝静まった道路をあても無く走るのがちょっとした日課(週に1~2回ですけど)になっていまして、同じような趣味の人を東京西部の五日市街道・所沢街道などでちらほら見かけますが、最近になって86が増えたような・・・。

  片側2車線の新青梅街道や甲州街道だと、しばしば輩なクルマが競りかけてきて、それはそれで楽しいのですが、だいたいは翌日の朝からの大事な仕事のプレッシャーに押しつぶされそうで落ち着かない夜は、アルコールを飲むわけにもいかず、気持ちを誤魔化すために走るので、信号も少なく交通量少なめ(トラック&タクシー少なめ)なマイナー道路の方が気分良く走れます。結構同じような趣味の人がいるようで、乗っているクルマも自分の好みが多いですね!

  「アルテッツァ」「シルビア」「スカイライン(32〜34)」「スカイライン(35、36)」「オデッセイ」「マークX」「レガシィB4」「インプレッサSTI」「チェイサー」「スープラ」などなど・・・。「非VIPオールスター」というべき陣容で、ドライバーズカーとしての本質が伴った国産車を愛好する人はまだまだこんなに多いのか?というのを実感できます。小一時間程度、いつものコースを徘徊すると軽く10台くらいはこういったクルマに出会えて、不思議と幸せな気分になります。

  今では86/BRZがそんな「非VIP」組の屋台骨を背負う存在になりつつあると思います・・・デビューした時点では全く仲間意識はなかったですけど(笑)。やや控えめなディテールは、デビューから3年経った今の方が冴えて見えます! ロードスターのようにシートに縛り付けられて、タイトな空間の中でガチのアクセルワークが強要される「マシン」ではなく、よりゆったりとした乗り方が許容されそうな、ややゆとりのあるボディサイズも、「徘徊用」ならばぜんぜんアリだと思います!

  夜のストリートですから、時には無法者とは言わないまでも、好奇心いっぱいのクルマ好きが興味本位でアクセル踏んできます。そんな時に変に気を揉まなくていいくらいの性能は「徘徊」用のクルマには備えておきたいです。軽自動車で徘徊しているときに絡まれると、蛇に睨まれた蛙のような気分であまり嬉しいものではないです。学生時代に友人の軽自動車でよく深夜ドライブしてましたが、当時はローリング族なんて言葉もあったスポーツカーブームの時代で、そういうクルマに後ろにつかれると運転している友人は相当に焦ってました。今の軽ターボなら出足の良さでそこそこ応戦できそうですが、信号間隔が長い道路ではやはり餌食になってしまいます。

  先日見かけた、ヘッドライトを機敏にフリフリして、スポーティな旋回をしていた対向車が、S660だったときはちょっとした衝撃でした。ミッドシップってやっぱりすっごいな!峠ならば輩なクルマを寄せ付けない走りができそうです。しかし登り坂だと軽自動車の限界が露呈するでしょうが・・・。やはり普通車規格にして自然吸気Vテックが欲しいですね(S2000後継)。・・・ってことで「トヨタS-FR」はすでに潜在的なニーズが相当にあるのでは?と思っています。

  話をまとめると、「86」はデビュー時の印象はイマイチでしたが、見事に「徘徊用」という日本で最も重要なポジションに収まってくれました!何だかんだ言ってもアルテッツァやシルビアの穴を見事に埋めてくれた!と言っていいのではないでしょうか? それに対して「S-FR」はより経済的な負担を少なくしつつも、満足できる走行性能を手に入れる!という意味で、デビュー時の86よりもメリットはハッキリしていると思います。「安っぽさ」・・・いまどきの日本車はそこに一番神経使ってますから、まあトヨタが抜かることはないと思います。86のインテリアはポルシェやロータスとほぼ互角ですし、それこそマセラティやアストンマーティンなんかと比べない限りは大丈夫かと。

  使い道もかなり明確です!誰だってクルマ好きならば、月に1回くらいは「MTのコンパクトカーでも買ってみようかな?」という想いが頭を過りますよね。ヴィッツかフィットかな、それともちょっとベタだけどデミオかスイフト?いやいやちょっと奮発してCR-Zかな、しかし乗り出しが300万円!はちょっと高いな、中古でいいな・・・げげ、CR-ZのMT車の中古価格は結構ヤバい!5万キロでも軽く200万円オーバー・・・。よし欧州車だ!DS3スポーツシックなら・・・当たり前ですがやっぱり中古で200万円。車両価格だけならタマ数が圧倒的な中古のロードスターなんでしょうけど、車庫が必要になってくるのが痛い。それに格安の中古欧州コンパクト&MT(フィアットやアルファの絶版モデル)は故障が怖すぎです!

  こんな悩み?を抱えて日々過ごしている我々に、安全・安心・低コストに加えて、高品質・好デザインまでも持ち味になってきた「世界のトヨタ」が、乗り出し200万円でFRでMTのスポーツカーを作ってくれる!とっても「ウェルカム」な話じゃないですか!!! トヨタは市販化に及び腰になっているみたいですが、これはトヨタの生産技術の本当の素晴らしさを伝える切り札的なモデルになれると思いますけどね。信頼性と日本市場への知見の高さがあるからこそ、トヨタのスポーツカーを選びたい!(トミーカイラZZではちょっと・・・)という声に応えてこその「ナンバー1・メーカー」じゃないでしょうか?


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2015年11月3日火曜日

レクサスRX 「キング・オブ・ファミリーカーの誕生!」

  誰も言わない本音・・・SUVなんて邪道!ただのファミリーカー! 

  SUVとは本来はトラックのシャシーに乗用車のボデーを載せたクルマです。過積載も上等!というくらいにトラックのシャシーは非常に頑丈に作られていて(ラダーフレーム)、そのシャシーでついでに乗用車も作ってしまおう!としたのが始まりだったとか・・・。黎明期はジープ(ウィルス)とランドローバーが、トラックさながらの強固なラダーフレーム構造を使って、軍用・行政用・民生用の車両として販売してきました。道路網が今よりもずっと貧弱な時代においては、治安出動用車両には悪路に耐えられる設計のクルマが必須でした。今でもアフリカの多くの国ではランドクルーザーやハイラックスといったトヨタ車が大活躍しています。

  時代は流れ・・・、道路もまともに整備されていない地域の為のSUVだったはずが、不思議なことにいまではインフラがバッチリ整っている日本を始めとした先進国で、高級車ブランドから次々とSUVが発売されるようになりました。自動車雑誌を隅々読んでみても、「なんでSUVが高級車になるのか?」の合理的な説明など誰もしてくれません!(見あたりません!)。自動車評論家の誰一人としてSUVが高級車として受け入れられている背景がわかっていないようです。ランドローバーは貴族の乗り物だった!という説明をたまに見かけますが、あの沢村さんがイギリスまで出掛けていってイギリス人に聞いてまわったところランドローバーの出自は民生トラックに過ぎないことが判明したそうです!「貴族文化」はでっち上げだと仰ってます!(ランドローバーは優雅でいいですよね!否定するつもりはないです!)

  最近のSUVはそのほとんどが、同じブランド内の小型車をベースにしています。ホンダだと、フィットからヴェゼルが作られていますが、ボディを高い位置にすることで、重心が上がってしまいその分だけ旋回能力と制動力は下がりますし、空気抵抗(CD値)も高くなってしまうので加速性能も燃費性能も悪化します。クルマの基本性能にとって良い影響などほとんど無いのに、それでもヴェゼルは売れ続けています。ヴェゼルの方がフィットよりも「高級に見える」・・・おそらくこの理由だけで売れているようです。

  ならばクルマの基本性能など考えずに、できる限り高級に見えるようにつくって、内装も豪華にしてしまえば、SUVはどんどん売れるはずです。どうやらその「方程式」が各メーカーにはとっくに存在していたようで、VWグループでは新型SUVをポルシェに開発資源を集中させ大型モデルに注力し、ボトムブランドのVWからコンパクトSUVを発売するのが後回しになり、大幅に投入が遅れたことが米国販売の不振につながったと言われています。カイエンを月に1000台売るのと、ホンダCR-VやトヨタRAV4が月に3万台売るのではどちらが儲かるか?・・・ちなみにカイエンは5万8千米ドルからでCR-VやRAV4は2万3千米ドルからです。

  米国に深く根を張っているトヨタやホンダに対して、愚直にボトムのVWブランドでSUV市場の勝負を仕掛けるのは確かに「愚か」で、プレミアム&ラグジュアリーブランドからの発売を優先した戦略も納得できます。しかし「走り以外」の部分での勝負となると、やはり強いのがトヨタとホンダ・・・。そんなトヨタグループが自信を持って「最高のラグジュアリーSUV」として発売している「レクサスRX」がフルモデルチェンジを迎えました。

  今年から日本でも最上級SUVとしてランクルをベースにした「レクサスLX」が発売されて、上級志向のユーザーはそちらへ移っていくでしょう。レクサスLXとランクルが「キング・オブ・SUV」ならば、レクサスRXはアルファードと並んで「キング・オブ・ファミリーカー」といった風格を持っています。「キング」ってどういう意味かって?・・・街中を走っていると、CX5やヴェゼルさらにはハスラーをたくさん見かけますが、そこに突如としてランクルが現れると!・・・なんちゃってSUV風味のクルマに乗っている人が居たたまれない空気になる感じですかね。それが「キング」です。

  同じようにヴォクシー、ステップワゴン、セレナでごった返すところにアルファードが現れたら・・・、5ナンバーのミニバンがなんだか軽自動車に見えてくる。しかもこのキングはそこいら中にいる!!!同じ色のキングが2台並んで走っていたり・・・。そして新たなキングが「レクサスRX」です。もうおわかりだと思いますが、トヨタ車には「国民車」の顔と「キング」の顔があります。クルマ文化に全く造詣のないアホなオッサンは「トヨタのデザインはつまらないね〜」なんて戯れ言を言ってたりしますが、ロールスロイスやマイバッハよりも「キング」なモデルを作りつづけてきたメーカーはほかでもなくトヨタです。「セルシオ」「ソアラ」「アリスト」・・・キング伝説はまだまだたくさんあります。

  最近のトヨタ&レクサスデザインは、量販車のブランドとは思えないほどにデザインで「攻め」てます。攻めないクルマはトヨタじゃない!なんて合い言葉がデザインを担当する部署では飛び交っているのでしょうか? 今回の新型RXもその傾向がしっかり現れていてノーマルでほぼ「フルエアロ」の状態です。ひと目見てフロントグリルのデザインだけでなく、フロント・サイド・リアに至るまでスカートが張り巡らされていてビックリなんですが、これはトヨタが新しい「キング」を生み出す為に意図的にやっているのだと思います。

  ここまでやられちゃうと、ハッキリ言って他のブランド、特に輸入ブランドはツライですね。レクサスRXとサイズ・価格でガチンコになる「ボルボXC60」なんて、RXと比べちゃうとデザインから「プレミアム」な雰囲気はまったく感じられなくなります・・・。いやボルボだけじゃないです、ポルシェ(カイエン、マカン)もなんだか地味に感じます。BMWはX5はSUV専用設計シャシーなので独特のオーラが出てますが、X1〜4あたりではまるでレクサスRXとは勝負になってないです!メルセデスもGLA・GLK・GLE・GLはオーラがない(売れてない!)。伝統のゲレンデだけはいつ見ても特別ですね・・・。

  そして何といってもレクサスのSUVはセダン系よりも上手く作れているのでは?と思うほど、このブランドは車高が高いクルマの内装が巧みです!インパネのデザインなんかデカいクルマほどよくまとまっています(もちろんコンパクトカーも上手いですけど)! 「オマエの好みを押し付けるな!」とか言われそうですけども、BMW、アウディ、メルセデス、ポルシェのSUVのインパネ見てから新型RXのインパネ見てみてください!完全に1世代以上先に進んでいますよ!ドイツ勢はトヨタブランドのハリアーと比べても苦しいくらいです。レクサスを上手く取り入れているフォード・クーガの現行モデルの方が、ドイツ勢よりもよっぽど良くできているように感じます!

  今ではアメリカ車を代表するプレミアムブランドのリンカーンもキャデラックも内装から乗り味まで完全にトヨタ・レクサス調になっています(ジープ擁するクライスラーはイタリア路線みたいですが・・・)。日本に入ってきているシボレーやフォードを試すと、安いアメ車はなんかVW車みたいな雰囲気で、高級なアメ車はトヨタ車!キャデラックATSのハンドリングなんかまるでマークXみたいです。そういえば中国のトップメーカー「第一汽車」も、小型はVWをフラッグシップはトヨタをベンチマークしてましたね。

  もはや「レクサスRX」の勢いに対抗できるモデルは、ジープとランドローバー(あとはフォード?)だけですね。ジャガー、マセラティ、ベントレー、ランボルギーニがSUVを投入してきても、物好きしか振り向かないでしょう。CX5、CX3、ヴェゼル、エクストレイル、エスクードなどなど大衆ブランドにも良さげなSUVはたくさんありますけど、やはり冷静にクルマを比較してみると、レクサスこそが「SUVの覇者」なんだとわかります。まともなSUVを買うなら絶対に「レクサス」「ジープ」「ランドローバー」の三大ブランドだと断言してもいいくらいですね・・・(BMW・X5とメルセデスGクラスもいいけどね)。


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2015年11月2日月曜日

BMW118i 「このクルマをどうする?BMWの分岐点?」

  BMWのフラッグシップモデル「7シリーズ」が新たにフルモデルチェンジしました。何が変わったの?というツッコミはさておき、もはやこのクルマは映画のヒーローが乗り回すようなワイルドな7シリーズからは遠く離れてしまった感があります。かつての7シリーズのようなBMWを象徴するドライバーズカーの地位は、今では「i8」が担っているようです(映画で使うならこのクルマだろうな・・・)。街中で見ていても週末に颯爽と走らせる非日常なラグジュアリーの「プライベートGTカー」として、「ベントレー・コンチネンタルGT」や「マセラティ・グランツーリズモ」のような使い方ができるBMWのモデルは「i8」か「6シリーズ」でしょうか・・・(6シリーズはメタボだ)。

  しかし街中でi8や6シリーズを見かけても何だかアツくなるものがない・・・そもそもBMWにこの種のクルマは望んでいない!!!という想いが沸々と渦巻いてないですか? 2000万円をクルマに使うことができるなら他のブランドから選びますから!というと失礼かもしれないですが、BMWには全ての自動車メーカーの範として、操安性などの技術の高さが光る身近なブランドであってほしいです。「身近」というのは、同クラスの日本車(レクサス以外)+100万円程度の価格に抑えてあるくらいでしょうか。その水準に収まった価格で登場した3シリーズのディーゼルは人気になりましたが、今回は1シリーズからもなかなか期待できそうなグレードが登場してきたようです。

  1シリーズ、3シリーズ、5シリーズ、7シリーズと大まかに分けて4種類に分けられているBMWのラインナップですが、日本での使い道で「長距離用」と「短距離用」に大別すると、困ったことにそれぞれにすんなりとハマるクルマがあまり見当たらないです。まず長距離用に関しては直4のディーゼルユニットが用意されているわけですが、これを5シリーズに使うにはやや非力で振動面でも物足りないですし、3シリーズに使うとしたら今度はエンジンではなくボディサイズ(4635mm)がツアラーとして物足りません。5ナンバーサイズの全長(4.7m以下)だと、居住性という点でどうも長距離用としての適性は低いです。3シリーズをベースにホイールベースを伸ばした「GT」というグレードがあって、このモデルだけが現行のBMWでは長距離車として適格だと思われます。

  一方で短距離を楽しむモデルとなると「Z4」あるいは「M235i」「M135i」なんですが、どれも価格が・・・快適装備が必要な長距離車よりも高く設定されています!これでは残念ながらお買い得感は皆無です(単なる趣味のクルマ!)。もっとシンプル(長距離車ほど装備はいらない!)でかつドライビングが楽しめるクルマが欲しいですね。そこでFRシャシーの1シリーズです。このクルマはボデーから用途を考えると、お買い物やお迎え用といった短距離のニーズしか想像できませんから、やはり余計なものを削ぎ落して(ナビも要らない!)シンプルに運転が楽しめるクルマにした方がいいです。とりあえず8速ATなんて重装備が不要!6ATあるいは6MTの方がエンジンとボデーの良さを感じるにはベターです。

  日本に入ってきているモデルはトヨタ車のようにバネレートを下げてフニャフニャな足で乗り心地を柔らかくしていますが、期待したいのはBMW本来の固めのアシでフットワークの良さとハンドリングの良さを感じられるモデルであってほしいです。1シリーズのメインユーザーには女性や老人が想定されているのでしょうか?・・・というステレオタイプで短絡的なマーケティングではダメですよ! 実際に街中で見ていると女性や老人の方が固いアシのクルマを平気で乗りこなしているケースが目立ちます。つまりフニャフニャのアシのコンパクトカーを好むのは、クルマの運転に興味がないオッサンだったりします(オッサンの女性&老人化!これがBMWマーケティングの肝か?)。

  オッサンなのにジュリエッタ(ゴルフ、アクセラ、インプレッサ、オーリス、V40、Aクラス、C4、DS4、308)!みたいなヤツが増えててキモい!!!!!!!!なんて個人的な嫌悪感はちょっと封印しておきましょう。Cセグ車全体に言えることですが、各ブランドがちょっとでも利益率を上げて売りたい!という下心見え見えの進化をした結果、非常にクルマの価値がわかりづらくなっています。メディアは激戦区だと煽っていますが、蓋を開けてみると・・・ゴルフとアクセラの低調な争いが続いています(ゴルフは輸入車にしては売れてますけど)。価格の割に所有してもあまりうれしくないクルマ達。とりあえず高級車の目立つけど低コストな装備を盛り込んでおこう!という姿勢がダメだなあ・・・。

  「もっと素のモデルがあってもいいのでは?」とはいろいろな人が言ってますが、さらに所有欲を減退させるかのようなガリガリでヘルシーなダウンサイジングばかりが先行していては、「美味しい」乗り味なんて期待できません。他の装備カットしてでも、インプレッサのボデーにレヴォーグのユニットのターボユニットを載せてしまおう!みたいな「色気」があのスバルですら出てこない(やっと過給HVが出ましたけど)。そんな痒い所にまったく手が届かなくなった日本のCセグ市場に一石を投じたのが・・・フォードの新型フォーカスでしょうか。1.5L直4エコブースト(180ps)というフォード自慢のユニットがいよいよ日本でも発売されますが、これぞインプレッサのボデーにレヴォーグのエンジン!(=ボルボV40)

  このフォードのエコブースト・エンジンがFRシャシーの1シリーズに載ったらさぞかし楽しいだろうな・・・。ホンダも新型シビック(typeRではないモデル)に、これと同等の1.5Lターボを用意しているようで、BMWも対抗するためには同じようなスペックの1.5Lエンジンが必要になるとは思いますが、フォードとホンダに比べたらBMWなんて「中小企業」ですから体力勝負ではちょっと分が悪いようです。それでもフォーカスよりも安く買える「118i」に積まれている1.5L直3ターボ(136ps)も、これはこれで素朴でいいと思います。欲を言えば1シリーズのボディとシャシーを軽量化して、1300kgくらいに収めてくれればさらにいいのですが・・・(ミニ・クーパーに乗ってろ!とか言われそう)。

  単純に「速さ」を追求するならば、さらに小さいサイズ(Bセグ)のフィットRSやスイフトスポーツがあるわけですが、1シリーズのようなCセグならば、5ナンバーよりも一回り広いトレッドが使えるので、後輪に配備されたマルチリンクから粘りと安心感のあるハンドリングによって、高速域での走りの安心感が大きく変わってきます。高速をオラオラで走ったときに、怖いのがBセグで怖くないのがCセグ?なので、気ままに自動車専用道路走ったりするならやっぱりCセグがいいですね。もっともマルチリンクのリアでは走りがつまらない!というラディカルな意見もありますけど。

  BMWにそのつもりがあるかどうかわかりませんが、まだまだ1シリーズは改良の余地が多い、いやまだ何も始まっていない「原石」のようなモデルに思います。このまま安易にミニを共通化(FF化)を図っていくのか?それともBMWブランドの命運を握るモデルとして独自路線を保つのか? 「カローラ」が例としてふさわしいのかわかりませんが、1シリーズもカローラのように経済的負担をあまり感じずに、「ブランド」といった曖昧で「剥げやすい」付加価値(Cセグでは意味ない)ではなく、扱いやすさという「道具感」の良さで勝負してほしいです!!!とりあえず今回は円安局面にも関わらず再び200万円台に突入したということで、そんな「望ましいBMW」が今後展開されそうな予感もあります。

  「カローラなんて安物!」・・・そう思っているのは日本人だけですね。確かにクラウンやフーガといった高級車と比べれば「安物」かもしれないですけど、Cセグ同士で冷静に比べたら・・・シャシー・足回り・インテリア装備の使いやすさ!どれをとってもやはり超一流です。アクセラ、インプレッサ、ゴルフといったこのクラスの猛者と比べても、全然負けてない!(好みの問題はあるでしょうけど)。

  先代までのカローラの中古車だったり、北米カローラのシャシーにプリウスのユニット載せたレクサスCT200hに乗ればその実力はよくわかります。現行のカローラはBセグ化してしまいましたけど、それでもゴルフと比べて「負けている!」という印象はありません。あらゆる路面で乗り心地を下げずに走るという意味ではカローラは今でもゴルフを上回っています(もちろんアクセラもインプレッサも)。

  1シリーズもクラス内での評価はかなり微妙です。ゴルフやアクセラのユーザーから1シリーズがちょっと馬鹿にされるのは、Cセグのスタンダードである「カローラ」的なお約束が守られていない部分が大きく、やはり完成度の低さがあれこれ目立ってしまうからです。しかしトヨタとBMWが今後一緒になってCセグ車を開発すれば、クラスの頂点を狙える1シリーズなど・・・いろいろ期待できそうですね。

  軽量化という大きなメリットがありますから、1シリーズもいっそのことFF化してしまえばいいと思います。ちなみに現行カローラは1.5Lモデルに5MT車があって、これがマツダもスズキもびっくりなほどに、軽量化もしっかりできています(ヴィッツのMTモデルと車重差はほとんどない!)。ここに1シリーズにとっての大切なヒントがあるような気がしてなりません。まずは軽量化とMTの日本導入から頑張ってほしいですね。


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