2014年7月30日水曜日

スバル・WRX-S4 「日本車の”意地”ってヤツですか・・・」

  やっと街中でレヴォーグを見かけるようになったと思ったら、8月には早くも次の新型車がスバルから発売されるようです。しかももうとっくにスタンバイ完了のようで、スバルのディーラーには展示車両が出現しているみたいです。早くも購入予定車のブログにディーラーで見かけた写真が投稿されていましたが、これは素晴らしい出来映えじゃないでしょうか!スバルのデザインにここまで魅了されたのは初めてです。とりあえず従来のスバル車のイメージを打ち破るような高級感のあるエクステリアにビックリです。やはりセダンのトレンド(=高級化)の前には我が道を行くブランドで知られるスバルも逆らえないようです。

  カーメディアでは新型メルセデスCクラスが「完璧」としきりに持ち上げられて盛り上がってますが、日本勢の最有力の対抗馬がこの「WRX S4」になると言ってもいいかもしれません。新型Cクラスは確かにメルセデスのさらなる「前進」への意欲を感じる力作だと思いますが、その一方で肝心のクルマ自体を冷静に評価すると、それはあくまでメルセデスを好むユーザーの価値感においてはほぼ「完璧」ではありますが、ライバル車に対して「絶対的優位性」はあまり感じないです。基本性能でスカイラインやレクサスISを超えているか?というと厳しい部分もありますし、とりあえず「メルセデス的価値観」の中でナンバー1を狙ったクルマといっていいかもしれません(詳細はまた改めて)。しかしその領域に予想外のところからスバルの「S4」が踏みこんできてしまった印象です。

  メルセデスが「次世代サルーン」に必須と考えている要素として「安全装備」と「AWD」があるようで、上級車種では軒並み「4MATIC」による高速安定性が売りになっています。末端的グレードになるCクラスは「安全装備」こそ最高レベルのものが標準装備されていますが、「AWD」に関しては見送られているので、メルセデスが目指す理想の「次世代サルーン」としては中途半端な部分もあるのかなという気がします。そしてなによりメルセデスがこのコンセプトを拝借したのが、スバルが北欧や北米で培ってきた「高機能」なブランドイメージだということは明白です。

  なんかその辺に「カチン」ときてしまったスバルのイライラが、この「S4」のデザインによく表れているような気がします。スバルが去年発表した「WRXコンセプト」を見てメルセデスとの類似を感じた人も多かったようですが、その時点ではまだスバルがなぜメルセデス風のデザインを志向しているのかいまいちピンときませんでした。

  メルセデスはアウディを超えるべく「AWD」ブランドとしての脱皮を図りつつ、2Lターボの出力を大幅に上げてスバルなどを挑発していますが、根底では「スバルは正義」と認めている部分はあると思います。そしてスバルはメルセデスのデザインを「リスペクト」することでブランドイメージの「高級化」に取り組んでいるようです。どう見ても「相思相愛」に見えるのですが、トヨタ傘下のスバルと日産をビジネスパートナーとするメルセデスですから「禁断の恋」かもしれません。

  さて新型WRX「S4」は、簡単に言うと「レヴォーグのセダン版」以外の何者でもないクルマですが、元々レヴォーグの誕生へとつながったのは現行のWRXに途中から導入され、WRXに初めて「CVT&ターボ」を設定した「A-line」です。ただこれには多くの熱心なファンを持つスバルにとってはやや逆風で、世界に誇る伝統の「WRX」に2ペダルが設定がされたことに対して、かなりネガティブな意見も、いや「WRXにCVTはあり得ない!」くらいの完全否定すら喰らってしまいました。それでもそれが逆にスバルの闘志に火を付けたようで、スバルが社運を賭けている「CVT&ターボ」を何としても世間に認めさせようという”意地”を感じます。

  もちろん「WRX」といえば「MT」で旧型エンジンの「EJ20」を使う完全熟成のユニットがあるわけで、今回はエンジン交換は止むなしなど、いろいろな憶測がありましたが「STI」グレードではそれが残されました。一方でレヴォーグと同じ「CVT」&「FA20DIT」に換装された2ペダルグレードを「A-line」から「S4」というまったく新たな称号(アウディのパクリっぽいが・・・)を与えていて何やら「秘めたもの」を感じます。スバルとしては「誰でも気軽に運転できる」高性能セダンを新たなブランドイメージとして確立していきたいという意図は確実にありそうです。アイサイトが予想以上の大ヒットとなりましたが、これは「STI」モデルにはいろいろと制約があって設定が難しいようで使われていません。しかし次世代エースの「S4」にこれを付けないわけにはいかないので、WRXとしては初めてのアイサイトモデルが登場するようです。

  エンジンもミッションも完全に別のものを使い、アイサイトも使い分けるなど「S4」と「STI」には同一車種とは思えないほどの方向性の違いを盛り込んでいる辺りが「スバル」なのかもしれません。もちろんメルセデスにも「AMG」というキラーコンテンツがありますし、新型Cクラスには1000万円をだいぶ下回るいくらかお買い得なAMGチューンモデルが設定されるのでは?という噂があります。すでにA/CLAで格安の「AMG」が展開されていますが、これらの価格設定をみるだけで、メルセデスがどれだけスバル「STI」を恐れているかがよくわかります。いよいよWRXもスバルファンだけのもではなく、「S4」が広く一般レベルで「高級かつ高性能」な1台として認知され、大ブレイクする可能性もあるように思います。メルセデスとスバルの闘いの結末が楽しみです。

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2014年7月22日火曜日

BMW M235i 「最後の聖域?なんかちょっと・・・」

  新型スカイラインを見てグダグダと訳の解らないことを言い続ける、オールドファンとオッサンライターが構成するカーメディアには辟易します。そんなに直列6気筒ターボ&MTが欲しいなら、BMWから出てる"スカイラインGT-Rのレプリカ"こと「BMW M235i」というモデルが一応ありますけど・・・あくまで「レプリカ」ですが。6MTが選択できて本体価格(約600万円)もボディサイズもR34並みで納得できる部分も多いのではないでしょうか。残念ながらAWDではないですが、0-100kmも5秒をクリアしているなかなかの俊足です。ただし現行のスカイライン350GTも余裕で4秒台ですが・・・。

  トヨタが意地で作り上げて来たクラス最高峰に位置する「レクサスIS350Fスポ」が612万円なので、少々サイズが違うにもかかわらずどっちにするか悩む人も居そうです。もちろんこの2台よりもハイパワーかつ好燃費の「スカイライン350GT」があって、最上級グレードでもこの2台よりもいくらか安いという、なかなか「シュールな展開」ではあります。けどここで声を大にして言いたいのが、燃費・出力・乗り心地(NVH)をある程度は見過ごしても、これらのクルマにおいて最も評価してあげたいと思うのが、各ブランドが選択した「アプローチ」でクルマ個性が磨かれて「輝いている」ということです。プ◯◯スやゴ◯フを選ぶような安っぽい価値基準とは全然見るべきところが違うわけです。

  日独を代表する自動車メーカーが、本当に心から楽しめる「グランドツーリングカー(GTカー)」を作ろうと凌ぎを削る姿は、エコカー全盛の現代においても、いやそんな時代だからこそ「熱く」こみ上げてくるものがあります。「6気筒で300psオーバー」という点くらいが共通で、そこから先は各ブランドの目指す方向へ個性が炸裂しています。レクサスがBMWに敬意を示してハンドリングを徹底的に強化すれば、BMWはランフラット装着による乗り心地悪化を緩和するため(M235iはランフラットではないけど・・・)に、トヨタ流のしなやかな足回りを使うなど、どことなくお互いにリスペクトし合っている姿も印象的です。

  日産(スカイライン350GT)だけはやたらと「完璧主義」を前面に押し出してきてもちろん素晴らしいですが、その一方でレクサス(IS350Fスポ)とBMW(M235i)は「ブランドの末端モデル」としての"愛すべき不完全"さを持ち合わせたクルマになっていて、これはこれで所有欲をかなりくすぐってくれます。レクサスIS350Fスポは実質燃費8km/L前後ですが、それでもオーナーさんの心証を読み取ると、量販車ながらここまで精緻に作られた「工芸品」が感激したので、頑張ってガス代稼いで大事に長く乗ってあげたい!といったところじゃないですかね。

  トヨタと日産が互いに競った「ジャパニーズV6」は間違いなく世界最高の高級車向け6気筒の名エンジンです。メルセデス、フォードといった名だたるメーカーよりも突き抜けて静かで燃焼効率がよく、高級車らしいフィーリングを備えた日本の自動車産業が世界に誇るべき逸品です。トヨタや日産のエンジニアがこのエンジンを使い続けるのは、コスト面の問題と切り捨てる評論家もいますが、むしろ「思い入れ」の方が大きいのではないかという気がします。そして大排気量NAに拘ったからこそ、GTカー最高レベルに達したレクサスのハンドリングが生きてくるわけで、大変失礼ですがこれにターボ付けろと大合唱している低能な評論家の皆様は全く何も解ってないんじゃないですか?

  日産GT-Rは3.8LのV6ツインターボで、ポルシェ911ターボSに肉薄する実力を示して全世界に受け入れられましたが、レクサスIS350Fスポもポルシェ911カレラSに最も迫っている一台だと思うんですよ。加速&最高速を競う「ターボS」と、NAの誇るフィーリングとハンドリングを楽しむ「カレラS」の二枚看板を掲げる王者ポルシェをどれだけ意識できるか?というのが、現代の「プレミアムGTカー」の価値だと思います。そこにはダウンサイジングターボの入る余地などない!と言い切ったりはしませんが、やはり直4ターボでは辿り着けない領域がまだまだたくさん残されているように思います。

  BMW M235iのオーナーさんも、BMWのスポーツモデルにしてはコーナーでの落ち着きが無い足回りにガッカリするどころか、逆に運転技術を高めてこの足で気持ち良く走ってやる!と気合いが入るくらいの懐が広い人ならば、むしろ良い出会いと言えるのではないでしょうか。セリカ、スプリンター、トレノ、MR-Sといったトヨタの愛すべきスポーティ・カーを所有してきた人ならば、この気持ちは良くわかりますよね。マ◯ダのロ◯◯◯ターみたいな軽量・低重心・足回りガチガチの本気モードのスポーツカーで峠を楽しんでいる人を否定するつもりはないですが、なんだか"ガチ"過ぎて見ていて引いてしまう時があります。そんなに常時グリップ状態じゃないと怖くて走れないの?(危険運転を肯定してはおりません!)

  最近ではフェラーリもランボルギーニも同じ"工業製品"だとばかりに、FFの200万円もしないクルマと同じフィールドでハンドリングを評価したりする無茶な企画をよく雑誌メディアで目にします。そもそも2ドアと4ドアを比較するだけでもナンセンスとかつては言われていたようですが、現代では2シーター・ミッドシップのランボルギーニ・ガヤルドと4ドアF-AWDのVWゴルフGTIを平気で比べちゃうわけです。誰が見てもガヤルドの方が車重も軽くて、低重心で、エンジンが中央でバランスも良いことくらいわかりますし、GTIに勝てる要素なんて一つもないわけです。

  そういうおかしなメディアに毒されてくると、BMWが現行の1~4シリーズで使用している「L7プラットフォーム」を吊るし上げて、これはBMWではない!と言いたげなジャーナリストが・・・。私もまったくお恥ずかしいことですがF20・F30系に関してはかなりの「偏見」を持ってます。当のBMWもさすがにこのシャシーをそのまま使ってM3/M4を作るのは憚られるのか、F30/F32を名乗るはずの製造コード番号がなんとF80(M3)とF82(M4)とベースモデルとは違うものになりました。ここまで改良したのだからもう別のクルマだ!と言いたいようです。しかしそれは同時に「L7プラットフォーム」の性能に何らかの後ろめたさを感じていることの現れに他なりません。

  福野さんや沢村さんの評論を読み倒すと、トヨタや日産がかつてのドイツ車のような高性能シャシーを開発すると、「ドイツの真似」と揶揄され、BMWやメルセデスの下位グレード車がトヨタに倣って乗り心地の良いシャシーを作ると「コストダウン」と言われたりする風潮をつくり出してるのはこの2人か?という気がしないでもないです。価格に見合った高性能を求めるならばレクサスか日産を買えばいいし、シャシーの限界が低くてすぐにテールスライドしてしまうシルビアや、タックインするシビックtypeRやカローラランクスZエアロが懐かしいと思うならば、「M235i」や「M135i」というのはなかなか好感触なんじゃないですかね。そしてお金が余って仕方が無いという人はBMWやメルセデスの「本物(1000万円オーバー)」を買えば良いですね。

  

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2014年7月14日月曜日

トヨタ・新型スープラ 「高級スポーツカーとは一体何?」

  スープラ復活!というニュースがいよいよトヨタからリークされたみたいです。もちろんやる気満々のトヨタをぜひ応援したいですし、BMWとタッグを組むというアイディアもとても良いものですね。スープラを名乗るならとりあえずはBMWが投入した最新の3L直6ツインターボが載ってくるだろうと誰でも想像しそうなところですが、どうやらそういった王道のスペックではなくて、マイルド路線の「変化球」になるようです。

  同時期に発売されるホンダNSXへの対抗モデルという位置づけもあるかもしれませんが、トヨタは幅広い価格帯を設定するためにコストが抑えられる「2Lターボ」と高出力・好燃費を実現した「2.5Lターボ&HV」という新開発エンジンを搭載する見通しだそうです。普段は新型ユニットの開発には慎重な姿勢を見せるトヨタが、「ターボ&HV」を無理やりに仕込んでくるあたりに「イメージ戦略」における神経戦が伺えます。かなり前から3.5LのV6ターボ&HVで登場すると告知されている次期NSXに対して「ターボ&HV」なんてトヨタでも簡単につくれますよ!とばかりにホンダの一人勝ちを防ぐ狙いがあるようです。そして自動車評論家に安易に否定させない為の戦略として「BMW」のクレジットを入れる・・・なんと完璧な戦略!

  トヨタと組むことを決めてからのBMWはやたらと「サスティナビリティ」を連呼するようになった印象です。ドイツでは一般に「環境志向」の意識は高いと言われていますが、旧態依然な自動車業界に関しては、VW、メルセデス、BMWともにまだまだ「方向性」を示した段階に過ぎません。日本の「アホ〜」なクルマ雑誌はやたらと「ドイツは日本の数歩先を行っている」と言いたがります。しかし「環境」に関してはドイツメーカーはまだ「旗」を掲げただけで、それを高いレベルで実践しているのが日本で販売される日本車くらいなのだから、日本の自動車産業の先進性をもっと誇るべきだと思うのですけど、なぜか彼らの合い言葉は「日本はオクレテル」「早くターボ化しろ」・・・です。

  最近では欧州でも高級EVを作る「テスラ」が急速にシェアを拡大しています。VWグループもポルシェ・パナメーラーSをPHV(Eハイブリッド)にして、「環境」イメージの拡大に務めています。ただ欧州メーカーの「環境」戦略は、日本やアメリカと比べて一般ユーザーのコンセンサスを得られていない部分もあるようで、自動車というインフラそのものを否定する動きがドイツでもかなり目立っています。過去10年間で新車販売が4割減というドイツは、10年前とほぼ同水準まで回復した日本と比べると「クルマ離れ」の加速度が大きく違います。これにはやはりトヨタ、ホンダをはじめとした日本メーカーの本気度がクルマの存在意義を変えつつあるからと言ってもいいかもしれません。なぜ自動車評論家は彼らの仕事を残すのに貢献してくれる日本メーカーを叩くのでしょうか?

  自動車雑誌に散々にネガティブキャンペーンを張られながらも、突き進んできた日本の「サスティナビリティ」がいよいよ、自動車雑誌の"本丸"と言えるBMWをも巻き込みつつある中で、自動車評論家のみなさまはどのような態度をとっていくのかが注目されます。直4や直3を突きつけられても「これはBMWではない!」と言えなかったメディアですから、トヨタの思惑通りに「BMWが味付けをするとやはり全然違う!」みたいな茶番を「繰り返す」のでしょうか(トヨタとしては自爆の印象もありますが)。マツダ・アクセラHVの「加速が滑らかさ」への絶賛記事を見て、現行プリウスユーザーは「もうプリウスだってだいぶ進化してるから!」と不快感すらあったかもしれません。

  トヨタの真の狙いは「HVのパイオニア」として、VWグループやホンダに引けをとらない「HVスポーツ」を出して、ライバルよりも確実に注目を集めることでしょう。「ポルシェ918」は一般人にはまったくリアリティがないクルマですし、おそらく新型NSXも同様の路線を取ると思われます。その一方で新型スープラは「手の届く」価格設定に落とし込んで、人気爆発を狙うという現実路線のようです。BMW Z4の路線を踏襲するなら600万円〜の価格設定でまあ「高値の花」ではあります。日産GT-Rを先例として挙げると・・・日産ファンから「ポルシェを本気にさせたGT-Rは別次元!」と大クレームが起こりそうですね。

  この新型スープラ開発を報じていた一般メディアで、「高級スポーツカーの開発に定評があるBMWと・・・」みたいな紹介がされていたのにはやや違和感を感じました。もちろん一般の読者に理解できる表現を使うことが大切なのはわかりますが、10年以上も「名車」と形容できるようなクルマを輩出できずに迷走を続けている現状を考えると「皮肉」にすら受け取れます。そもそもこのブランドは「スポーツカー」という概念を限界まで薄めて、単なるメーカーの「合同公開テスト」と化してしまったドイツの「DTM」という「泥舟」に乗っているだけの「哀愁」すら感じます。スポーツカーとは本来は個性の塊みたいなものですが、DTMもスーパーGTも「レギュレーション」を見るだけでウンザリするんですよね。今のF1を「つまらない」と感じる人も多いですが、ツーリングカーレースはもっと「つまらない」です。

  沢村慎太朗さんに言わせれば、フェラーリ・ベルリネッタも「もはや・・・」らしいですが、それでもフェラーリやポルシェが放つ個性に比べれば、BMWはもはや新興国生産が主体の量販車ブランドでしかないです。このブランドが今でも日本人の頭の中ではスポーツカーのアイコンになっているのか?と誤解されかねない記事を平気で大手メディアが発信することで、「日本人は全く本質がわかってない」とバカにされるんでしょうね。


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2014年7月7日月曜日

レクサスNX 「安さ爆発!の北米価格なのに・・・」

  まだ公式サイトには掲載すらされていないのですが、レクサスNXは北米でも発売される見込みで、アメリカ誌によると3万米ドル〜という価格設定になるようです。アメリカ価格で3万ドル〜というのは、プレミアムブランドの一つの基準で、主に最底辺に位置するモデルの価格帯で、3シリーズ、A4、Cクラス、レクサスISなどがこのクラスに該当します。これらのモデルは日本価格も本体450万円ほどで横並びに設定されています。「日本価格は50%増し」がこれら4ブランドでは常識みたいです。

  ちなみに日本の自動車ファンから「売国企業」と反感を買っている日産のスカイラインですが、日本で発売されているHVモデルの北米価格が4万5000米ドル〜となっていて、実は日本価格とほぼ同じというとても良心的な価格設定です。そしてレクサスNXの予想北米価格とほぼ同じ3万ドルで売られている日産ムラーノは日本でも300万円から設定されています。それに比べると、やはりレクサスISとレクサスNXの日本価格は高いと感じてしまいます。

  トーマス=フリードマンがかつてレクサスをグローバリゼーションの「象徴」として挙げた時は、正直言ってピンときませんでした。当時はアメリカで売られているレクサスがセルシオ、アリスト、アルテッツァ、ウィンダムとして妥当な価格で日本で売られていただけでしたから・・・。それが現在では何となく理解できるようになりました。確かにレクサスはアメリカだけでなく日本でもメルセデスやBMWと肩を並べるほどの「メジャー」ブランドになりました。

  フリードマンは確かNBAの選手を例に挙げてグローバリゼーションを説明していましたが、「シカゴブルズが全盛の時代にはNBA全選手の約半数が「最低年俸」の約2500万円だったのに、マイケル=ジョーダンといった一部のスター選手はCMなどの収入を合わせると50億円くらい稼いでいる。バスケットボールの実力はそれほど大きくは変わらないチームメート同士なのに、なぜそんなに格差が広がるのか?」このことを説明できるのが「グローバリゼーション」というわけです。その詳しい説明は省きますが、つまりは「メジャー」かどうか?がそのものの「価値」に大きな影響を与えるということです。レクサスと日産(インフィニティ)の日本における「格差」にもほぼ同じような説明が当てはめられそうです。

  それでもこのレクサスNXが「メジャー」にあぐらをかいた権化か?というとそうではない面もありまして、メルセデスやBMWといった他の「メジャー」と比較する中ではいくらか謙虚な存在になっているようです。プレミアムSUVを開拓したBMWのラインナップと単純に比較すると、「X3と同じ内容でX1の価格で済む」というプレミアムSUVのバリューを刷新しようとする狙いを秘めた1台です。簡単に言うとメジャーの中での「価格破壊」を意図しているようですが、同じようなクルマは他にも出て来ています。レクサスNXだけでなくメルセデスGLAも同じようにリーズナブルなプレミアムSUV市場を切り開こうとしています。

  これまでトヨタRAV4やホンダCR-Vといった2万ドル程度のSUVが売れる一方で、SUV界の"マイケルジョーダン"になったX3は4万ドルで販売されていました。しかしご存知の通り、年俸問題で選手会のストライキが発生するなどして、NBAの世界的な注目度は急激に落ち込みかつてのような輝きを今では世界に発信することはなくなりました(バブルが完全に弾けました)。NBAに代わって英国プレミアリーグ(サッカー)が巨大スポーツ産業として台頭してきたようですが、例えば人気チームのマンチェスターUのスタメンの年俸は1億〜20億円程度の開きはあるものの、かつてのシカゴブルスほどは格差は無くなっているように思います。NBAのストなどを経て行き過ぎた格差が是正され適正なレベルに抑えることを目指して、あらゆるプロスポーツでここ10年の間に議論されてきた結果と言えますが、それと同じことがプレミアム車の購入価格にも反映されつつあるのかもしれません。

  「価格」の問題とは別に、市場からSUVに求められるものも年々大きく変化してきました。かつてはエクゼクティブの間で大ブームを巻き起こしたプレミアムSUVですが、ハマーの破綻以降流れがだいぶ変化してきました。2001年9月11日以降のテロ対策意識の高まりから大ヒットしたのが、2002年に発売されたハマーH2で、軍用車両を転用した趣味のクルマH1とは違い、GMで最大の販売を誇るピックアップトラックにキャビンを載せたSUVは営業利益を押し上げるとともに日本でもよく知られる存在になりました。しかしリーマンショックの煽りを受けてGMの経営が傾き、不採算部門に転落したハマーは2010年に廃止されました。

  トラックにキャビンを載せた初期のSUVは豪快で男性的なクルマと考えられていました。トヨタのハイラックスサーフなど多くの車種がトラックと車台を共有し、プレミアムSUVとして登場したBMW X5は当時傘下に置いていたランドローバーのSUV専用設計を使い、ポルシェ・カイエンもVWグループの共通SUVシャシーを使って作られました。しかしここ数年に新たに追加され流行の兆しを見せている小型SUV/クロスオーバーモデルに関しては、普通乗用車用のプラットフォームを使って生産効率を上げるケースが増えています。そしてそれらのモデルの多くは運転のしやすさや居住性の良さを主に女性ユーザー向けにアピールして人気になっているようです。

  これらの新型SUVは主に車格に応じて3タイプに分けることができます。一番小型のものが「BセグベースSUV」でホンダ・ヴェゼル、日産ジューク、VWクロスポロ、ルノーキャプチャー、プジョー2008などの小型SUVが属します。そのワンランク上が「CセグベースSUV」でレンジローバーイヴォーグ、スバルフォレスター、メルセデスGLA、トヨタハリアー、レクサスNX、日産エクストレイルが入ります。そしてその上のクラスが「C/DセグベースSUV」でBMW  X1/X3とマツダCX5で、「BMWL2/L7シャシー」及び「マツダスカイアクティブシャシー」という高速対応型のシャシー(3シリーズ、アテンザと同じ)を使っています。ただし次期X1はFF化されBMWミニと共通の「BセグベースSUV」になる模様です。ちなみにポルシェ・マカンはVW・B8という「D/Eセグ」相当のシャシーを使っています(アウディA4/A6などと同じ)。

  マカンはともかく、この3タイプのシャシー分けで小型SUVの特徴がある程度はわかります。「Bセグ」は「コンパクトでオシャレ」というコンセプトと突き進むものが多く、「Cセグ」は「余裕と本物感」を前面に押し出す設計が多く、「C/Dセグ」は内外装の作り込みよりも、基本設計の高さを生かして「走り」で勝負するタイプが多いです。レクサスNXは所属する「CセグベースSUV」の中ではまずまずのパッケージを誇っています。またレクサスの内装ならばクラスでも最上位を狙える作り込みになることが予想されます。もちろんベースはトヨタ・ハリアーと同じものですが、価格差を埋めるだけの何かを必ず盛り込んでくるでしょう。この件に関して島下泰久というジャーナリストがちょっと前に興味深いことをコラムで語っておられましたが・・・。


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2014年7月1日火曜日

BMWミニ・ミニクーパーS 「"小さな高級車"計画爆走中」

  どこのディーラーに行っても、最高に「スポーティ」なのはBセグと言われたりします。ネッツトヨタ多摩に行けば「86もいいですけどヴィッツRSもかなりのものですよ!」と言うし、日産プリンス西東京に行けば「スカイラインもいいですけど、マーチNISMOも楽しめます!」と言うし、関東マツダに行けば「アクセラXDよりもデミオスポルトの方が楽しいかも!」と言ってます。ホンダカーズ東京中央は「シビックtypeRよりもフィットRS!」とは言わないみたいですが・・・。

  ホンダはともかくそんなに挙ってオススメするなら、もっと「欲しい!」と思わせるBセグスポーツ作ってくれと言いたいですね。「G's」や「NISMO」って名乗ればいいってもんじゃないです。大変失礼ですが、MCした新しいヴィッツRS-G'sのデザインはなんだか寒イボが出てきそうな違和感がありありです。ただしこのクラスで納得できるモデルが出て来たならば、軽自動車買おうとしている知り合いに片っ端から全力でオススメしてあげたいと思います。アテンザやスカイラインはいくらいいクルマだからといっても、サイズや価格などいろいろ制約がありますから、そんなに安易にオススメできないですけど、Bセグならば母親や親戚のオバさんの買い換え時にいくらでも話できますし。しかし現行モデルでは残念ながら、デミオ、スイフト、フィットでもあまり気が進まないレベルです。なんだかんだでカローラHVがベストかな・・・。

  そんな日本車勢を尻目に、約3.8mの小型ボディに、BMW320iの直4ターボを横置きにしたエンジンを搭載するという「王道ハッチバック」をやってくれていたのが先代の「ミニクーパーS」でした。ゴルフGTIよりもかなり軽量でかつ価格も安く、ポロGTIよりもパワルフな設計で「相対評価」が大好きな日本のオッサン達の間でもそこそこ人気です。休日にショッピングモールでも行けば、同じ区画に2台3台と「cooper S」のロゴを見かけることも珍しくないです。確かに「クーパー」と「クーパーS」の性能差がかなり大きいです。300万円をちょっとの価格なのに、450万円くらいする320iと同じエンジンという「クーパーS」の方がお得感すらありました。

  ただしこの2代目ミニはマルチリンクを装備しているにも関わらず、乗り心地がやや固くてお世辞にも良くはなかったのが残念でした。やはりホイールベースが短いクルマは足を固めると跳ねてしまいます。クルマのキャラとして全てが受け止められるならばいいのでしょうが、あまりにもターゲットが狭いクルマだなという印象で、とても失礼極まりないことですが、日本の小金持ちのオッサン達が、英国の労働階級のクルマとしての歴史を持つクルマを、高級車と勘違いしてるのか?有り難がって乗っている様はみっともないとすら思いました。これまでブログでは頑として取り上げなかったのは、そういう人々への「軽蔑の念」があったからというのもありました。

  しかしわずか数年ですが時代は流れ、何だかミニを取り巻く環境もだいぶ変わってきたように感じます。いまやVW・ポロもプジョー・208もルノー・ルーテシアも日本車のように「ストローク」をドライバーに感じさせて、乗り心地よくする方向に味付けをするようになり、「プジョーに猫足が戻った!」とか、「フォード・フィエスタはメルセデスEクラスより乗り心地が良い」みたいなことをプロのライターのみなさんが言っておられます。沢村さんの解説によると柔らかいサスを使ってバンプストップを多めにして底付きのショックも軽減して・・・といった仕組みみたいです。車幅が限られていてさらに車重も軽くなっていて、それほどスペースが無くてストローク量も確保できない小型車でも柔らかいバネ(新素材?)を使っても大丈夫になっているみたいです。さらに最近のクルマは歩行者保護の為にボンネットが高いですし・・・。

  それでも3代目になったミニはまたまた頑固なまでに固いアシなんだそうです。BMWって一体何なんだ?1・3シリーズでもフニャフニャのアシを使い始めたので、てっきりミニもそうなるのかと思いきや、なんとまさかの「逆張り」! でも・・・これは個人的にとても好感が持てます。「Bセグはスポーティを追求した先に価値が生まれる」という「正義の自動車メーカー」だけが掲げる理念を、BMWも見失うことなくしっかり踏襲していたわけです。安易に「ストローク」に逃げれば、小型車のハンドリングはどんどんシャープさを失い、その果てに沢村さんにボロクソに言われるプジョー208のような「アクセルオンで左に曲る」鈍臭いクルマが出来上がります。マツダ、スズキ、BMWはそれを良しとしないようです。

  日本には欧州で1、2を争うハンドリング・マシンである「スイフト」と「デミオ」があって150万円で世界最上級のBセグが買えます。VWポロはまだしもプジョー208のような不完全なクルマを、洗練された日本市場で売るなんて、完全に情報弱者を喰いものにする「ブランド詐欺」とみたいなものですし、208なんて199万円でも高いくらいです・・・。日本のユーザーが納得できる輸入車Bセグの姿とは、やはり小手先のギミックではなく、「乗って楽しい!」と感じさせるクルマの本質を磨いて、「スイフト」「デミオ」の二枚看板を正攻法で突破してくるくらいの気迫が備わっているか?じゃないですかね。

  さて「ハンドリングを妥協させない」ポリシーを貫いたBMWミニの秘策はというと、全長・全幅とも拡大してBセグのライバルを差し置いての「5ナンバー枠からの離脱」でした。この設計変更は居住性の向上とともに、従来のBセグ全体の弱点と言える「安っぽい乗り味」から一人だけ脱却するのに成功したようです。全幅を拡大すれば、結果的にクラス随一の安定感となりますが、それがそのまま「なかなかな高級な乗り味」につながっているみたいです。もともとBMWミニは「スイフト」や「デミオ」のようなキレキレのハンドリングというわけではなく、アンダーを抑えたニュートラルでリニアなBMW的ハンドリングが持ち味なので、これにさらに「重厚感」が加われば、それは多くの人に「高級感」と感じるはずです。

  マツダのスカイアクティブ車は従来のキレキレから「重厚感」へ特性を変えてきていますが、乗ってみると「アクセル・シフト・ハンドル」から伝わるトータルのダイレクト感が、これまでのマツダ車とはまた違う「感動」で不思議とキレキレよりも高級感を感じます。キレキレではないんですけど、緩い感じとはまた違うドライビングフィールの奥深さがある!といったところでしょうか。ハンドルもアクセルもだいぶ緩い、実家のプレミオからは贅肉感しか感じないんですが・・・。BMWミニからマツダの話に急に変わってしまいましたが、この「3代目ミニ」と「新型デミオ」が今後進むであろう「Bセグ車の高級化」というパラダイムを一気に加速させるのではないかという予感がします。

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