2014年6月23日月曜日

ダイハツ・コペン 「ホンダS660なんて全く眼中にない!?」

  かつてはいろいろなメーカーから「軽オープン」が発売されていたようですが、現在では全メーカーから揃ってラインナップ落ちしていて、新車で買いたくても買えない状態が続いていましたがいよいよ先陣を切ってダイハツから「コペン」が発売されました。注目の新デザインは、昨年の東京MSで公開されたプロトモデルよりも、全体的に仰々しくて手数をかけているのがわかる印象のものになりました。特にヘッドライトやフォグランプ、グリルなどのフロントデザインの各部が複雑に絡み合っていて、ダイハツの「妥協はなし!」という決意が伝わってきます。東京MSではパネル取り替えパフォーマンスがとても盛況だったのですが、肝心のデザインがややパンチ不足かなという印象があったので、これはこれで良い方向なのではないかと思います。

  最初から「少量生産です!」と言い切ってしまっているダイハツの意図はちょっとよくわかりませんが、「たくさん出回らないので安心して買ってください!」といったところでしょうか。本体価格180万円はあくまで「オープンモデル」というのが前提であり、「オープンにこだわらない」ならば車格を考えるとなかなかシビアな価格設定なので必ずしも安いとは言い切れないです。そもそもルーフをほとんど開けないけどコペンを買うという人は、クルマの選択において重大な瑕疵(勘違い)があるのかもしれませんが、実際に街でみかけるコペンのルーフが開いているケースってとても少ないです。もしダイハツに死角があるとすれば価格設定でしょうか?

  軽自動車規格は全幅×全長が「1480×3400mm」に制限されていて、ほとんどの軽自動車が規格目一杯に設計されています。一方で普通車はというとグローバル化の流れから、どんどん巨大化していて、初代コペンが発売された2002年には、5ナンバーだった9代目ファミリア(全幅1695mm)が、今では3代目アクセラとなって、全幅1800mmまで拡大しています。確かに軽自動車の比率は目に見えて上がってきましたが、コペンのようなスペシャルティカーはワイド&ローのトレンドへと突き進んでいます。そんなクルマに軽規格で対抗するためのデザイン上の工夫も見られます。「下膨れ」になっているグリルはデザインの視点を低いところへと誘導し、不思議とトレッド幅が広そうに見えます。

  また両サイドに縦に長い車幅灯を採用したことで、新型キャデラックCTSなども同様の効果を狙ったデザインなのかもしれませんが、中央よりも両サイドを強調したデザインを構築していて、「ワイド&ロー」の視覚効果を生んでいます。ただしフェイスのデザインでワイドを強調してしまったのがやや仇となってしまっていて、サイドシルエットを見るとやはり違和感のある短いホイールベースのインパクトで、急に「やっぱりKカーなんだな・・・」という現実に連れ戻されちゃうかもしれません。この辺はクルマのキャラクターとして前向きに考えるべきでしょうけど。

  新型コペンの一番のこだわりはやはり「グレード設定」で、「ローブ」という通常グレードが発売され、秋頃に「Xモデル」というDIY派が注目する外板を交換できる「着せ替えモデル」が追加されます。外板が簡単に交換できるということは、5年10年と経ってくたびれてきた塗装を、新車同様のピカピカのものに出来るということですから、クルマをキレイに保つことが好きな人にとってはこの上ない長所だと思います。これまで1回目か2回目の車検で乗り換えるという人が多く、クルマ選びでも常に「リセール」が前提だったりした日本のクルマを巡る商習慣を大きく変えるきっかけになるクルマかもしれません(より一層クルマが売れなくなるかもしれませんが)。

  さらに来年には、「ローブ」にボディデザインの違うタイプが追加されるという発表も行われました。今回発売される「ローブ」や秋に出る「Xモデル」のフロントマスクは主張が強いデザインで、これは案外と女性にウケるのではないか?という気もするのですが、来年発売されるモデルは、先代のヒットにもつながったヘッドライトが丸目の「穏やか」なデザインになるようです。さらにダイハツが「上手い!」のが、3モデルの発売をずらすことで、一過性の人気に終わらせないというだけでなく、今回発売された「ローブ」は来年発売される丸目のモデルへと外板を貼り替えることができる!ということです。つまり「Xモデル」だけでなく「ローブ」のお客も外板が痛んできたら、交換するだけで簡単に「新車同様」の見た目になりますし、しかもヘッドライトの形状から全く違う「別のデザイン」へ変えることで、「新型に乗り換える」気分が味わえるわけです。

  当初「着せ替え」と聞いて、スマホじゃないんだぞ!と反発を感じた自動車ファンもいたでしょうが、いまさらですが「これはスゴいことだ!」と声を大にして、いろいろな人に勧めてあげたいクルマじゃないかと思います。アルファロメオ4C(そしてこのコペン)のように全身をCFRPで固めたスポーツカーは、今後はもっともっと増えていくと思いますが、このコペンもその恩恵もあってか電動ハードトップを備えていながら、総重量はホンダのN-ONEとほとんど変わらない850kgに収まっています。スポーツカーで見ればスズキのエンジンを積んだケータハム160は車重500kgで、日本の軽自動車の「自主規制」を無視して80psまでエンジンパワーを上げていまので、スポーティという意味では特に「ストイックさ」は発揮されていないのですけど、このケータハム160と並んで「軽自動車」の枠組みをどんどんと変えて行きそうな可能性を、この「コペン」には感じます。ダイハツは素晴らしいです!

  

リンク
最新投稿まとめブログ
  

  

  

2014年6月16日月曜日

スバル・WRX STI「スバルはもっと自信と狡さを持てばいいのだが・・・」

  もし新型WRX STIが日本で発売されなかったら? 熱心なファンにとっては悲劇以外の何者でもないでしょう、好きなクルマが消滅したときの喪失感は結構尾を引きます。最近ではRX-8が心残りでした。ランエボも間もなく生産が終了するようで、一時代が終わった寂しさがあります。WRX STIにしてもこの2台と同じくらいにクルマ好きを悲しませるでしょう。マツダも三菱も撤退理由は、スポーツカーに注力できるだけの企業体力が無いというものでしたが、誰の目にもかつては華やかだった「日本の小型スポーツカー」というジャンルそのものが「賞味期限切れ」を起こしているのは明らかだと思います(トヨタさんはなんとか支えようとしていますが)。

  そんな岐路に立たされているモデルの1つが、このスバル「WRX STI」なわけですが、マツダや三菱と違いスバルは高らかにモデル存続を打ち出しました。まあその覚悟というか姿勢だけでも、クルマ好きとしては十分に賞賛に値するわけですが、やはり売るからには広く知られたモデルになって一定の成功を収めてほしいですし、やはり「解る人にだけ解る」みたいな姿勢だけではダメなんじゃないの?という気がするわけです。やはり所有していて誇らしい気分になるか?というハードルを超えられるかが、新型スポーツカーが成功するための唯一のポイントですから、隣りにAMGとかエンブレムが付いたクルマが来ても、「耐えられるか?」が全てといっていいかもしれません。

  もしスバルがその点をしっかり考えて、新型スポーツモデルを選定しているとしたら、一番簡単なのは新型レガシィをベースにした高性能スポーツモデルを作ることでしょうか。500万円以下で350psくらい出るようなら・・・そんなに甘くはないとは思いますが、目新しさとスバルのブランドイメージからかなりの売上が見込めそうな気がします。古くからのスバルファン(スバリスト?)は、「そんなものはスポーツカーではない!」と反発するかもしれないですが、BMW M3が北米価格並みの500万円で販売されれば「迷わず買う!」という人は相当に多いでしょうし、M3じゃなくて306psの直6ターボを積んだ335iセダンが500万円だったとしても「大ヒット」間違いないです。レガシィならばその需要を上手く取込むことができると思います。

  さてインプレッサがベースで、レヴォーグと共通で開発が行われた新型「WRX STI」ですが、スバルにとって最大の難関と言われているのが、ブランドのトレードマークにすらなってしまった「アイサイト」だそうです。レヴォーグにも当然ながらアイサイトは設定されているわけですが、これによって「WRX STI」の生命線といえるサスやブレーキに広く及ぶ「チューンナップ」に大きな制約ができてしまい、「アイサイト」のあり・なしでクルマのポテンシャルに小さくない幅ができてしまうようです。さらに新型エンジン「FA20DIT」の投入でさらに出力アップをすることが既定路線だったようですが、保証ができる範囲にパフォーマンスがまとめられないという深刻な事態もあるようで、すでに北米モデルについては先代の「EJ20」のまま発売されました。

  従来のエンジンのままでは、日本市場では極めて厳しいという意見がスバリストからも挙がっているようで、レヴォーグと同じFA20DITのチューンアップ版を、メルセデスやアウディに対抗した400psオーバーにしたものを出さないと意味がない!という厳しい意見も・・・。とにかく作る側も待つ側も考える方向性が同じ?というのには関心させられます。たとえばマツダのロードスターなどは「じゃあ次はこういうのにしてみるか?」みたいな何の制約も無い中で作られていて、待つ側もどんなクルマだったとしても、ある程度は受け入れてしまう懐の深さがあるような気がします。しかしスバルはとにかく「最強」という言葉が似合うモデルが望まれてしまうところが辛いですね。

  小型高性能スポーツというジャンルが、そもそもマツダも三菱も逃げ出すほどの「無理ゲー」になっているわけです。国産メーカーに限らず、あのポルシェだって1000万円以上するスポーツカーを売るのが厳しくなってきています。911に復活した「タルガ」に大きな期待が寄せられているようですが・・・。BMWだって一生懸命に2シリーズのプロモーションを繰り広げているわけですが、一段落して目新しさがなくなった時には、もはやコンバーティブルでゴリ押しするしか生き残る道はないでしょう。じゃあWRX STIはどうするか?車高も下げられず、屋根も開けられず・・・残された道はクロスオーバー・スポーツくらいなのかもしれません。今後も「アイサイトのスバル」ではなく「スポーツカーのスバル」を貫くのであれば、「XV STI」みたいな派生モデルを用意して、GLA45AMGから「さや抜き」するくらいのしたたかさがあってもいいのかなという気がします。


リンク
最新投稿まとめブログ
  

2014年6月9日月曜日

プジョー308 「欧州COTY・スタイルは没個性・だけど・・・」

  「プジョー308」と車名は先代と同じままなのですが、完全なるFMCでプラットフォームもPSA版の「MQB」として話題になっている「EMP2」というPSAのほぼ全車をカバーする新開発のものになりました。「MQB」をさらに上回る140kgの軽量化と報じられているが、先代の1370kgが今回は1090kgという「公称値」を見るとあれ?140kgどころじゃない?気がするのですが・・・。これにはカラクリがあって、日本仕様は1.6Lターボエンジンのみの設定で1370kgですが、今回は1.2Lターボしかも3気筒になってエンジンの軽量化もさらにすすんでいます。さらに日本仕様には快適装備のための電装系が追加されてもっと重くなるので、最終的には1230kgくらいになるのかもしれません。

  ちなみに「日本版」VWゴルフの1.2Lターボは最廉価グレード・トレンドラインで1240kgですから、ほぼ同じくらいの水準に落ち着くことになりそうです。これじゃつまらん!と思ってしまいますが、プジョーが仕掛けてきているのは、どうやらエンジンのようです。カタログ数値をみれば一目瞭然なのですが、最大馬力/最大トルクがVWの1.2Lターボと同じ排気量とは思えないほどパワフルです。VWが105ps/175Nmですが、プジョー(PSA)のものは130ps/230Nmとなっています。しかも燃費がゴルフ1.2Lターボが21.0kg/Lなのに対し308は21.7kg/Lとまあ「後だしジャンケン」のメリットをしっかりと生かしています。

  この数値を見て「プジョー圧勝!」と喝采したいファンの人も少なくないと思います。馬力差をみると、ちょうど日本におけるトヨタの1.5Lエンジンに対して、パワフルで評価が高いホンダやマツダの1.5Lエンジンのようなポジションを占めているといってもいいかもしれません。もちろんトヨタやVWも境最大規模の量産メーカーとして、一定の品質やコストにおける基準に基づいて生産が行われているので、単純にパフォーマンスだけで比べられるものではないですが、トヨターホンダ・マツダの力関係の欧州版といってもいいかもしれません。

  プジョーは「欧州のホンダ」ということになるわけですが、ホンダがトヨタに対して仕掛ける切り口が、そのままプジョーによるVWへの攻勢のポイントになっている類似点としては、「スペック優先主義」が挙げられるでしょうか。ただしホンダユーザーはともかく、フィットによるヴィッツやカローラに対しての「スペック上の優越性」は、トヨタによるHV戦略という厚い壁に阻まれて、一般レベルではほとんど認知されていないのが現状です。去年鳴りもの入りで投入された新型フィットもリコール騒動が収まらず、ホンダが自ら仕掛ける軽自動車の攻勢に対して、普通車シェア回復の起爆剤には成り切れなかった感があります。

  「高温多湿」「ストップ&ゴー地獄」で過酷な使用環境として知られる日本。最近は徐々に下がってはいるものの、「90%」という他国では例を見ない高い国産比率の一因は、この環境だと言ってもいいでしょう。「輸入車に乗るヤツはアホ」みたいな意見が当たり前のように語られ、「どうせ私は馬鹿ですから!」と居直るくらいの度胸が無ければ、輸入車オーナーなんてとても務まりません。しかし最近ではホンダもマツダも普通車はほとんどがグローバル車ですから、「ホンダ(マツダ)に乗るヤツはアホ」と言われる時代がいつやってくるともわかりません。もちろん両社には日本で長年クルマを作ってきたノウハウがあるので、かなりの部分でリスクはヘッジできるでしょうが・・・。

  トヨタやVWが控えめなスペックでクルマを設計する理由は、おそらく1000万台メーカーとしてのリスク管理が何よりも優先されるからです。必要以上に馬力を出せばエンジンはそれだけ脆弱になるし、燃費を伸ばし過ぎても同じことが言えます。そして何より新設計エンジンの投入には二の足を踏みます。ヤマハに作らせたり、フォードの人員を引っ張ってきてその模倣を行うといった手法が「石橋を叩いて渡る」という社是につながります。ホンダやマツダといった中堅が、この2大メーカーグループを出しぬこうとするとどうなるか? ホンダがトヨタやVWに見せつけるように導入した、「HVのモータートルクでDCTを滑らかに動かして、MTと同じ伝達効率でCVTを上回るという」アイディアには思わぬ落とし穴があったわけです。しかし中堅はリスクを取らなければ未来は・・・ということです。

  ちょっと横道それましたが、いまや中堅の上位にまでシェアを下げてしまったPSAにとってもリスクはヘッジすべきか取るべきかの舵取りが難しくなっています。そしてこの新型の「308」もその両方の要素が入ったPSAの苦悩が伝わってくるクルマに仕上がっています。2014年の欧州COTYを圧勝と言える得点差で受賞したことからも、「欧州ブランドの期待の星」として、フォードに圧迫されつつある欧州主要市場で弱体化が指摘されるVWに変わる役割を求められているのがわかります。全世界注目のライバル車・アクセラ、そしてシュコダ版「ゴルフ」であるオクタビアに大差を付けたという事実は、このクルマがただの新型車ではないことが伺えます。

  このクルマのポイントは、簡単に言ってしまえば1.2Lターボという効率重視でトヨタやVWよりも踏み込んだ設計でリスクを取ったエンジンを採用しつつ、仮想ライバルであるVWグループのゴルフ・オクタビア・A3が欧州メーカー製DCTを使うところで、日本のアイシンAW製の6速ATを標準で持ち込んでいることです。フェラーリ、ポルシェ、GT-R、ランエボで高性能DCTが相次いで採用されたことで、DCTのイメージは2007年頃に大幅に良くなりましたが、変速ショックが大きいために小排気量エンジンでは耐久性に問題が出るという指摘があります。また20年前に日本やアメリカで急速にトルコン式ATが普及した理由もトルクコンバーターがエンジンへのショックを最大限にいたわってくれるという、隠れたメリットが大きいと言われています。

  1.6Lから1.2Lへのさらなるダウンサイジングを果たし、そこにVWとは違うトルコンATを乗せたことは大きな意味があるように思います。欧州の道路環境も都市周辺部では日本と同じで「ストップ&ゴー」とまではいかないほどに「低速区間」が増えたことで、DCTよりもトルコンAT・CVTの優越性がはっきりしていて、そのトレンドを踏み外したVWが伸び悩み、そこを改善したPSAが復権していくのでは?という予感があります。そのためにも「復活の旗印」となるヒット車が必要になるでしょうが、この新型「308」が担っていくかもしれません。

リンク
最新投稿まとめブログ

2014年6月3日火曜日

メルセデスCクラス 「ドイツ版レクサスという衝撃!」

  レクサスRC-Fが公開されたというネットの記事に、5年くらい前からタイムスリップしてきたようなコメントばかりが殺到していました。もはやレクサスがドイツ・プレミアムブランドの下風に立たされる時代はGSとISの相次ぐFMCによってとうとう終わりを告げたというのに、yahooニュースに反応する一般人の認識はまだまだ改まってはいないようです。結果論と言われるかもしれませんが、レクサスがクルマ作りにおいてメルセデス・BMW・アウディといったドイツブランドを追い越すのは必然の成り行きだったと思います。

  レクサスはトヨタグループの「最上級」ブランドとして設立され、年間1000万台を販売するようになったトヨタの「最上級の顧客」のニーズを十分に満たせるようにクルマが開発されています。一方でメルセデス・BMW・アウディのいわゆる「御三家」の立ち位置はレクサスとは根本的に違います。これらのブランドの同じグループにはさらに上位のマイバッハ・ロールスロイス・ベントレーといったブランドが存在します。よってメルセデス・BMW・アウディには「レクサスLS」のような最上級のクルマを作らなきゃいけない必然性が乏しいのです。グループの顧客の最上位層は上位に位置する同グループのブランドが対応します。よってクルマの品質はレクサスよりも低いところに収まる傾向がここ近年では顕著になってきました。

  メルセデスは短期間で北米におけるレクサスの成功を許した反省から、いよいよブランドの再編へと動きだし、上位のマイバッハを廃止し、メルセデスが最上位の顧客をも担当するという意味で「レクサスに近い」ブランドへと生まれ変わりました。新しいメルセデスの戦略を検証すると、多くの点でレクサスの戦略との類似点が見られます。ポイントを簡単に言うと、「スモールカー」による入門グレードの設置と、ブランドの骨格を成す「基幹3モデル」への開発資源の集中が挙げられます。

  レクサスのグローバルでのヒット車として挙げられるのが、HV専用モデルの「CT」です。敷居の高いレクサスのすそ野を広げる廉価グレードで、日本でも「小さな高級車」として、プリウスと同じユニットを使うクルマながら予想外の健闘をしています。メルセデスも以前から「スマート」という三菱からのOEMを使ったモデルがありましたが、ブランド好きの日本でもさすがに普及せず、全世界的にも「空振り」に終わりました。旧型のAクラス・Bクラスにしてもブランド内での立ち位置は極めて不明確で、上位グレードとの関連性を感じることができず、「すそ野」として十分に機能できなかった点を見直し、新たに「A」「CLA」「GLA」の3台を追加して「CT」と同じ役割を期待するようです。

  入門モデルの拡充とともに「基幹3車種」の競争力を上げるという取り組みもまたレクサスの戦略をそのまま辿っているかのようです。レクサスは「LS」「GS」「IS」の3車種にブランド全体車種の開発資源の多く(8割?)を集中させ、この3車種に関しては同クラスのライバル車に絶対に負けないという目標を設定し、当初から評判が高かった「LS」に加え、「GS」「IS」に関しても新型プラットフォームを投入して、それぞれクラス・ナンバー1をもぎとりました。乗り心地・静粛性といった従来トヨタが強かった「NVH」への対応に加え、ハンドリングでBMWを、直進安定性でメルセデスをそれぞれ「超えた」ところまで持ってきたことには驚かされました。

  メルセデスもレクサスを追従して、去年「Sクラス」を全面刷新して、マイバッハの顧客にも受け入れられる水準まで、様々な面での改良が行われました。さすがはメルセデスというべきか、1回のFMCで文句無くマセラティやベントレーといった高級ブランドを脅かすポテンシャルを持つモデルを作り上げてきました。そして今回は「Cクラス」の改良が行われたわけですが、コンセプトはとてもわかりやすく、ずばり「Sクラス」の質感をそのまま「Cクラス」のサイズにまとめること!で、すでに海外試乗レビューも出回っていますが、現行のEクラスやCLSクラスを完全に超える「乗り心地」になっていると言われています。

  これまでメルセデスでは「Sクラス」と「CLクラス」のみで使われていた、前後輪に「マルチリンク」を配した足回りをそのまま「Cクラス」へと移植し、さらにオプションでエアサスまで装備してしまうという「クラス随一」にとことんこだわった設計です。これだけでもメルセデスの哲学がここ20年のものから大きく変化していることが解ります。設計上はレクサスLSと同等の足回りを履いた「Cクラス」ということになります。ここまで大胆な設計をすれば、高品質を理由にレクサスに引き寄せられていたユーザーを再びメルセデスへと振り向かせることも可能でしょう。さらにインテリアも新型「Sクラス」に準じたものへ変更になり、割と古典的だった従来のメルセデスの内装からは大きな進化(変化)です。近年では内装の質感の高さで独走していたレクサスに「待った」をかけるという意図が十分に見られます。

  もちろん次期Eクラスにもこの「レクサス戦略」は適用される見通しで、なんと次期モデルでは直6エンジンの復活が示唆されています。また同時にレクサスの世界観をもブランド内に取込んでしまおうということで、「S」と同様に「E」「C」でもいずれはハイブリッド(PHV)搭載ユニットが主力になる見通しのようで、すでに「Cクラス」ではPHVの試作車が完成していて、公道テストを行っている模様です。

  なんだか全体的に「レクサス視線」での意見になってしまいましたが、「メルセデスの復活」はクルマ好きにとってはやはり喜ばしいことですし、「坂の上の雲」じゃないですけど、トヨタがドイツブランドの背中を追いかけて始めたレクサス事業が北米で始まって20年以上が経過し、それだけの年数を存続していくだけでも大変なのに、着実に進化を遂げてました。そしていよいよ「大きな岩を動かす」瞬間が訪れているようです。これまでのトヨタグループの地に足が着いた着実な歩みに、人生の教訓を感じる次第です。トヨタグループとメルセデスの今後のより一層の活躍を期待したいと思います。
  

リンク
「最新投稿まとめブログ」