2014年1月27日月曜日

日産ティアナ「"ゴリ押し"セダン・・・」

  トップダウンで主力モデルのデザイン改革に取り組むトヨタ。世界最先端のデザインセンスを自認しつつあるマツダ。どちらも日本で製造することと、日本車として世界を制するという大義名分に大きく酔いつつあるようですが、確実に日本のクルマ好きに対して求心力を強めています。一方でNSXのホンダとGT-Rの日産は独自のポリシーを保ちつつも、一般モデルレベルでの「迎合」には冷ややかな考えがあるようです。

  日産とホンダが今後の成長へ向けて狙うのは世界の頂点であり、1000万円クラスのスーパーカーやラグジュアリーセダンを世界の富裕層に売り込む戦略。一方で400万円台の上級車を売り込むトヨタやマツダは未だに「1億総中流」という日本のかつての姿を追いかけているようです。どちらが正しいとは一概には言えませんが、日本人の多くは無意識の内にトヨタやマツダを支持する傾向でしょうか。日産やホンダが想定するよりグローバルな社会での富裕層を自認する自信家には、トヨタやマツダは野暮ったく感じるのかもしれません。

  日産はGT-Rにスーパーカーとラグジュアリーカーの2つの顔を与え、ホンダは次期NSXと次期レジェンドに2つの役割を分担させるべく開発に取り組んでいます。そんな中この両社から出された中型サルーンのティアナとアコードはどこか華がないと感じます。ライバルに比定されるアテンザやクラウンと比べると、明らかに設計段階でモチベーションが違っているのが分かります。去年発表されたアコードにはホンダの他の新型モデルに見られるような「日本の客に買わせる!」といった意思があまり感じられませんでした。

  フィットやオデッセイ、ヴェゼルといった野心的な新型モデルからみてもアコードの「低温」っぷりは際立っています。当然ながら営業現場のホンダカーズでは不満が次々と噴出したとか・・・。もちろんこのアコードはホンダが新たに中型セダン用に開発したHVシステムが搭載され、その乗り味の良さは専門家の間でも高く評価されたのにも関わらず、外装デザインが醸し出す「やる気のなさ」がクルマの魅力を大きく損ねている。その上価格も・・・。

  さて北米でアコード、カムリに次ぐ3番手に位置する中型セダン・ティアナ(アルティマ)も当初はライバルと同じくHV専用で日本市場に登場すると言われていました。しかし日産の直4ハイブリッドはセレナに使われる2Lの非力なもので、カムリやアコードに対抗するのは難しいという判断があったようで、北米・中国と同じ2.5L直4エンジンでの登場になりました。北米デビューからすでに1年半が経過しているので、さすがにそのままではアピールできないので、日本発売に合わせて後輪サスを新たに開発したようですが、「3シリーズやCクラスよりも格段に高い安定性」という謳い文句には失笑してしまいました。FFのティアナがFRの同サイズセダンよりも安定性が高いのは当たり前だろと思うのですが・・・。

  確かに間違ったことは言っていませんが、無知なユーザーを騙す「詐欺的」な広告コピーの匂いがします。同時にステマとしても機能しているようで、3シリーズのライバルであることを同時に意識の中に植え付けようとしていますが、F30(現行3シリーズ)が狙っているコンセプトに対して、ティアナはどれほどの対抗できているのでしょうか? むしろライバル関係とブチ挙げることに無理がある気がします。先代までは静粛性に配慮してFFながらV6エンジンを搭載していて、お世辞にもハンドリングマシンとは表現できませんでしたが、直4に代わり車体重量も軽くなり、ハンドリングを強調するようになりました。

  しかしスポーツセダンにしては鈍重なデザインがどうも頂けません。ディーゼルターボや直4HVで武装し、説得力のあるデザインで固めたマツダやトヨタに対抗するにはあまりにもやる気がないデザインです。当然ながらBMWに比肩するとは到底思えません・・・。それでも老獪なコピーで売り込もうとする日産のブランドとしての姿勢にややがっかりしてしまいます。おそらくシルフィの二の舞になるのではないでしょうか・・・。

2014年1月21日火曜日

レクサスCT200h(マイナーチェンジ) 「好デザインを部分的にいじると・・・」

  「内装で売れてるクルマ」というのがトヨタとレクサスのラインナップには一定割合で存在する。正確に言うと内装で売れてるではなくて、内装によって本体価格をつり上げている。トヨタは人気車種の内装は適当に誤魔化すけども、なかなか特徴が打ち出し難いと判断したクルマに関しては、内装チームが本気を出して挽回する傾向にあるようだ。

  レクサスCTはプリウスと基本同じパワートレーンを使いながら、140万円の価格差を納得させるだけの「付加価値」が確かにある。レクサスディーラーに出入りできるというプレミアム感に加えて、内装の大幅な向上、遮音性の高さ、衝突時の受動安全の高さ、後輪サスの高性能化による乗り心地の向上などがある。レクサスDへの出入りはともかく、他の点はクルマ好きならば重視してしまう項目ばかりだ。プリウスのメーカーオプションに遮音性・受動安全・ダブルウィッシュボーン化・内装があって140万円で全部付くならば安いのでは?もちろんエクステリアデザインもプリウスとCTでは大きく違う。

  さらにプリウスと同じに見えるスペックからは想像できないが、発進加速やブレーキもプリウスほどには違和感の無い設定になっていて、ドライブFUNへの配慮もある程度はされていて、プリウスよりも不満の少ないものになってはいます。個人差はあるでしょうが確実に満足できる人の割合は多いはず。さてここまでが2011年1月のデビュー段階ですでに達成されている話だ。

  ちょうど3年が経過し、Cセグの市場環境も激変して、CTのようなプレミアムを称するモデルも珍しくなくなった。メルセデスとボルボが低価格を売りに参入してきたので、クラスの平均価格もだいぶ安くなっているが、古株のBMW1やアウディA3をおさえてCTが頭一つ抜けた孤高の価格設定になっている。国産車代表のプリウスと輸入車代表のゴルフがほぼ同価格でガチンコしているが、それぞれの上級版と言えるレクサスCTとアウディA3は、ベース車からどれほど飛躍しているかを単純に比べると、やはり断然にCTの方が手が加えられているので納得だ。

  そしてこのクルマはソツなく売れている。大ヒットと形容するわけにはいかないが、クラス最高の価格設定にも関わらずに見事。プリウスに見向きもしないクルマ好きには何の興味も惹かないだろうが、やはり内装ひとつ採ってもクラスで断トツの出来映えなのだから、所有者の満足度がかなり高いのも想像できる。

  もちろんレクサスは売れ行きになにも不満のないので、実質的な値下げにつながるような設定・変更は今回まったく行われなかった。3年前の内装も今なおどのライバルも追従できないレベルにあるので、全くインパネデザインの変更は行われていない(ようだ)。変更点はだいぶ前から規定路線だったレクサス全ラインナップのグリルを統一する活動の一環がこの底辺グレードにまで到達したことくらいだ。

  一部のユーザーからは早くも「レクサスのデザイン変更で下取り価格が大打撃」と報じられているが、このCTに関してはLS・GS・ISのグリル変更ほどには影響がないのではないかと思われる。デザイン面での良し悪しは好みの問題だと思う。レクサスオーナーともなると現行モデルへのこだわりが大切なのかもしれないが、そういう外面的な事を気にするくらいならCTなんて乗らなければいいのにという気も・・・。頑張って乗り換えたところで世間の評価は何も変わらない。

  今回のマイナーでFスポのルーフ塗り分けが大々的にPRされているが、個人的な感想ではCセグは「塗り分ける」サイズではない気がする。完全に勇み足といっていい・・・。シトロエンDS3やホンダCR-ZといったBセグのルーフ低めの塗り分けは、文句なしにオシャレだけど、同じ事をジュリエッタやプジョー308がやるだろうか? レクサスとしてはブランドの裾野を拡げる為に、比較的低価格なクルマ達に上級車種では出来ないキャラクター付けを進めているようで、新型ISには独特のスポーティなエッジ感が備わった。

  そしてこのCTにはより多くのカラーバリエーションを用意し、BMWミニのような切り口を兼ね備えたクルマにしようとしているようだが、さっきも言ったようにサイズがおかしい。エクステリア以外の変更をしないという強気のマイナーチェンジをするくらいに、このクルマの基本的な競争力は高いのは間違いない。しかし何もしないわけにもいかないというジレンマの結果が、新カラー投入とルーフの塗り替え。この安易さがせっかくのクルマの尊厳を貶めることにならなければいいけど・・・。


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2014年1月14日火曜日

ポルシェ・マカン「ポルシェの定義ってなに?」

  なかなかツッコミどころが満載なクルマが登場してきました。簡単に言うとポルシェブランドからアウディQ5のコピー車が発売されます。しかも面白いことにアウディQ5よりも安い価格に抑えられるのでは?という噂です。ポルシェがVWグループ入りしてからの最大のヒット車と言えばVWトゥアレグと共通設計のカイエンです。従来のポルシェファンを完全に無視する形での「暴挙」と言ってもいいくらいでしたが、実際に売り出したところ予想以上の反響があり、ブランド史上最高の売上を記録したのだとか・・・。

  トヨタとレクサスの関係とはやや違って、ベースモデルではトゥアレグ、アウディQ7、カイエンの3台はほとんど価格差はないので、それほどはブランド間の不公平感はほとんどないようです。よって「究極にスポーティ」なブランドイメージに溢れるポルシェが圧倒的な知名度&ブランド力で有利なようで、グループ内での競争の結果、日本市場からはアウディQ7はいつの間にか日本から姿を消しました。もう一台のトゥアレグはやや安めに設定されていることもあって当面は販売が続くようです。

  カイエンより一回り小さいマカンの登場で今度はアウディQ5が日本から姿を消すことになるのでしょうか。こちらもまたアウディQ5がポルシェマカンになろうが中身は一緒で、開発を担当しているのもアウディです。「知らぬが仏」という有り難いお言葉がありますが、本来はクルマはよく調べてから購入するわけで、もちろん買う人の自由ではありますが、やはりポルシェブランドはポルシェが開発したクルマであってほしいと思います。

  SUVを今の地位の押し上げたのは、BMWとポルシェによるヒットが大きいと言われています。この2ブランドが作る「スポーツSUV」はメルセデスとは開発手法が異なります。メルセデスはトラックや特殊車両の分野でも従来から活躍したメーカーで、「トラックの車台を使った乗用車」という本来のSUVの定義に忠実に開発が行われています。トヨタのランクルやハイラックスサーフがピックアップトラックをベースに設計されているのと同じです。

  BMWやポルシェはかつては作業用の特殊車両を手がけた歴史はありますが、現在ではそのような部門は稼働しておらずトラックの開発部門などありません。BMWは3シリーズに使われているシャシーをベースにX1とX3を、SUV専用シャシーを使ってX5、X6を生産していますが、この一般車用シャシーをベースにSUVを作る手法が日韓仏のグローバルサプライヤーに急速に広まりました。軽自動車があっというまにほとんどがトールボディになったのと同じように、普通車もSUVボディのモデルを作るのが当たり前になっています。

  SUVボディに走行性能上のアドヴァンテージがあるわけではなく、むしろあらゆる面で不利なスタイルなのですが、BMWとポルシェが堂々と作ってしまったことで、誰も表立って文句を言う人も少なかったりします。SUVの国内販売を見ると話題とはいってもトップを争うCX-5とフォレスター、ジュークなどがせいぜい月に3000台程度なので、想像するほどには売れていません。ハリアーやヴィゼルそしてこのマカンが話題になっていますが、車ユーザー側の心理は相当に冷めているのではないかと思うのですが・・・。果たしてどうなることやら。「BMWもポルシェも終わったな」ということにならなければと切に願うだけですね・・・。