2014年12月17日水曜日

BMW2シリーズ・アクティブツアラー 「酷評を跳ね返すくらい売れるといいですね・・・」

  BMWに匹敵する「走りのミニバン」として90年代に登場し、長らく個性を発揮してきたホンダ・オデッセイが昨年のFMCですっかり様変わりしてしまいました。広くて快適なキャビンに移行して見るからに重心は高くなり、両サイドがヒンジドアからスライドドアへと変わってしまっては、ボディ剛性でBMWを追従することももはや出来なくなり、変わり果てた新型オデッセイは「国内専用ミニバン」の王道デザインにしか見えないです。見た目だけでなく足回りなども大幅に変更になり、ミニバンらしからぬハンドリングを支えていた4輪ダブルウィッシュボーンはあっさりと廃止され、トヨタ流のトーションビームへと変わっています。しかしホンダに言わせれば、現在では国内専用ミニバンのパッケージの良さが欧州でも受け入れられつつあり、旧型オデッセイのようなクルマが高速安定性を誇れる場所は、欧州であってもかなり少なくなってきているのが現状のようです。

  そんなホンダの方針転換をしっかりと裏付けるようなクルマが、BMWから発売されました。BMWは今後1シリーズなどでもFF車を展開するようですが、その第一弾となるのがこの「2シリーズ・アクティブツアラー」だそうです。傘下のミニと共通のシャシーを使うのならミニ・ブランドで良いじゃん!という気もちょっとします。これまで比較的ストイックに走りのセダン/ワゴン/ハッチバックを作ってきたBMWですが、従来のラインナップが欧州・日本・北米の成熟市場でハッキリと伸び悩みを見せていて、ライバルのメルセデスやアウディの商品力に遅れをとっているという指摘もされています。そんな評価を受けていよいよブランドのテコ入れを図る時期に差し掛かっていて、その骨子となるのが今回のFFモデルの導入だそうです。ちょっと恣意的な見方ですが、「走り」だけがクルマの価値ではないと気がついた不器用なBMWが、甲斐甲斐しく見た目にも「温もり」が伝わってくるファミリーカーを作りました!といったなんだか微笑ましい感じがするのは私だけでしょうか・・・。

  やはり素直に好感が持てるのが「温もり」ですね。メルセデス・アウディ・レクサスと揃っての最近のラインナップは、ハッチバックやミニSUVといった低価格で「ファミリーカー」用途に振ったクルマを、かなり無理矢理に「スポーティカー」として売ろうとする戦略が主流になっています。スポーティというスパイスを過剰気味に振り掛けられたそのテイストは、化学調味料で作られたイヤな辛さの激辛カレーのような「安っぽさ」と「嘘くささ」を感じてしまいます。その一方で今回のBMWはクルマの使用目的をハッキリさせたクルマ作りに徹しているのがとても良いです。この2シリーズ・アクティブツアラーだけでなく、M235iのような「スリリングなクーペ」と650iのような「優雅なクーペ」を高いレベルで作り分ける実力を持つブランドですから、その作り込まれる方向性に関しては他のブランドよりもはるかに研ぎ澄まされたものがあります。

  このスーパーブランド・BMWによって研ぎ澄まされた「ファミリーカー」は、パッケージ効率世界一を誇る日本の「ファミリーカー」と比べて一体どうなのでしょうか? まあとりあえずまともに比較する必要はないでしょう。プレミアムブランドですから、価格面では日本車とは比較するものではないですし、好きな人が惚れ込んで買うクルマという意味ではBMWの他のモデルと同じです。とりあえずウィッシュ・ストリーム・プレマシーといったクラスのミニバンに十分納得しているユーザーを取込むのはまず無理でしょう。主なターゲットは国産ブランドを「下」に見ている40歳代あたりだと思われます。変なプライドがある為に、国産車を避けてまったくオススメできないほど狭っ苦しいVWのトゥーランのようなクルマに無理して乗っている層がターゲットなんだと思います。彼らはなぜトゥーランを選ぶのか?と言われたらウィッシュ・ストリーム・プレマシーは貧乏くさくて絶対イヤだとか言いそうです。VWの低排気量の直噴ターボはNOxの排出量が非常に高い(トヨタの同型の50倍)ので、子育てには絶対にNGなクルマだと思うのですが・・・。

  そんなセレブ気どりな子育てユーザーがトゥーランから、BMW2シリーズアクティブツアラーにしたところで、BMWも悪名高い「直噴ターボ」ですから、NOxの排出に関してはまったくもって50歩100歩です。しかし、だからといって日本車のミニバンに徐々に増えて来たHVを安易に選ぶのも考えもので、これは全くの未確認情報ですが子供によってはHVの発する電磁波で気分が悪くなるというケースが、大人よりもかなり高い確率で起きるようです。結局はウィッシュ・ストリーム・プレマシーやソリオなどの小型ミニバンが使っているNAのガソリンエンジン車が子育てには一番良いということになりそうです。

  まあ日本の価値観でBMWやVWのファミリーカーにケチを付けられてもメーカーもいい迷惑でしかないのですけど・・・。それにしてもドイツのBMWサイトを見ると、この「2シリーズAT」では見事に可愛らしい小さな子供がいるファミリーがモデルが幸せそうに描かれています。なんとも良い写真だなと思っていたら、どうしたことか日本向けのBMWサイトでは同じヴィジュアルは使われていません。その代わりにこのクルマは老人や女性のシングルライフのお供に!といったイメージを喚起するものが多く使われていて、全く子供は出てきません。BMWジャパンの経験によると日本の子育て世代は新車でBMWを買ったりなんて滅多にしないので、せいぜいセレブな老人や女性が使うことを想定したクルマといった位置づけになっているようです。ドイツのサイトで描かれているような幸せそうなファミリーでの風景を見せつければ、ちょっとドリーミーな共働きの子育てカップルにはそこそこ響く気がするのですが・・・日本人なんて結局は感激してその気になってしまえばすぐにお金を使いますし。

  先日「2015年版・間違いだらけのクルマ選び」が発売されました。今ではすっかり主筆となった島下泰久さんがこの「2シリーズAT」にどのような評価を下すのかが、今回の最大の注目点でした。いやー完全にスイッチ入ってましたね・・・たとえBMWが相手だって容赦なくコレくらい言えちゃうもんね!というくらいに、BMWの確信犯に対して烈火の如く怒っています。そういえばこの方も40代でしたね。こういう風に「似非BMW」と受け止められてしまうとちょっと辛いですね。そんなに言うならばF30(3シリーズ)もF20(1シリーズ)も「似非BMWだ!」でいいんじゃないですか?どう好意的に見てもコロナかブルーバードのBMW版ですか?としか言いようがない・・・。しかもデザインは日本車よりも地味だし。

  F30やF20に比べれば、2シリーズAT(F45というらしい・・・)の方が健全じゃないですか? F30やF20は「シャレBMW」ではなく「ガチBMW」として乗っている人が多いようです。失礼ですが、見かける度に320iの所帯染みた薄っぺらい乗り味を思い出して冷ややかな気分になっちゃうんですよね。ニュルニュルと加速するZF8速ATはCVT並みのフィーリングの気持ち悪さしか感じないですし、なんだか急激なペダル操作をしたらすぐに不具合で出てきそうなヘンな恐怖感がつきまといます。大層に8速も付いちゃってますけど、肝心のエンジンには「上のゾーン」がまるっきり欠如してますからね。これで500万円って・・・冗談とか抜きで「アホか?」。ちょっと余計なことを言ってしまいました。この2シリーズATで幸せなファミリーが増えるといいですね。

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2014年12月3日水曜日

マツダCX-3 「ヴェゼルを止めることはできるの?」

  いよいよデザインが公開されたマツダの秘密兵器・CX-3ですが、写真で見る限りではどうもなんというか迫力不足な感が否めません。これまでの魂動デザインに比べて特に悪いといった点は無いのですが、日本市場で300万円近いクルマを売るならば、どんよりと漂う「無党派層」の背中を大きく押してあげるスペシャルな「何か」が欲しいです。最大のライバルは現在絶好調のホンダ・ヴェゼルですが、このクルマは実際に見積もると相当に高いです。乗り出し価格はHV車で300~350万円、非HV車でも250~300万円程度かかります。急速に街中に増えているので、個性を求めてエアロを組んでみると1.5Lガソリン車で300万円を超える見積もりが出されて、クルマ好きならば一瞬我に返って「1.5LのNAだよな・・・」となるはずです。そんなクルマが月10000台以上売れています。

  もちろんヴェゼルが売れてるにはそれなりに理由があって、「安っぽく見られないオーラ」「メルセデスAクラス的な内装デザイン」「Aクラス的な広さ」「Aクラス的なアクセルフィール」「Aクラス的なハンドリング」とまあ・・・とにかく最近のドイツ車に様々な点が類似した「狙ったコンセプト」が予想外にウケているのだと思います。ただし走りに関しては・・・熟成不足というより、そもそも何かを目指そうという意図があまり感じられません。MTモードやパドルシフトがあるのに「スポーツモード」ボタンを付けるというドイツ的なアイディアは、実際のところそれほど「商品性」の向上には貢献しない気がします。それでもメーカー側は「トレンドなのでこれは押えておこう!」と無理矢理装備に加えているようです。

  マツダとCX-3には直接関係ないですが「Sモード」についてさらに言うと、VW、BMW、スバルの各メーカーは自信を持って2〜3のモードそれぞれの「走り」を洗練させている印象ですが、日産(スカイライン)やミニはなんだか中途半端な印象を受けます。そしてホンダは・・・ヴェゼルHVの「Sモード」は無くて良かったのでは?と思えるほどに仕上がりが酷いです(失礼!)。MTモードで2速で引っ張っているのと同じなので、興ざめするようなエンジン音が容赦なく襲ってきます。偉そうに言ってしまうと、要はエンジン容量の問題であってCVTと組み合わせて熱効率で勝負する小型エンジンに、DCTを組み込んでエンジンの負荷を大きくすれば、この「不始末」は当然に起こる気がします。最初からドイツ車をベンチマークしたかのような「Sモード」ありきのコンセプトが大失敗なのだと思います。それでもくどいですが、ヴェゼルは月10000台以上売れてしまっています。

  「都市型SUV」というフランス発の怪しげなトレンドは、いよいよ日本市場を大きく覆い始めつつあります。グローバルでも欧州・中国・北米問わずに展開できるクラスとあって、各メーカーもかなり本腰を入れて開発に取り組んでいるようです。ヴェゼルの成功を横目にCX3にも大きな飛躍が期待されていますが、同じコンパクトSUVでもホンダが考えるものとマツダが考えるものには、大きな距離があるように思います。ヴェゼルHVに乗って思わず感じてしまうものは、「マツダ的な走りの要素の完全否定」だったりします。全くリニア感のないアクセル・フィールとそれを誤魔化すかのようなAクラスと同じくらいにフニャフニャなアクセルが、どうやらこのクルマの本質を決めてしまっています。

  逆に言うと、マツダ的にはあり得ないようなフニャフニャなアクセルでも月10000台以上が売れてしまうのが、日本市場の偽らざる現実のようです。別にホンダのクルマ作りや、メルセデスのクルマ作りが悪いというつもりはないですが、Aクラスもヴェゼルも発売のタイミングを上手く掴んで売れている感があります。他のメーカーに比べてクルマを仕上げてくるスピードが異様に早いというのは未確認ではありますが、やはりどちらも乗ってみて走りの面での熟成度が著しく低い気がします。ホンダに関しては駆動系のリコールが連続するなど、メーカー側からも「準備期間が足りなかった」といった言い訳が聞かれます。そんなクルマでも内外装だけしっかりアピール出来れば売れてしまいます。

  実際にAクラスやヴェゼルを試しにいくと、同乗しているディーラーの人はやたらとネガティブです。BMWやスバルのクルマではあれこれと自慢の走行モードを楽しんでもらいつつ、「どうですか?」なんて自信満々に訊かれますが、Aクラスだと特にスポーツモードを強調されることもなく、ヴェゼルに至っては「Sモードは相当にエンジンがうるさいので使わない人が多いです」とか言われました。そんな無駄な機能が付いているクルマ欲しいですか?営業マンだったらとにかく付いてる機能は全部誉めておくべきでは?「Sモードはホンダにとっては特別なこだわりがあります、いち早くCR-Zに走行性能があがる電気チャージャーを付けたくらいですから!」なんて言っておくべきではないですかね・・・。

  メルセデスA180(ノーマル底辺グレード)もヴェゼルHV(Z最上級グレード)もどちらも乗り出しで約350万円です。2.2Lディーゼルを積む「アクセラXD」が豪華な1グレードのみで乗り出し350万円ですから、マツダはおそらくその価格水準より安くCX3の「XD・Lパケ」(ディーゼルの豪華グレード)を設定してくるでしょう。デミオXDに乗った感触だと、もう一回り車体が大きくなって車重がいくらか増えても、1.5Lディーゼルエンジンに余力は十分なので、むしろデミオXDよりも出力とボディのバランスはとれるように思います。ただしアクセラの2.2Lディーゼルの方がガソリンエンジン的なフィーリングに優れていて、過給がかからない低回転時もストレスなく動きますし、さらに踏み込むとガソリンのように噴け上がり始め、「そんなに要らないよ!」と言いたくなるほどの加速感が得られます。

  その一方で1.5Lディーゼルは、ディーゼルであることをもっと強く感じるエンジンで、噴け上がり感もマツダにしてはかなり悪いです。それでもAクラスのガソリンターボやヴェゼルHVの1.5L&Mによる加速に対抗するには十分以上の出来です。BMWやプジョーといった欧州の「走りのブランド」によるクルマに搭載されてもまったく違和感がないエンジンという意味では、マツダの1.5Lディーゼルがこの3つのユニットの中ではもっとも優れています。デミオのレビューでも散見されるのが、1.3Lガソリンの方が完成度が高いといった意見です。マツダはディーゼルを押していますが、やはり感覚を研ぎ澄ませばガソリンエンジンに劣る点も出てきます。そしてAクラスやヴェゼルと比較する層にディーゼルが必ずしも魅力的に映るとは限りません。CX3にはアクセラ用の1.5Lガソリンが使われるようですが、マツダの「ガソリンNAエンジンの気持ち良さ」だけでHVを備えるヴェゼルの牙城が切り崩せるともなかなか思えません。さてマツダとしてはCX3発売に合わせてどういった付加価値を付けてくるのか?注目です。


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2014年11月14日金曜日

ミニ・クーパーS 「残念ですが・・・ただの足し算でしかないです」

  毎度毎度上から目線で恐縮です。BセグのボディにBMW320iの2Lターボを横置きしたら、どんなに楽しいクルマが出来る? クルマ好きならば無条件で支持してしまうほど、ワクワクするコンセプトなのは確かです。しかし冷静に考えてみると、スズキがスイフトにキザシ用の2.4L直4を積んだらどうなるか?と同じことだったりします。スズキに置き換えるとなんだか気乗りがしない・・・なんてことはないですけども、とりあえずスズキには別のことを期待したい次第です。ほんの数年前まで4mそこそこのハッチバックに3.5LのV6エンジンを搭載するという過激なコンセプトのクルマがトヨタから発売されていました。その頃は完全に無視していたくせに、今になってレクサスCTに2.5LのHVを積め!とか言ってる評論家もいたりして・・・人の事は言えませんが無責任極まるクルマ好きが多すぎですね。

  軽さが身上のトヨタやスズキがこんな企画をやるならば、「大丈夫か?」という老婆心が先走ってしまいますが、車重バランスこそを「社是」とするBMWが作るならば、やや過剰気味に期待してしまいます。BMW傘下になって3代目になるミニですが、これまでの1.6Lを使った設計から全面的に見直しを図りました。世界的にも成功例が少ない1.6Lの直4エンジンを遂に放棄し、別に日本の税制に配慮したわけではないでしょうが、1.5L(直3)と2L(直4)の二本立て組み替えてきました。ちなみにベースモデルの「ワン」には1.2L(直3)が使われています。そこで遂に実現したのが、4mに満たないミニの極小ボディにBMW320iの2Lターボを横置きにしたモデルです。BMW本体でも聖域無きダウンサイジングの嵐が吹き荒れるなかで「クーパーS」に関しては、1.6Lターボから2Lターボへ排気量が格上げされました。おーこれは乗るしかない!と思い立ちミニディーラーにお邪魔してきました。

  これまでもミニの個性的なデザインや、なかなかツボを押えた内装などには興味はあったのですが、例の1.6Lターボエンジンに対しての評価(燃費悪い・ウルサイ・パワー不足)が極めて低かったので、失礼ですが全く眼中には全くないクルマでした。そんな失礼極まる口上は決して営業マンにぶつけたりはしないですが、とりあえず「2Lが出たので来ました!」くらいはアピールしておきました。ミニの営業マンからしてみたら、そんなことはまだまだ言われ慣れてない様子で、「はあ・・・そうですか」といまいち要領を得ていない受け答えでした。「他に検討されているクルマはありますか?」と訊かれたので、「ゴルフGTIです!」と間髪入れずに返答すると、どういう切り口でクーパーSの優越性を語るか楽しみでしたが、デザインについて「ミニはオシャレで、ゴルフは汎用」といった当たり前の説明が・・・。まだまだ販売の現場は「ミニ&2Lターボ」が巻き起こしつつある反響に追いつけていないようです。

  マツダがデミオで目一杯勝負していることからも分りますが、BMWにとってもミニでしっかりと競争力を確保するのはグループ全体にとっての至上命題のはずです。巨大なVWグループの尖兵となっているアウディからは、VWポロ・ベースのアウディA1を戦略モデルと位置づけて、いよいよラインアップの大幅な増強が待ったなしで行われる見通しです。BMWはドイツ本国でアウディにあっさりと追い抜かれるという屈辱を味わっていて、VWグループに対しての警戒心はどのメーカーよりも高いはずです。アウディがすすめる「コンパクトカー&ラグジュアリー」戦略に対し、BMWとしては全力で妨害しようとしている意気込みを、今回のミニのFMCからひしひしと感じられます。

  インパネの真ん中に大径のアナログ速度計を配した、先代までの独特のインテリアを支持するファンも多いようですが、クーパーSではその部分にナビが標準装備で収まっています。BMWと同じく、コンソールに据え付けられたクオリティの高い入力装置を使うタイプのナビが使われています。このナビシステムはBMWが常々誇っている優良な機能美のイメージを最も見事に体現していて、メルセデスやレクサスのものよりもかなり使い易くできています。余談ですが"マツコネ"と同次元の幼稚さを誇るアウディの純正ナビなど全く相手になりません。スマホの方が使えるとか言われるほどに、情けない純正ナビが高級ブランドにも溢れているようですが、クーパーS標準ナビはコンパクトカーに装備されるものとしては最強だと思われます。内装に関しては先代よりも空間をトータルでデザインしていて、ドアトリムやインパネのカーボン調パネルなど存在感あるパーツが各所に散りばめられて、メルセデスAクラスにも負けないくらいの「コンパクトカー&ラグジュアリー」が貫かれています。

  さらにホイールベースの拡大も大きな変更点となっていて、これは最近に追加された5ドアモデルを想定したものと思われがちですが、どうやらFFなのにフロントオーバーハングがほとんどないスタイルにすることで、運転席・助手席の足元スペースが広くとることに腐心したようです。高速道路でも静かな「2Lターボ」、そして使い易い「ナビ」、くつろげる「前席のスペース」と様々な要素が揃ってきました。これはいよいよ街乗りコンパクトカーながらも、長距離ツアラーとしての実力も併せ持つこれまでに無い「スーパーコンパクトカー」の創造をBMWは意図していると思いますが・・・いざ走ってみると残念ながら、あっさりと期待を裏切ってしまう「粗」が見えてしまいました。

  さてクーパーS試乗ですが、私と連れと営業マンの3人が乗ってもターボ不要なほどに余裕のある2Lエンジンは、エコ走行を強要する「グリーンモード」でも発進加速にストレスが無いほどです。どこまで回してもヘタることなく、同じエンジンの3シリーズよりも200kgも軽い1270kgに加えて、FFらしい食い付くトラクションもダイレクト感があってとても良いです。なるほど!ここまでFFで仕上がったならば「2シリーズ・アクティブツアラー」もかなり期待できそうです。しかし・・・ふと我に返ります。こんな平穏無事なドライブフィールを求めてわざわざミニ・ディーラーにやってきたのではなく、BMWのノウハウを全て注ぎ込んだスポーティな乗り味こそがこの「クーパーS」の本当の価値ではないか・・・。全開のアクセルでも笑顔でステアリングを操作できるような"地を這う"走りができるはず。

  ということで信号を一つ超えた所ですぐに「スポーツモード」に切り替えて、見通しの良い直線でアクセルオン!・・・繰り返しますが直線区間です。当然にハッキリと向上したアクセルフィールが機敏に反応して、小振りな車体がピリっと動きます。ところが加速が始まって2~3秒程度で早くも足元から、キュルキュルとホイールスピンの音が・・・。いくらBMWでも物理的限界は超えられないことはよくわかっていますが、こちらも予想外なほどに無策だったのには驚きです。ステアリングを切った状態からの発進時ならまだしも、直線でスピードにのったタイミングで発生するなんて、改造車もどきのヴィッツ・ターボみたいです。高速道路での使用を推奨するようなコンセプトのクルマがこんな作りでいいのか?というBMWグループの姿勢に疑問が残りました。そういえば日本に導入された2シリーズアクティブツアラーは2Lモデルは全てAWDになってましたね。BMW本体では絶対に起こってはいけないことなのだと思います。

  
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2014年11月10日月曜日

メルセデスCクラス 「カッコいいというより、マトモだなこれは・・・」

  メルセデスぐらいの一流ブランドのデザインに、あれこれと文句をいうのは正直言って気が引けます。「オマエのような貧乏人を相手に作ってないから!」と言われてしまえば身も蓋もないですから・・・。実際にメルセデスのショールームに行ってみて、Aクラスを間近で見れば意外にカッコ良かったりします、私もいよいよターゲットの世代になってしまったのか?それともメルセデスが意図的にターゲット層を拡大しているのか? しかしいくらデザインがカッコ良くても、貧乏人にも手が届くメルセデスは、いざ走らせてみると絶対と言っていいほどに残念な気分にさせてくれます。なんなんだこのブランドは・・・やはり1000万円以上のクルマじゃないと乗り味は最悪という伝統は全く変わってないようです。

  最廉価車種のAクラスにも「A250」という、211psを誇るなかなかワクワクするモデルがあります。あの日産も認めてスカイラインにも搭載された2Lターボが積まれていて、スペック上からもなかなかの「ホットハッチ」ぶりを見せつけてくれます。試乗前はメルセデス版の「ゴルフGTI」的なグレードとしてかなり期待したのですが、走りに関してはまだまだ熟成不足な点が多いようです・・・エンジンとブレーキ以外はGTIに完敗です。いくら比べる相手が悪いとはいえ、これで乗り出し560万円!!!(ひと声で500万円になりましたが・・・)完全にイカれた世界を走るクルマにしか思えません。確かに内装は勝ってますし、シートポジションの自在性などはとても良いと思いましたが、まずあの意味不明に「ふにゃふにゃ」なアクセルはなんとかして欲しいです。他の部分もハッキリ分るぐらいに負けてます。DCTの仕上がりはGTIのそれとは比べ物にならないほどヒドいですし、EPSの熟成も日本車の水準から比べればハッキリ言って"クソ"・・・。

  しかしですよ・・・乗ってみてそこまでイヤな気持ちにはならなかったのもまた事実なんです。基本的にメルセデスの内装の考え方が某最大手の日本メーカーに似ていて、いい意味で感心する点が非常に多いです。VW(ゴルフGTI)は走らせてみれば、スバル(WRX S4)よりも断然に洗練されている乗り味なんですが、居住性に関してはスバルにすら大きく遅れをとっています。海外勢で一番良いとされるVWですが、どうも居住性という部分では競争力を失っているように感じます。アメリカで大不振な理由はこの辺にあるのでは? カーメディアが絶対に悪いと言わないVWですらこのザマですから、他の欧州車の実力なんて推して知るべしなわけで、多くの輸入車ユーザーはこの時代遅れの内装に理解を示した上で、我慢して使っているというのはなかなか滑稽です。1000万円を軽く超える超高額車はこの限りではないでしょうけど・・・。

  しかしメルセデスは敢えてプライドを捨てて、日本メーカー基準の内装をいち早く取り入れたようで、同時に低価格化を進めることによって、控えめで良識的な日本人ユーザーの心を掴んでいるようです。日本でのブランド別販売台数で先行するVWを一気に抜き去って突き放しました。ドライバーの体型にもよるでしょうが、一般的な男性の基準で考えたときに、ゴルフGTIとメルセデスA250ではコクピットのスペース作りに格段の違いがあります。トヨタの5ナンバー(プレミオやカローラ)よりも狭く圧迫感を感じるGTIと、Cセグの中ではレクサスCTと並んでおそらくもっともスペースが取られているA250です。結論を言うと、GTIの「走り」とA250の「内装」が組み合わされるならば、それほどに「A250」の走りが熟成されたならば、乗り出しで500万円払う価値は十分にあると思います。

  500万円というと確かにスカイラインHVが買える価格です。まあクラスが違うクルマなので一概には比較できませんが、現在のところ走りの洗練度だけを比較するならば、スカイラインよりもゴルフGTIにいくらか分があります。スカイラインのハンドリングは4800mmで1800kgあるクルマにしては驚異的な水準の旋回能力を秘めていますが、それでも4200mmで1300kgのクルマよりも刺激的なハンドリングを作り上げる事は至難の技です。そしてスカイラインの内装は一見豪華ではありますが、旧来のパワーシートのシステムや足踏み式サイドブレーキもなんだか古臭くてちょっぴり萎えるのも事実です。これにくらべてA250に標準装備(A180にはオプション装備)のパワーシートのシステムは画期的です。同じものが新型Cクラスにも使われていますが、これが非常に直感的で使い易いので今後は高級ブランドの間で急速に普及するでしょう。どうやらメルセデスがまたまた新しいトレンドを起こすのは確実なようです。

  さてA250から車格を上げたC250も発売されました。メルセデスの小型・中型でそれなりに納得できるクルマは、現状ではA250とC250の2台だけだと思います。スカイラインターボに使われているエンジンとは多少仕様が違うようですが、基本的な出力は同じものです。単純に車重で比較するとスカイライン>C250>A250の順なので、最も動きが良いのはA250です。それでも乗ってみるとなんだかあまり印象は良くないので、絶対的な運動性能はC250もスカイライン200GT-tもそれほど期待できないはずです。やはり本来はマルチシリンダー・エンジンをフィールドにするメルセデスですから、まだ展開から日が浅い4気筒エンジンに過度な期待はできません。せいぜいレクサスや日産の高級車で最廉価グレードのエンジンを務められる最低限度のものでしかないです。

  さてこのエンジンが最上級グレードに使われている新型Cクラスですが、C250はマトモに買うと700万円以上・・・スカイライン350GTやレクサスIS350といった日本車を代表するGTサルーンが買えてしまう金額になります。いよいよ直4(ターボ)でここまでボッタくるクルマが出て来てしまいました・・・これはちょっとイヤな流れだなと思います。今後登場する日本車にも大きな影響を与えそうです。同じエンジンを積むスカイライン200GT-tもMCの度に価格が上がるでしょうし、直4ターボの廉価モデルを増やしているレクサスも強気な価格を提示してくるでしょう。ホンダ・マツダ・スバルも上級モデルはさらに価格が上昇しそうです。

  さてCクラスですが、ドイツメーカーのセオリーに反して、いろいろな点を弄ってきました。デザイン・走り・内装・パッケージとそれぞれにコストが配分される中で、全てのパラメーター値を変えて他ブランドのクルマとの比較をしにくくさせています。このクラスで日本で売れているのがBMW3シリーズです。去年発売されたレクサスISは大幅刷新で3シリーズを超える走りを作り込んできました。日本車がドイツ車の得意分野で勝負して見事に勝利したわけですが・・・多くのクルマファンはその現実をまだ直視できないようです。日本車に得意分野でやられたドイツ車の雄メルセデスは、この新柄Cクラスにおいて、逆に日本のお家芸といえる内装の質感の高さで反撃してきました。まあ走りもデザインもユーザーの主観が伴うので何とも言えませんが、レクサスもメルセデスも天晴れじゃないかと思います。

  相対的にクルマを性能面で判断してばかりだと、時にバランスを損なったハイパフォーマンス車が過剰に評価されるという悪循環に陥ります。正直言ってレクサスIS350は、BMW328iを封殺するパフォーマンスを誇りますが、燃費やヘビーな車重からくるタイヤやブレーキの負担を考えると、誰にでもオススメできるクルマではありません。ド派手なエクステリアに、余裕たっぷりの出力を誇るナンバー1なスポーツセダンである「IS350」は文句なしにカッコいいです。いわゆる「自慢のクルマ」というヤツです。

  その一方で「C250」は・・・マトモです。デザインもそつないですし、内装も破綻のないさりげなさに惹かれます。走りに関しては211psもあれば十分だと「納得」する慎ましい謙虚なセダンです。30歳前半くらいまでの若者か、65歳を超えた高齢者、あるいは女性が乗れば違和感がないクルマだと思うのですが、700万円という日本価格がそんなリアリティすらをぶち壊してしまっている気がします。やはり直4搭載車はせいぜい450万円くらいに収まるべきじゃないか?という気がします。マ◯ダア◯ンザなども今度のMCでAWDが追加されてLパケは本体390万円という噂ですから、いよいよ450万円を突破してしまうようです。はやくもメルセデスの悪影響が・・・。



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2014年10月28日火曜日

アウディTT 「3代目が担う"近未来"とは?」

  1997年にプリウスが登場してから17年が経過しました。トヨタは先日HVの累計販売が700万台を突破したと発表がありましたが、プリウスも最初の3年間は不人気で累計で5万台程度しか売れなかったみたいです。それが10年経ってアクア(2011年)が登場する前夜には1ヶ月で5万台(国内のみ)に到達するか?というくらいまで伸びたわけですから、トヨタの辛抱が見事に実を結び、狙い通りに業界トップへとのし上がる原動力になりました。

  現在ではGMと並んでトヨタのライバルとして頭角を表してきたVWグループも、プリウスが登場した同じころに、アウディTTというセンセーショナルなデザインのクルマを発売しました。こちらはその斬新なデザインが瞬く間に世界に伝播し、プリウスとはまったく違った成長曲線を描きながらも、成功が非常に難しいとされていた小型FFの高級モデルとして業界の常識を覆す異例の成功を収めました。

  プリウスは発売当初、トヨタが意図的に設定した"近未来"的なデザインがやや不評で、ハイブリッドには期待しているユーザー側としてもデザインにはかなりの戸惑いを感じていたようです。そんな日本人が持つコンサバな自動車デザインへの潜在意識を、画期的なデザインであっさりと変えてしまったのが初代アウディTTだったと思います。このクルマを見ると思い出すのが、絶頂期のスピルバーグが監督した「A.I.」という大コケした作品です。この重苦しく悲観的な映画には「未来のクルマ」が登場しますが、そのあまりにも無機質で寒々しく描かれたデザインを見て、今後のクルマはこうなっていくのか・・・と失望したことがありました。

  街中に増殖するプリウスを見て、どこか「A.I.」が描くような悲惨な未来が近づいていることに暗澹たる想いもしました。そんな私の中のネガティブなクルマの近未来デザインへのイメージを一変させてくれたのがアウディTTです。このクルマは間接的ではありますが、受け入れられ易い未来志向のデザインという意味で、結果的にプリウスのデザインをより多くの人々に受け入れさせるアシスト役を果たしたと思います。

  さてほぼ同時期に登場した「プリウス」と「TT」ですが、プリウスは早くも来年にも4代目が登場します。一方で約8年という長いモデルサイクルを採用しているTTはいよいよ3代目が発表されました。今となってはTTのデザインは街の風景によく馴染んでいて、これを"近未来"と表現することにはやや違和感があるくらいです。もはや現代を代表する「王道スペシャルティカー」と言っても過言ではないほどで、むしろ「デザインの古典」という立ち位置にすらなってます。

  今回登場する3代目ではまた新たにどんな世界観を見せてくれるか楽しみでしたが、なんと2代目のデザインがほぼそのまま継承されています。パワユニットもほぼそのままのようで、全グレードに信頼性の高い6速DSG(湿式)が使われるようです。先代と全く同じで、「1.8TSI」「2.0TSI」「TT-S」「TT-RS」の4グレードが置かれ、「1.8TSI」は北米向けゴルフのユニット、「2.0TSI」がゴルフGTIのユニット、「TT-S」がゴルフRのユニット、「TT-RS」がTT専用の2.5L直5ターボのユニットがそのまま使われることになりそうです。

  TTのベース車となるゴルフはフロントガラスが直立したタイプの古典的なHBデザインなので、高速道路での巡航には風切り音が少なからず発生します。これは長距離ユーザーにとっては由々しき問題で、クルマ選択の際にも少なからずポイントになります。一方でcd値の低減を目指したTTのエアロボディは、ゴルフクラスのクルマをさらに高速道路で快適に走らせる能力があり、TTに使われているユニットは、その空力性能を生かす為に、VW車のベースグレードよりも排気量が大きめのエンジンが選択されています。TTの当初の位置づけはゴルフをより快適にハイウェイで走らせるというコンセプト上にあったと思います。しかし初代発売直後に揚力を抑える機構に欠陥があり、横転の危険からのリコール騒動があったため、ハイウェイ専用車というイメージは今でもあまり定着していません・・・。

  それでも同じようなコンセプトのメルセデスCLAやプジョーRC-Zが、1.6Lターボをブヒブヒさせて走るのに対して、全グレードで車重に比べて排気量と出力にかなり余裕を持たせているTTは、クルマのコンセプトとその完成度において完全に頭一つ抜けた存在と言えます。TT・CLA・RC-Zの3台ともにスポーティをテーマにしてはいますが、リアルスポーツではないので、その点を勘違いさえしなければ、どれも見所があるスペシャルティカーではあります。いずれも大きく居住性を犠牲にしているので、CセグHBにスポーツカーの車体を被せたという、なんとも捉えどころの無いクルマになっていますが・・・。

  現在の日本メーカーがおそらく頑として作らないタイプのクルマが、この3台だと思われます。ダイハツ・コペンやホンダCR-Zのような例外はありますが、いわゆる「ご近所に買い物に行くクルマ」をわざわざ高級に作るという発想は、極めて知性の高いクルマ作りに自惚れる日本メーカーのエリートはなかなか馴染まないと思います。TT、CLA、RC-Zといったタイプのクルマは、日本メーカーに言わせれば「下品」です。クルマとしての本質(走り・居住性)をことごとく放棄してまで、デザイナー達に好きに遊ばせるという企画は、エンジニアにとっては自らの影響力を下げる行為でしかありません。いままで世界最高のパッケージを作り続けてきたトヨタの車内レイアウト担当からしてみたら由々しき事態と言えます。

  もちろん作る側もこの手のクルマが長く人々の心を捕えることはないし、デザインに飽きてしまったら、ただの利用価値の低い「駄作」でしかないということもよく分っています。コペンやCR-Zは維持費の安さを考えれば、まず「駄作」の汚名は逃れられるとは思いますが・・・。「維持費が高い」「狭い」「楽しくない」の3拍子揃った・・・はさすがに言い過ぎかもしれませんが、TT、CLA、RC-Zの3台の「CセグHBベースのスポーティもどき」を購入する際には、日産フェアレディZくらいに使う状況をよく考える必要があります。ちなみにフェアレディZはピックアップトラック並みに北米向けに振ったモデルなので、日本の初心者ユーザーが買ったあとに最も後悔するクルマの1つです(もちろん大満足の人もたくさんおられますが)。

  さてアウディTTですが、VWがこのクルマに込めたコンセプトは、その個性的なデザインばかりが先行してしまって、まだ十分に理解されていないような気がします。VWが積極的に推進してきた1.2Lや1.4Lスケールへのダウンサイジングターボ戦略は、欧州ではスタンダードなものになり、それと同時に日本メーカーによる「HV大衆車」の侵入を防ぐ防波堤にもなりました。しかしVWはアウディTTにはそのパワーユニットを持ち込もうとはせずに、TTを一段高いポジションに置いた点に、ゴルフやシロッコとは同じに括れないTT独自のコンセプトがあります。1.2Tや1.5HVが東アジア・欧州・北米を覆う中で、スポーツを意識し過ぎたRC-Zや、肥大化したボディを122psのユニットで無理矢理引っ張るCLA180は、「珍車」以外の存在理由がないですが、逆に3代目TTはその崇高なコンセプトで再び輝きを増していくと思います。


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2014年10月13日月曜日

スバル・レガシィB4 「フラッグシップらしさに期待」

  いよいよ10月24日に発売が予告されたスバルの最上級モデル・レガシィが楽しみです。ちょっと気になるのが、大きな反響を持って迎えられたレヴォーグとWRX S4の完成度は最初からかなり高く(言い切ります!)、従来のレガシィのファンがごっそりと動員されてしまった感があることでしょうか。残ったのは最近のレガシィが拘って作り上げてきた「居住性の高さ」と「スバルの高度な走り」の高いレベルでの両立こそが他にはないこのクルマだけの魅力!と悟っている人々だと思うのですが、果たして日本には一体どれくらいいるのでしょうか?

  クルマ雑誌を見ていると、新型レガシィは来たるFMCで、完全に北米サイズにまで膨らんでしまい、全長4800mm級のFFベースのクルマなんて北米市場の特別仕様なので過大な期待はできない!といった厳しい論調が目立ちます。まあ確かにランエボをサーキットで走らせる感覚とは全く相容れないですから、その視点から「ドライビングの刺激が薄い」というありきたりな結論自体は間違いではないですけど、このジャンル(FFのD/Eセグセダン)を語るべき視点はもっともっと深いところにあるのに、ほとんどの日本のカーメディアがそこまで言及しようとしていないのが残念です。彼らは自動車の専門家ですので、アメリカで売れている理由も本気を出せばいくらだって列挙できるはずですが、完全にイメージ商売(人気獲り商売)と堕してしまった現状のライター業では、読者に嫌われるような本質は徹底的に無視する空気が蔓延している気がします。「ドイツ車は至高でアメ車はゴミ」という幻想は決して破壊してはいけないようです。

  まずアメリカでなぜこのクラスが売れるのか?という疑問に対して、「アメリカだから」みたいな小学生レベルの解説を平気でするライターなんてゴロゴロいます(もちろんわざとです)。「日本人とは感覚が違うから」と言われても読んでる側は困惑しかしません。ハンバーガーやポテトチップスを食べながらソファーでテレビ見る事がライフスタイルの国同士なのだから、クルマの趣味だけはまったく別ということはないはずです。バブル崩壊から20年が経ち、日本でも服・バッグ・時計・靴といったアイテムで一般ブランドの何十倍の価格を付ける高級ブランドが軒並み大苦戦する時代になってきました。その背景にはアップルのようなプレミアム価格を提示しないでも世界一のブランド価値を築く、現代アメリカの「マテリアル主義」に基づいた新興ブランドの進出があります。そしてそのマテリアル主義の"クルマ版"といえるのが北米で大ヒットしている「4800mm超のFFセダン」だったりするのですが、その現実に対して日本のカーメディアは必死に抵抗しています。

  今やオシャレな男性用スキニーカラーパンツが2500円で買えます。ちょっと前まで「高いな・・・」と思いつつバーバリーブラックレーベルやポールスミスのパンツをその10倍の価格で当たり前に買っている人が多かったですが、いまやどちらも同じ中国縫製ですし品質に大きな差なんてありません。時計だって中国で大量生産されるセイコーのクォーツを使ったデザイナーモデルが様々な新興ブランドから数千円で買えてしまいます。ネットで探せばそれこそもの凄い数の時計がありますから、その分デザインの良いものも多いですし、性能は完全にセイコークオリティです。もちろんクォーツですから200万円くらいする有名ブランドの機械式時計よりも1000倍は精度が良いです。

  「ネットの普及」とか言ってしまうと安っぽく聴こえるかもしれませんが、個人デザイナーがわずかな資本でブランドを立ち上げて、宣伝・販売をすることも容易になりました。商品さえよければ有名ブランドにライセンス料を払って商売する必要もなくなりつつあります。三陽商会がバーバリーと契約を打ち切りましたがこれも時代の流れなのかもしれません。ほかにも「ネットの普及」によって欧州で売られている良心的価格のヴィヴィアン・ウエストウッドのネクタイなども日本に居ながらに4000円程度で買える時代に突入しているわけです。輸送コストの問題があるとは思いますが、欧州で8000ユーロで売ってるフォード・エコスポーツも日本で自宅に居ながらに100万円くらいで買えてもよさそうですが・・・ちなみに日本価格は本体246万円です。

  ちょっと話がそれましたが、ほかのアイテムは価格破壊が進んでいますが、クルマだけは今でも"欧州車至上主義”が堂々とまかり通っていて、欧州車的でないクルマは徹底的に排除するといった論調が根強いです。「高級セダンはFRであるべき!」「CVTは絶対にNG」特にこの2つは、あたかも絶対的な「真理」として扱われています。ちょっと考えれば誰でも気がつくことですが、構造上「狭くて・うるさくて・危険」になることが避けられないFRに拘ることにそれほど大きな意義はないです。今では直4エンジンでもNAで200ps、ターボやHVなら300psは絞れるわけですから、むしろFRに拘ることで設計上のネガティブな点ばかりが付いてまわります。しかしそういう問題提起はプロライターの世界では絶対にタブーなようで、彼らは「余計なことを言って」レクサス・日産・メルセデス・BMWから出禁を喰らったらオワリとでも思っているようです・・・。

  しかしいくらプロライターが熱心に主張したところで、今や自動車雑誌を読んで真に受ける人なんて"アホな暇人"だけですから、通常の賢い消費者は全く意に介さずにクルマを選び、その結果エコカー・軽自動車・ミニバン・SUVが日本ではひたすらに売れています。そんな中で日本市場でもラインナップが揃い出した「北米サイズ」のFFセダンですが、4800mm超の大型ボディにもかかわらずカムリとアテンザはデザインの良さが評価され予想以上に売れました!アコードはホンダの掲げた看板の割には、デザインが振るわずやや地味な存在で、ティアナは実力十分なのですが日産の消極的な姿勢とメディアのバッシングが強くやや苦戦気味です。さてAWD専用という特殊ジャンルですがレガシィは一体どうなるのでしょうか?

  で・・・話のオチなんですが、カーメディアが絶対に伝えない「真実」として、日本のD/EセグのFFセダンを端的に表現すると、「世界で最も安全なツーリングカー」という評価ができます。燃費重視の日本車は両輪を平行気味に配置して抵抗値を下げる方向に調整するのですが、いわゆる「トーイン」を取らない方針で、これにより最近の日本のFR車は欧州車と比べてしばしば直進安定性が低いと言われています。もちろん最近やたらと燃費を気にするようになったBMWやMBの低グレード車も同じようなものなんですが、なぜかスカイラインやクラウンばかりが叩かれます。ハイウェイを安全に快適に走るならば、車高が低くてスタビリティがあり、直進安定性に優れるFFが絶対的に優位です。ハイウェィ網が整備されているアメリカでこの手のクルマ(カムリ・アコードなど)が売れるのは当たり前なことです。

  しかもFFのパッケージングの良さは車内の居住性に大きく貢献します。同じサイズのレクサスGSとカムリあるいはスカイラインとティアナの車内の広さを比べれば一目瞭然です。スカイライン(4790mm)と一クラス下のシルフィ(4615mm・FF)を比べてもシルフィの方が後席は快適だったりします。さらに決定的なのが、欧州、米国、日本の各市場で行われている衝突安全性の実験において、FF車の方が圧倒的に良い結果を出しています。この点に関しては専門家の分析など全く出されておらず、断定的なことは言えないのですが、一般にFF車で採用される横置きエンジンの方が、FR用の縦置きよりもキャビン内部に与えるダメージが小さいことと、前軸に直接リンクしているエンジンの方がマウントも強固で、駆動輪となっている前軸も重厚に作られているなどの構造上のアドバンテージが挙げられます。

  ちなみにスバルが採用している水平対抗エンジンは、比較的に車体下部に配置されるので、衝突時にキャビンに突入することはまず無く、車体下へと堕ちるように設計されているとスバルは公表しています。各市場のテストでべらぼうな高評価を連発しているアコードやアテンザといったライバルをさらに凌ぐ「安全性」を堂々と謳うスバルのコンセプトは、もっと日本ユーザーにダイレクトに伝わるといいなぁと思う次第です。


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2014年10月1日水曜日

日産スカイラインクーペ 「スカクー改めインフィニティQ60・・・さらに」

  レクサスRCの概要がやっと発表されました。すでに去年の東京MSの段階で完成していて、その段階で発売するグレードも大筋で判明していて、ほぼ予想通りのものになりました。ちょっとビックリしたのが、最初からV8搭載のレクサスRC-Fを同時発売するというレクサスとしては新しいスタイルを採用してきました。最上級モデルの先行販売はジャガー、マセラティ、アルファロメオなどの新型スポーツカー&スペシャルティカーにおける手法としては定番化していて、レクサスもそれを素直に模倣・踏襲したようです。

  元々は「サルーン」に特化したプレミアムブランドとして、独自性あるブランドイメージを構築しつつあったレクサスですが、大々的な2ドアモデルの投入によりいよいよ「何でも屋」ブランドの様相を露骨に呈してきました。日本のカーメディアはレクサスの戦略的行き詰まりを盛んにあげつらう傾向にありますが、アメリカで25年、日本で10年を経たレクサスの成長は客観的にみて、史上最速といっていいほど順調に推移していると言えます。今回のレクサスRCの投入の一番の動機は、ブランドの販売台数を大きく底上げするものでは決してなく、トヨタの技術力の高さを証明すべく投入したGS・IS用の新型シャシーがあまりにも優秀すぎる出来なので、宝の持ち腐れと批判されないように、日産やBMWと互角以上に張り合える車体剛性が高い2ドアGTカーも作ってしまおう!くらいの軽い発想によるものと思われます。

  そもそもこれまで2ドアのDセグ車は、Cクーペ、3クーペ(現4クーペ)、スカクーがわずかの国内シェアを分け合う程度であり、北米でも欧州でも日本よりは需要が多いにせよほぼ成長が見込めないジャンルでしかなく、レクサスがブランドの命運を賭けて乗り込むにはあまりにも小さすぎる市場です。ブランド全体におけるRCの役割は、これまでレクサスIS350がクルマの性能を最大限に引き出す最上位グレードとして君臨しているところに、ボデイ剛性を大幅に上げてIS350をさらに大きく上回る"超絶グレード"としての「特別仕様車」的な意味合いが強いです。RC350やRC-FによってレクサスがBMW、ポルシェ、日産に肩を並べるほどの高性能GTカー・ブランドとしての一面を持っていることを表現し、本格志向の人はこちらをどうぞ!といった程度のものに過ぎません。ポルシェがライバルの性能アップを目の当たりにして、慌ててボクスターやケイマンに新たに「GTS」というグレードを作ったようなものです。

  ただしレクサスRC-Fの場合は、おそらくドイツプレミアムのDセグを全て薙ぎ払う為に作られたISの新型シャシーの計画当初からの一つの到達点として想定されていたもので、雑誌では「フラッグシップスポーツ」などと言われてますが、レクサスのブランドイメージを決定付けるほどの重要なモデルです。ゆえにたとえ相手がGT-Rや911ターボSであってもスピード以外の部分では絶対に競り負けないとてつもない完成度をトヨタの威信をかけて必ずクリアしてくるはずですから、まず購入して後悔することはないクルマだと思います(燃費とか維持費が高すぎるかもしれないですが・・・)。それでも日本の評論家さん連中は恐ろしいですから、「(BMW M4と比べて)シャシーもハンドリングもエンジンもどれも勝っているけど・・・なんだろう何か心に残る"芯”みたいなものがない」なんてレビューが続々と出てきそうな予感がします。

  レクサスRCの設計を見るとどうやら、コンセプトのスタートラインとしてBMW4シリーズしか見ていないような気がします。4シリーズは上回るけど、そこからさらに大きく違う世界感を作ろうとはあまり考えていないようです。この無邪気なRCを後ろから密かにマークしているであろう不気味な存在なのが、日産スカイラインクーペことインフィニティQ60で、新型がいよいよパリモーターショーで発表される予定です。先日の英国メディアの報道によると、BMW4シリーズよりもいくらか大きなボディになるようで、これまでのどうも狭っくるしく感じるDセグ2ドアクーペの概念を突き破り、Eセグに近い絶妙なサイズで「ゆとり」を追加した4シリーズやRCよりもだいぶラグジュアリーなクーペになるそうです。

  新型スカイラインことインフィニティQ50のデザインを見ていると、今回の日産は近未来的なスポーツサルーンのイメージを漠然と追うのは辞めて、「男がDセグ選ぶならこれ!」とちょいワル親父に指名買いをされる現実的なポジションを目指しているように感じます。これまでのV35、V36もなかなか男性的な存在感は出してましたが、V37は女性ユーザーをさらに突き放すような不思議な渋さが備わっていて、日本では女性がやたらと乗りたがるクルマである日産のフェアレディZ(32,33,34)やシルビア(13.14.15)とはだいぶ違った印象です。そんなV37も2ドアクーペになればやはりセレブな女性のお買い物カーに成り下がってしまう可能性もありますが、おそらくVC35やVC36よりもずっと「男性的」なコンセプトを狙ってくるのではないかと思います。

  V37セダンは「アメリカン・マッスルカー」と「ジャーマン・プレミアムカー」の両方のデザイン要素を兼ね備えているせいか、なかなか見慣れない不思議な表情をしています。このクロスオーバーな佇まいが災いして、残念ながら日本の日産ファンの一部からの大ブーイングを浴びてしまっているようです。彼らはスカイラインがつまらない高級車になってしまったと肩を落としますが、実際のところは「高級車」なのか「クラスレス」なのかよくわからない立ち位置であって、セレブが注目するようなラグジュアリーかつセクシーさを強調したような派手さ一辺倒なクルマでは決してないです。むしろ質実剛健で性能面を最も重視した実直なクルマ作りという意味で"日産"に相応しいクルマだと思います。このクルマをベースに一体どれだけセクシーなクーペが出来るのか全く想像ができませんが、4シリーズやRCのデザインに顕著な「わざとらしさ」「未熟さ」をダサいを感じて納得できなかった「大人」な人々に応えられるように、基本に忠実な「ワイド&ローでマッチョ」なスタイリングを狙ってくるような気がします。

  フェアレディZともGT-Rとも異なる需要をしっかりと吸収することが、インフィニティQ60に課せられた最大の使命であり、「女性専用車」のZと「最善主義」のGT-Rからこぼれ落ちた「渋さ(アダルトさ)」「ラグジュアリー」「重厚感」「男性的クーペ」がテーマであり、ライバルの4シリーズやRCも現状を見る限りは、この4点においてを落第点の水準です。2ドアクーペに600万円以上掛ける客層の人間性を過大評価し過ぎで、もっと本質的に「ガキっぽく」「知性がない」「品格がない」ユーザーばかりだから、この4点を重視することは無意味という意見もあるでしょうが、日産にはこのジャンルに巣食った「軽薄さ」「ダサさ」を一掃するような強烈な1台を期待したいです。

  このQ60とは別に今月のパリ・サロンでは「フーガクーペ」となるQ80も発表されることが既に予告されています。こちらは4ドアスペシャルティカー仕様になっていて、日産が宿敵ポルシェのパナメーラを北米市場で叩くために独自に開発した新型モデルのようです。提携相手のメルセデスから出ている大型スペシャルティカーの尖兵となった「CLS」は発売直後こそ話題沸騰でかなりの販売台数を記録しましたが、10年経過してクルマの基本コンポーネンツがメルセデスの水準からみて低いレベルにあることが世間にも浸透しつつあり、北米ではパナメーラやギブリに大きく遅れをとるようになっています。後から追加されたクーペワゴンのシューティングブレイクも車体の設計が極めて杜撰で、高級車にはあるまじき乗り心地の悪さと静音レベルの低さが酷評の対象になってしまいました。

  北米で日本車が同クラスのドイツ車のどれよりも高い価格で売られる!という快挙を達成したインフィニティのQ50(スカイライン)とQ70(フーガ)は、日産が持つ高級車ノウハウが世界最高の水準にあることを見事に証明しました。同クラスのレクサスGS・ISも徐々にメルセデスやBMWを超える価格設定をするようになっていますが、最も高価なのはインフィニティです。プレミアムブランドのD・Eセグを制した「技術の日産」がいよいよ「レクサスLS」と「Sクラス」というトヨタとメルセデスの"頂点"と対峙する量産モデル(ややジャンルは違うけど価格帯では接近?)をグローバル市場に投入します。これによって風通しが悪く硬直化した高級車市場に新しい旋風が巻き起こされ、自動車文化の活性化につながればいいとは思いますが・・・。



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2014年9月12日金曜日

マツダ・デミオ 「ディーゼルの最大のメリットは・・・」

  新型デミオの価格が発表されました。先代に比べて飛躍的に内外装に高級感が漂っていますが、ベースモデルは135万円に抑えられています。とりあえず先代のスカイアクティブ車よりも安いですから、マツダとしてはかなり頑張った価格になっています。しかしもはやデミオは安さで選ぶクルマではなく、今のマツダの勢いであるとか、創造性・先進性を存分に体感したいならば、176万円の上級グレード「13S・Lパッケージ」を勧めたいです。ディーラーから送られてきたパンフレットにも、まるでプレミアムブランドが新たにコンパクトカーを作りました!といったスタンスでこの「Lパケ」が一番大きく宣伝されていました。レクサスなみのインテリアと安全装備が標準でついてくるわけですが、マツダのちょっと目立つ外装とのバランス・兼ね合いを考えると、Lパケがしっくり来るようです。

  デミオが「高級車」と認知されるのは簡単ではないかもしれませんが、「高級車」には必ず外から見ている人に「快適そうだな〜」と感じさせるオーラがあって、今回のデミオにはそれに近い雰囲気が備わっていると言えます。先代までのデミオにはそういう要素はあまり考慮されていなかったですし、メインユーザーからもその手の期待もされませんでした。これまで「ゼロ」だったところに、突然にクラス最高峰の"高級車要素"を添加したことで、アテンザ・アクセラのFMCと違いデミオは先代と基本設計が変わっていないにも関わらず、その進化の振り幅がとても大きく感じます。極論すると、もし新型デミオを買うならば高級感を周囲に十分に感じられるグレードにしておかないと、このクルマの美味しい所をみすみす逃してしまうと言えます。

  フィットやヴィッツ/アクアに比べてノーズが長いという点だけでも、設計のゆとりを感じます。このスタイルはエンジンと乗員との距離もわずかながらも離れていて、そこに防音材を詰め込んでありそうな雰囲気は出ます(実際は乗らないと解らないですが・・・)。BMWミニや現行のVWゴルフ/ポロそしてメルセデスAクラスにも言えることですが、ノーズを張り出すことが素直に高級感の表現になっているのは確かです。ドイツメーカー車が日本で人気なのは、ストレートに「ゆとりある生活」を表現できるクルマとしての有用性が評価されたものと言えるかもしれません。実際の乗り心地・静音性はともかく、見た目とパワフルな走行感からクルマの上質感が醸し出されています。

  そんなドイツ車的な「豊かさ」の演出から、今回の新型デミオは謙虚に学んだ部分が大きいようです。内外装の演出もさることながら、スムーズさと適度なトルク感を備えたガソリンNAのエンジンにBMWミニに匹敵するトルコン6ATを使ったベースモデルのパッケージからは、おそらくクラスを"独走"するであろうジェントルな乗り味がイメージできます。パワーユニットにおいてクラスの常識を超えてここまで贅沢な設計をされては、VW・アウディ・BMWミニといったこれまでの先端モデルも「スムーズ」「静粛」という点においてはデミオには勝てないのではないかと思われます。小排気量ターボやDCT、CVTの排除は小型車の合理性をある程度犠牲にしつつも、最高の乗り味を目指したものと言えます。

  このガソリンモデルだけでも「世界一」を目指すマツダの心意気が感じられますが、このモデルが霞んでしまうほどに注目を浴びているのが、1.5Lディーゼルターボを使った「新感覚Bセグ」によるアプローチです。欧州でもBセグでのディーゼルの採用は珍しいようで、登場がかなり前からアナウンスされていたデミオXDですが、この「飛び道具」グレードは試乗会に参加したジャーナリストを次々と"ノックダウン"するほどに斬新で、購入を即決したジャーナリストが複数いたようです(マツダがプレゼントした?)。

  新型デミオのライバルモデルとして、いよいよガチンコになってきたBMWミニも、デミオ発売に先駆けてディーゼル搭載モデルを340万円で発売しました。しかしおよそ半額の178万円に抑えたデミオXDとの価格差はかなり大きいので、「ディーゼル戦争」といったような過当競争にはならないと思います。実際のところ250万円程度までミニがディーゼルの価格を下げない限りは、デミオXDとの競合はおろか日本市場で大きな爪痕を残すことはほぼ無いと言えそうです。

  欧州でもあまり類を見ないというBセグディーゼルの存在意義は、軽油が安い日本独特の需要と考えられています。クラスで圧倒的な主導権を持ち続けるアクア、フィットHVと同等に経済的で、走行性能が高く乗っていて楽しいという点で、マツダディーラーもHV勢への反撃の切り札として期待を一身に集めているようです。このデミオXDが持つ本当の価値は「経済性」や「ファン・トゥ・ドライブ」ではなく(だけではなく)、従来のBセグにとって頭痛のタネだった高速道路での劣悪な車内騒音を軽減、つまり「快適性」にあると思います。

  コンパクトカーに使われる小排気量ガソリンエンジン(1.5L以下)は、60km/h前後からの加速時にトルクの落ち込みを補うために5000rpmを超える回転が要求されるので、中央高速などの山岳路線では登り坂で速度の低下が解っていても防げない部分があります。それと同時に車内には強烈なエンジン音が響きわたり、会話もまったく出来ないほどの騒音に包まれます。アクアやフィットHVは高速で走り続けるとモーターが停止して重くなったボディをさらに出力の低いエンジンで引っ張ることになるので、通常のガソリンモデルよりも燃費が悪化することもあります。とにかくブレーキを踏んで回生させない限りはHV車のメリットなんて皆無と言えます。

  BセグではVW、プジョー、ミニからそれぞれ200ps程度を出力する高性能モデルが300万円前後で発売されていますが、これらは全くの趣味のクルマというわけではなく、高速利用の頻度が高いユーザーにとってはかなり有意義な選択肢になっています。日産ジュークにも1.6Lターボの設定がありますが、同じ意味合いでの需要が見込まれていて、このエンジンをマーチやキューブにも拡大すべきかなという気がします。

  高速道路を快適に走れるBセグの価格帯を一気に引き下げた!という意味でデミオXDは大きな意味を持つクルマといえます。40km/h程度で一般道を走るだけならば、ガソリンの1.3Lの方が騒音も少なく快適ですが、登り坂や高速でガソリンエンジンの回転数が上がると、低回転でも走れるディーゼルの方がむしろ静かになります。もちろん高速道路で要求される追い越し加速においても、ガソリンモデルでは不十分な点も見られますが、ディーゼルならば問題ない走行性能を持っています。マツダもこの点をかなり意識しているようで、中間加速や高速安定性にもかなり意識した設計を行っていると開発者のコメントにも述べられていました。

  街乗り専用車ならば「ガソリン1.3Lモデル」、高速利用を考えるならば「ディーゼル」とたった2種類のパワーユニットですが、かなり効率的にキャラ分けができています。200万円以下に収まっている価格帯を考えると、値段を気にせずに用途ですんなりグレードが決められる点も、変なモヤモヤ感がなく納得したクルマ選びをする上でとても重要です。トヨタやホンダのコンパクトカーでもHVありきな大雑把な戦略と比べると、私のようなマツダ好きでなくてもとても好感がもてるのではないでしょうか。


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2014年8月28日木曜日

VWポロ 「ミニとデミオでこのクラスは盛り上がる!?」

  VWのBセグを担当する「ポロ」が新しくなったそうです。ゴルフもそうですがVWの最近のFMCは、デザインの変更点が素人にはほとんど分らないので、メディアも「フルモデルチャンジ!」といった威勢のいいコピーが使いづらいようでメディア泣かせなメーカーだなと感じます(どうやらマイナーチェンジだそうですが・・・)。VWぐらいの超グローバルメーカーになると、日本という辺境の中規模市場で「消費税増税」があって販売は逆風であることなど、全く歯牙にもかけないようです。これでは先代モデルのユーザーが最新モデルにこだわって乗り換えを検討することも減るでしょうし、VWジャパンのあの髪型に特徴がある社長にしても頭が痛いところかもしれません。

  全長4mに収まるサイズのコンパクトカーを指す「Bセグメント」は、各メーカーの創造性に満ちた技術開発によって、現在ではCセグとそれほど変わりないくらいの居住性を確保できているように感じます。あまりテキトーな事を言うべきではないですが、Bセグに対してCセグのアドバンテージとは一体どれほどのものなのか?と訊かれると、決定的なもの(説得力があるもの)は何もないようにすら感じます。サーキットで驚異的なタイムを出したいならば、Cセグの方が全般的に有利ですけどね。Cセグも十分に狭いので後席を使わないで2人乗りと割り切れば、むしろBセグの方が車両感覚が掴みやすく、軽量でハンドリングも良くそのうえ小型のエンジンでも快適に加速するといったアドバンテージがあれこれ思いつきます。

  あくまで考察の域を出ないですが、一般的にCセグよりもBセグの方が本質的に優れたクルマが多いと感じるのには一応理由があります。まず1つ目はゴルフ、シビック、ファミリアといった80年代に一世を風靡したCセグハッチバックを小型車の一つの頂点と捉えると、そのバブル期の快楽的な設計によって導かれたサイズ・車重そして100ps程度の出力が、そっくりそのまま現在のBセグに当てはまっていて、当時蓄積されたデータが十分に運用されているというのがあると思います。昨今の省エネ志向とミニバンのようなスペース志向を持った現在のCセグはベースモデルでは重さや非力さを感じますし、逆にゴルフGTIのような高性能モデルではサイズと車重がややヘビーで公道よりもサーキットを視野に入れたスタンスなので、サーキットに全く行かないユーザーには甚だ不満に感じてしまいます。

  2つ目は、Bセグを鍛えてきた小型車専門メーカーの技術力です。2000年代に入りHVやEVなどの新たなパワートレインへとトヨタや日産は舵を取りましたが、その一方で既存の小型車技術は新興市場の広がりとともに熟成を続けました、その中でVWグループ、ホンダ、スズキは力強く成長を続け、もの凄いスピードで業界再編が進む中で、いずれも世界トップ10の自動車グループへと成長しました。単体でトップ10入りしているホンダやスズキの存在はまさに「ミラクル」と言えます。さらに他のトップ10も同様でヒュンダイグループの欧州での躍進も小型車の成功(それとFTA)無くしては絶対にあり得ないことでした。また欧州での販売が激減している「フィアット=クライスラー」や「PSAグループ(プジョー、シトロエン)」が現在もベスト10に留まっていられるのも、小型車部門による踏ん張りがあるからです。逆に小型車とは無縁だったブランド(MG、サーブ、サターン、ハマーなど)は経営が行き詰まるとあっけなく廃止されました。

  トヨタ、日産、メルセデス、BMWといった高級車に定評があるメーカーばかりに目が行ってしまいますが、ブランディングに熱心なこれらのメーカーは絶えず、技術で勝負する小型車メーカー(あるいはバイクメーカー)と協調関係にありその技術を自ブランドへせっせと吸収し続けています。スズキ・ワゴンRに使われてきたコラムシフトが、最新のメルセデスの大部分で採用されたり・・・というのは冗談ですが、直4のEGRの研究などはバイクも作ってるスズキとホンダの独壇場だったりするわけです。某雑誌の記事にBMWの3気筒ターボ積んだ新型ミニが、走りを見る限りはスイフトの足元にも及ばないと書かれていましたが、スズキの1.2Lエンジンは他社を圧倒するレベルにあるのだとか。

  それにしてもBMWがダウンサイジングと効率運用の切り札として、開発した1.5L3気筒エンジンの評判が悪いようです。もちろん重量がある中型車向けに作られた2Lや1.6Lの4気筒を無理矢理Bセグに転用するよりは、キビキビと走るので理にかなっているようですが、小型車を専門に作ってきたメーカーのエンジンに比べるとお世辞にも良いと言えないです。もちろん「BMWらしさ」に尺度を置くならば、絶対的に正義なんですけど、純粋にコンパクトカーの完成度として見るならば、スイフトに大差をつけられてしまいます。まああくまでミニは「プレミアムコンパクト」であってスズキとは方向性が違うと言い張るならば、一定の評価はできるでしょうけど。BMWの考える小型車の理想を実験者が理解できていないのかもしれませんが、なんだかんだでちょっとでも豪華に大きくしようとする「新型ミニ」の方向性は今後どう受け入れられるのでしょうか?

  Cセグで満足という人には、あまりBセグの需要がわかりづらいかもしれませんが、Dセグに乗っていて「Cセグはちょっとな・・・」と不満を募らせている私と同じ考えの人にとっては、Bセグはカーライフの「ソリューション」として評価すべき点がたくさんありますし、それと同時にDセグとは別の意味でのクルマの本質を追求できるセグメントとして輝いて見えるんじゃないかと思います。コンパクトなクルマを想像する時に「オーリスよりもヴィッツ!」であったり「アクセラよりもデミオ!」と自然に感じてしまったりしませんか?Bセグにより豊かなカーライフの匂いを感じてしまうのです。それでもふと我に返って、Bセグ車一般に対しての懸念も湧いてきます、個人的には「長時間ドライブ」と「衝突安全性」の2点がとても気になります。

  たとえセカンドカーだとしても、燃費が嵩みがちなファーストカーを補完する働きを期待するならば、100~300km程度の中距離ドライブに耐えられる仕様を求めたいと思います。若い頃に乗っていたB/Cセグのカローラランクスは3時間を超えたあたりから体が痛くなることが多く、東京からだとせいぜい長野県くらいまでが楽しくドライブできる範囲でした。座席の調整幅の少なさと、フットスペースの絶対的な狭さは悩みのタネで、さらにシートの小ささややわらかさなどもあって長時間ドライブを視野に入れていない設計と言えるかもしれません。さらにひと昔前の国産コンパクトは残念ながら騒音でも体力を消耗していたように思います。扇風機が音を立てる部屋に長時間いると何となく疲れを感じますが、高速道路で唸りを上げる1.5Lエンジンを5ナンバーサイズの車内で3時間も聞かされると耳鳴りがしてなんだかぐったりした気分になったものでした。これらの複合的な「疲労」の要因をメーカーが戦略的にどれだけ取り除いてくれるかが、個人的には今後のBセグ選びのポイントかなと思います。

  VWポロは衝突安全性への評価も非常に高く、さらに静音設計や長時間運転に配慮したコクピットの設計においても高い水準にあると言われています。残念ながら長時間運転したことがないので何とも言えませんが、ある程度信頼できる情報筋からも好感触と評価されているので、少なくともカローラランクスよりは楽に運転できるだろうと思います。おそらくポロこそが、現状でのBセグの頂点であろうと思われます。また同じVWにはザ・ビートルという別のBセグモデルもあって、MQB設計であることを踏まえればどちらも同じくらいの機能性を有していると考えられます。

  さて今回のポロは1.2Lターボをデチューンし、同排気量のゴルフとは出力特性が違う90psの燃費重視のものへと変更してきました。JC08モードで22.2km/Lだそうです。さてこのポロの水準に迫るBセグと目されているのが「ミニ」と「デミオ」でしょうか。まずは既に発売されている「ミニ」ですが、先ほども述べましたが「プレミアムコンパクト」という路線を明確にするために1200kgというBセグの平均を大きく上回るヘビーな車重が特徴です。もちろん重くなった分だけ制音にも効果はあるのでしょうが、実は別の問題が指摘されていて日本仕様に全車標準装備されるのが韓国製のランフラットタイヤで、これが乗り心地と制音を台無しにするほどに酷いと言われています。とりあえず仕様変更まで待つしかなさそうです。

  もう1台の「デミオ」ですが、こちらも1.5Lガソリン車の廃止が伝えられていて、高速道路で悲鳴を上げるであろう「1.3L直4ガソリン」と一般にガソリンよりもウルサイと言われているディーゼル(1.5Lターボ)の2本立てになる模様です。これでは先代モデルからの改善はとりあえずなさそうですが、もしかしたらディーゼルモデルにはいくらか期待できるかもしれません。昨年発売されたアクセラは残念ながら静粛性のテストにおいてゴルフの前に敗北を喫したのですが、2.2Lディーゼルを積んだモデルは、100km/h走行時にゴルフの全モデルよりも静かだったというデータがありました。排気量の余裕と回転数の低さそしてディーゼルの桁外れのトルクによる恩恵なのですが、デミオのディーゼルもポロを10kg・m程度上回るトルクを持ってますので、同じような逆転現象が起こる可能性があります。

  「ポロ」と「デミオ」そして仕様変更を前提とした「ミニ」の3台、あとポロの上級モデルである「アウディA1」の4台のつば迫り合いはBセグの新たな可能性を見せてくれそうです。スイフトとフィットは内装の質感がいくらか向上して、高速道路での走行を見据えた設計のグレードが出てくれば、十分候補になりうるのですが、どうやらホンダもスズキもHVでの「非高速走行」モデルを想定してしまっているようです。そういえばどちらも欧州市場ではやや影が薄くなってきた感がありますね。経営戦略的には欧州無視は妥当な判断かもしれませんが、それでもコンパクトカーのさらなる進化と今後に期待したいと思います。


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2014年8月19日火曜日

ジャガーXE 「レクサス化しているDセグ市場をぶっ飛ばせ!」

  ほんの15年ほど前までのDセグセダンは、マークⅡ、チェイサー、スカイライン、プリメーラ・・・若者の給料でもなんとか買えるくらいの価格(200万円以下)で買えるクルマばかりだったですね。それがいつの間にやら最低価格は200万円を越え、さらには250万円を越えるようになりました。今では販売の中心が400万円を超えるプレミアムブランドに完全に移行したためか、かつてのような「走り」をメインに考えた設計は影を潜め、より「高級車」らしい装備を盛り込むことに各社がしのぎを削るようになりました。

  内外装がどんどん洗練されれば、古いクルマに乗っている人は大きく心を揺さぶられるようで、買い換えがかなり捗っていつようです。最近のDセグセダンを見ていると、どうもこの「売るためのマニュアル」通りに作られたクルマがやたらと目立ちます。比較的廉価に思われているマツダ・アテンザもその流れに乗ってしまったようで、売る気満々の「XD・Lパッケージ」が乗り出し価格では400万円を超えていて、プレミアムブランドのモデルとそれほど差が無くなっています。ユーザー側としてはもっといろいろな方向性を打ち出して、あれこれ選択肢を作って欲しいと思うのですが、「価格」も「見た目」も「乗り心地」もなんだか良さげでお互いに似たり寄ったりなものになっています。

  最近ではメルセデスの新型Cクラスが話題になっています。このクルマもトレンドによく乗っかっていて、内装が格段に向上しつつ、マイルドなパワートレーンでモード燃費を稼ぐ方針を明確に打ち出しています。燃費は欧州の道路事情で考えればトヨタの2.5LのHVに匹敵する実力があるようですが、信号地獄の日本の都市部ではどう足掻いてもHVには及ばないようです。なぜメルセデスは真っ先にHVを持ってこないのか? ちょっと余計なことを言っちゃいますが、その辺の本末転倒ぶりを考慮に入れると、とても日本COTYの最有力候補には相応しくないクルマです。

  しかしそんな注目度が高いモデルがやってくることは先刻承知のはずのトヨタが、今回は特に対抗モデルを用意しようとしないのはナゼでしょうか? もし本気で新型Cクラスをブロックするつもりならば、現在開発中と言われるセダン版の86を間に合わせることもできたでしょう。おそらくトヨタとしては「新型Cクラスは大して売れないだろう』という判断があるのだと思います。それとは別にセダン版の86では対抗するのがやや難しい「ジャンル」へと立ち位置を変えてきたメルセデスの戦略に対して有効な対策が見出せないという見方もあります。

  メルセデスが「スポーティ&プレミアム」の王道路線でCクラスを仕上げてきたならば、トヨタが意地で作ったハイクオリティのレクサスISと、スポーツカーテイスト満点に仕上げた86セダンで、Cクラスの市場を完全に締め上げることが出来たでしょう。しかしCクラスの狙いは内装をレクサスの水準まで引き上げて、さらに経済性に優れるレクサスIS300hに興味を示す人々を価格面で狙い撃ちするという奇襲戦略でした。先ほども申しましたが、燃費ではメルセデスに勝ち目はないのですが、C180はレクサスIS300hを大きく下回る価格帯であり、レクサスIS250の2.5LのNAをダウンサイジングしたような1.6Lターボを積んでいて「先進性」をうまくアピールできています。

  もちろんレクサスIS250に使われているV6NAのエンジンの方が、高回転まで気持ちよく回り頭打ち感も無く、高級車用のパワーユニットとしては望ましい点がかなり多いのですが、昨今の自動車選びにおいてそういった視点を強調する評論家は非常に少なくなっています。エンジンの「官能性」を求めるユーザーがいなくなったわけではないのですが、そういう層にコミットしていても利益が上がらないという判断でユーザーの切り捨てが行われ、「フェラーリが」「ポルシェが」と偉そうなことを書いてる評論家が、「自分を殺して」まで何の感動ももたらさないエンジンを「さすが!」なんて持ち上げているわけです。

  もうそろそろいい加減にこのトレンドも破綻していい頃かななんて思っています。レクサスが作り出した新たなプレミアムカーの基準、それに完全に呑み込まれているだけのCクラスのようなDセグ車になんだか疑問を感じている人も多いのではないでしょうか。700万円出してIS350を買わなければいけないのか?いや500万円で「官能」を呼び覚ますDセグセダンがあってもいいんじゃないですか? そんなメルセデスにあっさり切り捨てられた人々の想いを汲んでくれそうなDセグセダンが「ジャガー」から発売されるようです。

  インド資本によってランドローバーともに再建が進むジャガーの最新ラインナップはどうやら賛否両論があるようですが、世界市場の趨勢を見る限りはマセラティとならんでかなりのハイアベレージでシェアを拡大しつつあります。最新のジャガーに対して批判的な意見は、「デザインに重みがなくなった」「アルミ軽量ボディで直進安定性が低い」「衝突安全性にやや疑問(ユーロNcapが低スコア)」といったものです。高級サルーンのブランドとしては致命的ともいえる欠点を抱えているのですが、それでも世界のクルマ好きはジャガーのクルマを歓迎しているとデータ上に表れています。

  逆に最新のジャガー車が評価されている点はどこか?「V6とV8のスーパーチャージャーエンジンがとても官能的」「車重を感じない人馬一体感」「若々しいデザイン」といった点です。衝突安全性の部分はさすがに看過できないですけど、ボディがXJやXFから一回り小さくなって車体剛性が上がればある程度は解消されるでしょうし、さらに小回りが利くサイズで道路を選ばずに走れるようになるならば、待望のスポーツサルーンになるのでは?という期待が高まります。ジャガーが徐々に情報をリークし始めましたが続報を待って、このブログの最大の注目車として徹底マークしたいと思います。


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2014年8月12日火曜日

マツダ・デミオ 「冷静さが必要だけど、ひょっとしたら・・・」

  マツダは個人的に一番好きなメーカーで現在もマツダ車に乗っています。このメーカーの魅力を、誤解を恐れずに一言で言うならば「大人になりきれないクルマが作れる!」ことだと思います。マツダのラインナップを過去のものから現行のものまで俯瞰すると、最もガキっぽい一般車メーカーはマツダだと断言できます。同じような系統のライパルとしてBMWやプジョーがいますがそれよりもさらに「ガキ仕様」ですね・・・。トヨタの開発者がコンセプト「タケリ」からほぼそのまま現行アテンザのデザインになったのを見て「マツダは完全に頭がオカシイ」みたいなことを言ったとか言わないとか。

  いくら大手メーカーから「変態」扱いされようとも、世界で「一番尖っている」のはとても価値があることですし、日本メーカーの誇りといえます。マツダが倒産したらもうクルマ買うの止めようかな・・・と私と同じように考える人も相当いると思います。そんな熱狂的な支持を受ける反面、新型モデルにかかる期待もハンパないものになっていて、下手なデザインで登場し「これはとてもマツダではない!」とフルボッコにされるモデルもいつかは出てくるでしょう。そんな中でCX5、アテンザ、アクセラと見事に期待に応え続けたマツダの「集中力」はやはり凄いなと思いますす、そして今回登場した新型デミオもマツダ自ら「確信のドヤ顔」を発表前から繰り出していて、某雑誌には「4打席連続ホームラン」なんて書かれてました。

  最近「復刊」を果たした「CAR STYLING」(三栄書房)の復活第一号では、表紙に堂々の「~Truth of the DEMIO Soul of Motion~新型デミオと鼓動デザイン」の太文字が躍っていていました。復刊第一号なので注目度もそこそこ高いでしょうけど、デミオ(もしくはマツダ)だけで本体価格2000円もする雑誌を売ろうという企画も大胆なもので、私のような熱狂的マツダ信者が次々と買わされていくんだろうな、なんて思いつつ買いましたよ・・・。

  最近のマツダはデザインに至る「過程」すらもブランドの一部として扱っているようで、他のメーカーでは滅多にないことですが、アニメの絵コンテのような鉛筆書段階のデザインを意図的に「放出」しています。アニメなど日本が高い国際競争力を持っている「知的産物」によるコンテンツを総称して「クール=ジャパン」と言うそうですが、マツダの戦略はこの政府主導の「日本的価値の発信」にとても良く合致しているようです。歴史的に日本政府が大っ嫌いなトヨタやホンダといった大手はそんなものに協力する気はさらさらないといったところかもしれませんが・・・。

  さて新型デミオですが、シートを始め「白」が基調になっているLパッケージ仕様の内装が公開され、クラスを超える圧倒的な質感がとても話題になっています。まだ実物に触れて見たわけではないので何とも言えないですが、とりあえず「新しいマテリアル」で作られているのは確実なようです。あまり安易なことは言えないですが、男性用スーツの素材といったら「ブリティシュ・ウール」の品質保証ワッペンタグが内側に付いたものが喜ばれたりします。しかしデザイン性はそれとは全く別物であり、いくら質感が伴っていてもデザインが完全に時代遅れのものは喜ばれません。

  現在では「質感」以上に「デザイン」が優先される時代になりつつあります。デザインを最優先に考えたときに、たとえ極細の上質なウールを使うよりも、ポリエステルなどの化学繊維の方が品質の安定感なども含めて高いレベルに立つようになってきたようです。もちろん「化繊のスーツなんて・・・」という保守的な考えのユーザーもたくさんおられるので、一気に拡大するのは難しいかもしれませんが、グッチやコムサ=メンといったやや前衛的なブランドでは徐々に導入が進んでいます。

  私も試しに3年ほど前に一着購入してみたのですが、これが予想以上に強靭でほころびも少なく、いまでも十分な光沢を放っていてとても満足しています(大幅値引で5万円ジャストくらいでゲットしました!)。今回のデミオ"Lパッケージ"の内装もどことなく、この「化繊スーツ」の良いイメージがダブります。100万円台半ばで買えるクルマなので大きな期待をせずに買ってみたら、予想以上に安定した質感で大満足の「逸品」になるかもしれません。いや・・・マツダならやってくれるはず「Lパッケージにハズレはない!」というくらいの気合で素材の選定してきているハズです。最近ではマツダの試乗車はことごとくLパケになっているようなので、ぜひデミオに乗って確かめてみたいと思います。


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2014年8月5日火曜日

メルセデスCクラス 「もはや男が乗るクルマではない!」

  「ワクワク感は皆無」です。なんでいい年したオッサンのライターがはしゃいでいるのか?ハッキリ言って良く解りません。別にプロライターをバカにするつもりもないし、メルセデスを貶めるつもりも全くないですが、カーメディアのリアクションを見ていると相当な違和感があります。メルセデスを掴まえて「質感が著しく上がった」なんて・・・配慮が無さ過ぎる文言があらゆる誌面で躍っていて読んでいるこっちが恥ずかしくなってきます(これはクルマではなく日本のメディアの問題か?)。

  メルセデスの新型Cクラス(W205)は、先代モデルから大きく進化を遂げているのは確かですが、そこにはメルセデスとしてのある種の「自己決定」があるように感じます。先代モデルとの最も大きな違いは、簡単に言うとターゲットを絞り込んでいることです。先代のCクラスもまともな皮膚感覚の常識人から見れば、「30歳以上の女性」が乗るクルマというのが相場だったのですが、メルセデスとしてはそういう「決めつけ」に対して抵抗するスタンスを少なからず持っていました。若くしてメルセデスを志す「エリート」に向けてこのクルマを届けたいという姿勢は先代モデルからは感じることができました。それでもせいぜい30歳代前半くらいまでの男性がターゲットだと思われます。

  都内の一等地にある高級住宅街に迷いこめば、確かにCクラスに乗る人のほとんどは女性ですが、日本のほとんどの地域で見られるのが、このクルマを転がすのはいい年したオッサン。偏見はいけませんが、とりあえず・・・な人と思っておいて間違いないでしょう。わざとピンクのダイハツ・ミラのような、女性的なクルマを好んで選んで乗る目立ちたがりのオッサンが最近では増えていたりしますが、しかし今の所はCクラスに乗っているオッサンにはそういう発想はあまり無さそうです。しかしメルセデスはいよいよCクラスを「女性の為のクルマ」と認識して、その方向性に沿って「誠実」に進化させることを決断したようです。「Cクラス=女性専用車」という見方をするならば、今回のFMCには着実な前進と思われる点が随所に見られます。

  女性が使うという前提でクルマを作るとなると、その幅広さは男性向け自動車の比ではなく、パワーユニットはあらゆる形態が考えられます。某雑誌でF30BMW3シリーズのユーザーレビュー特集がありましたが、面白いことにガソリンモデルは全て女性ユーザーでディーゼルモデルは全て男性でした。女性の方がクルマへの依存度(使用頻度?)が低いせいか、燃費への要求も男性ほどシビアではないようです。機能性よりもファッション性を貫くことばかりに意識が囚われているアパレルの高級ブランドのように、それに限りなく近いポジションで消化されるようになったのが、BMW、アウディ、レクサスそしてメルセデスの廉価グレード車種の現実だと言えます。

  ちょっと前までは「女性向けのライトなクルマ」として括って片付けていた部分があったのですが、OECD諸国における女性の社会進出は目覚ましいようで、いまでは主だったプレミアムブランドの中心軸は完全に女性向けのモデルになったようです。そんな時代の大転換を象徴する「瞬間」が今回のCクラスのFMCではないかと密かに思っています。そう思わざるを得ない点は多々あるのですが、例えばやや固いイメージがあったCクラスのエクステリアはエッジを切り取り丸みを帯びたものになりました。その手法は商用車然としたボディタイプを斬新にカッティングしたトヨタパッソや日産マーチに通じるキュートさに包まれていて、いかにも女性に対して大きく門戸を開いた印象があります。

  また最近のアウトレット専用商品を用意するブランドバッグのブランドの商品のように、質感ではなく「マーク」で付加価値を与えるという、「経営効率最優先」のブランドの背信的姿勢をほぼ全てのクルマから感じてしまいます。クルマの走行性能よりも「どう見えるか?」「オシャレか?」に力点が置かれています。もっとも女性にクルマの性能にこだわれという方が無理があります。例え女性といえどもスバルやホンダの機能性が極めて高いと理解できる人はたくさんいるでしょうが、400万円をアコードやレヴォーグに使おうという人はかなり少数派だと思われます。いくら質感がよくてもデザインが古めかしとアパレルもバッグも使われることはまずありません。

  最近では、女性的な感性でクルマを選ぶ女の腐ったようなオッサンが増えているようで、何の躊躇いもなく「カッコいいから」とAクラスを選ぶ男性も多いとか・・・。大変失礼ですが、大手サイトのユーザーレビューを読んでるとAクラスのところだけ「アホ度」が異常に高い!「遅くて燃費も悪いけど国産よりマシ!」(いやマシじゃないですけど・・・)やら「文句を言いたいならメルセデスユーザーになってから言え!」(いやあなたは乗りもしないブランドを国産と一括りにしましたよね)・・・いやはやツッコミどころが多過ぎて手に負えないです。たしかに自分が乗るクルマを買うために、メルセデスディーラーに行って「Aクラス下さい!」と言う勇気は私にはないです。

  けど私のクソみたいな羞恥心とは全く違う方向へと、世界の自動車産業は動き出してしまっているようです。女性に響かないポイントを次々と切り捨てていけば、6気筒や8気筒のエンジンなんて全く要らないですし、BMW Z4もメルセデスSLKもフェアレディZも全て1.5Lの3気筒ターボにさりげなく載せ変えてしまっても、女性ならなんの臆面もなく買えるでしょう。そしてクルマの知識など皆無に等しい女性化したオッサン達も平気な顔して買うでしょう。V6とかV8に拘るヤツは頭が古い!とか能弁垂れるのは自由ですが、そんなことは誰だって解りきった上でそれでもV8がほしくて買っているのですが・・・。

  さて後発されるであろうAMGモデル以外は全てが4気筒ターボになった日本仕様の新型Cクラスですが、このクルマが一体誰のためのプロダクトかはもう明らかだと思います。とうとう本質的に女性ユーザーしか収まらないクルマになってしまいました。レクサスCTやアルファロメオ・ジュリエッタと同じカテゴリーへと伝統のCクラスが放り込まれたわけです。いや・・・レクサスCTがこれほどカーメディアの逆風を受けつつも力強く前進し主要市場で軒並み確固たる地位を占めているという事実。そしてその根底にあるトヨタの揺るぎないマーケティング能力が、名門ブランドのメルセデスをも呑み込んでしまったと言っていいかもしれません。

  
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2014年7月30日水曜日

スバル・WRX-S4 「日本車の”意地”ってヤツですか・・・」

  やっと街中でレヴォーグを見かけるようになったと思ったら、8月には早くも次の新型車がスバルから発売されるようです。しかももうとっくにスタンバイ完了のようで、スバルのディーラーには展示車両が出現しているみたいです。早くも購入予定車のブログにディーラーで見かけた写真が投稿されていましたが、これは素晴らしい出来映えじゃないでしょうか!スバルのデザインにここまで魅了されたのは初めてです。とりあえず従来のスバル車のイメージを打ち破るような高級感のあるエクステリアにビックリです。やはりセダンのトレンド(=高級化)の前には我が道を行くブランドで知られるスバルも逆らえないようです。

  カーメディアでは新型メルセデスCクラスが「完璧」としきりに持ち上げられて盛り上がってますが、日本勢の最有力の対抗馬がこの「WRX S4」になると言ってもいいかもしれません。新型Cクラスは確かにメルセデスのさらなる「前進」への意欲を感じる力作だと思いますが、その一方で肝心のクルマ自体を冷静に評価すると、それはあくまでメルセデスを好むユーザーの価値感においてはほぼ「完璧」ではありますが、ライバル車に対して「絶対的優位性」はあまり感じないです。基本性能でスカイラインやレクサスISを超えているか?というと厳しい部分もありますし、とりあえず「メルセデス的価値観」の中でナンバー1を狙ったクルマといっていいかもしれません(詳細はまた改めて)。しかしその領域に予想外のところからスバルの「S4」が踏みこんできてしまった印象です。

  メルセデスが「次世代サルーン」に必須と考えている要素として「安全装備」と「AWD」があるようで、上級車種では軒並み「4MATIC」による高速安定性が売りになっています。末端的グレードになるCクラスは「安全装備」こそ最高レベルのものが標準装備されていますが、「AWD」に関しては見送られているので、メルセデスが目指す理想の「次世代サルーン」としては中途半端な部分もあるのかなという気がします。そしてなによりメルセデスがこのコンセプトを拝借したのが、スバルが北欧や北米で培ってきた「高機能」なブランドイメージだということは明白です。

  なんかその辺に「カチン」ときてしまったスバルのイライラが、この「S4」のデザインによく表れているような気がします。スバルが去年発表した「WRXコンセプト」を見てメルセデスとの類似を感じた人も多かったようですが、その時点ではまだスバルがなぜメルセデス風のデザインを志向しているのかいまいちピンときませんでした。

  メルセデスはアウディを超えるべく「AWD」ブランドとしての脱皮を図りつつ、2Lターボの出力を大幅に上げてスバルなどを挑発していますが、根底では「スバルは正義」と認めている部分はあると思います。そしてスバルはメルセデスのデザインを「リスペクト」することでブランドイメージの「高級化」に取り組んでいるようです。どう見ても「相思相愛」に見えるのですが、トヨタ傘下のスバルと日産をビジネスパートナーとするメルセデスですから「禁断の恋」かもしれません。

  さて新型WRX「S4」は、簡単に言うと「レヴォーグのセダン版」以外の何者でもないクルマですが、元々レヴォーグの誕生へとつながったのは現行のWRXに途中から導入され、WRXに初めて「CVT&ターボ」を設定した「A-line」です。ただこれには多くの熱心なファンを持つスバルにとってはやや逆風で、世界に誇る伝統の「WRX」に2ペダルが設定がされたことに対して、かなりネガティブな意見も、いや「WRXにCVTはあり得ない!」くらいの完全否定すら喰らってしまいました。それでもそれが逆にスバルの闘志に火を付けたようで、スバルが社運を賭けている「CVT&ターボ」を何としても世間に認めさせようという”意地”を感じます。

  もちろん「WRX」といえば「MT」で旧型エンジンの「EJ20」を使う完全熟成のユニットがあるわけで、今回はエンジン交換は止むなしなど、いろいろな憶測がありましたが「STI」グレードではそれが残されました。一方でレヴォーグと同じ「CVT」&「FA20DIT」に換装された2ペダルグレードを「A-line」から「S4」というまったく新たな称号(アウディのパクリっぽいが・・・)を与えていて何やら「秘めたもの」を感じます。スバルとしては「誰でも気軽に運転できる」高性能セダンを新たなブランドイメージとして確立していきたいという意図は確実にありそうです。アイサイトが予想以上の大ヒットとなりましたが、これは「STI」モデルにはいろいろと制約があって設定が難しいようで使われていません。しかし次世代エースの「S4」にこれを付けないわけにはいかないので、WRXとしては初めてのアイサイトモデルが登場するようです。

  エンジンもミッションも完全に別のものを使い、アイサイトも使い分けるなど「S4」と「STI」には同一車種とは思えないほどの方向性の違いを盛り込んでいる辺りが「スバル」なのかもしれません。もちろんメルセデスにも「AMG」というキラーコンテンツがありますし、新型Cクラスには1000万円をだいぶ下回るいくらかお買い得なAMGチューンモデルが設定されるのでは?という噂があります。すでにA/CLAで格安の「AMG」が展開されていますが、これらの価格設定をみるだけで、メルセデスがどれだけスバル「STI」を恐れているかがよくわかります。いよいよWRXもスバルファンだけのもではなく、「S4」が広く一般レベルで「高級かつ高性能」な1台として認知され、大ブレイクする可能性もあるように思います。メルセデスとスバルの闘いの結末が楽しみです。

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2014年7月22日火曜日

BMW M235i 「最後の聖域?なんかちょっと・・・」

  新型スカイラインを見てグダグダと訳の解らないことを言い続ける、オールドファンとオッサンライターが構成するカーメディアには辟易します。そんなに直列6気筒ターボ&MTが欲しいなら、BMWから出てる"スカイラインGT-Rのレプリカ"こと「BMW M235i」というモデルが一応ありますけど・・・あくまで「レプリカ」ですが。6MTが選択できて本体価格(約600万円)もボディサイズもR34並みで納得できる部分も多いのではないでしょうか。残念ながらAWDではないですが、0-100kmも5秒をクリアしているなかなかの俊足です。ただし現行のスカイライン350GTも余裕で4秒台ですが・・・。

  トヨタが意地で作り上げて来たクラス最高峰に位置する「レクサスIS350Fスポ」が612万円なので、少々サイズが違うにもかかわらずどっちにするか悩む人も居そうです。もちろんこの2台よりもハイパワーかつ好燃費の「スカイライン350GT」があって、最上級グレードでもこの2台よりもいくらか安いという、なかなか「シュールな展開」ではあります。けどここで声を大にして言いたいのが、燃費・出力・乗り心地(NVH)をある程度は見過ごしても、これらのクルマにおいて最も評価してあげたいと思うのが、各ブランドが選択した「アプローチ」でクルマ個性が磨かれて「輝いている」ということです。プ◯◯スやゴ◯フを選ぶような安っぽい価値基準とは全然見るべきところが違うわけです。

  日独を代表する自動車メーカーが、本当に心から楽しめる「グランドツーリングカー(GTカー)」を作ろうと凌ぎを削る姿は、エコカー全盛の現代においても、いやそんな時代だからこそ「熱く」こみ上げてくるものがあります。「6気筒で300psオーバー」という点くらいが共通で、そこから先は各ブランドの目指す方向へ個性が炸裂しています。レクサスがBMWに敬意を示してハンドリングを徹底的に強化すれば、BMWはランフラット装着による乗り心地悪化を緩和するため(M235iはランフラットではないけど・・・)に、トヨタ流のしなやかな足回りを使うなど、どことなくお互いにリスペクトし合っている姿も印象的です。

  日産(スカイライン350GT)だけはやたらと「完璧主義」を前面に押し出してきてもちろん素晴らしいですが、その一方でレクサス(IS350Fスポ)とBMW(M235i)は「ブランドの末端モデル」としての"愛すべき不完全"さを持ち合わせたクルマになっていて、これはこれで所有欲をかなりくすぐってくれます。レクサスIS350Fスポは実質燃費8km/L前後ですが、それでもオーナーさんの心証を読み取ると、量販車ながらここまで精緻に作られた「工芸品」が感激したので、頑張ってガス代稼いで大事に長く乗ってあげたい!といったところじゃないですかね。

  トヨタと日産が互いに競った「ジャパニーズV6」は間違いなく世界最高の高級車向け6気筒の名エンジンです。メルセデス、フォードといった名だたるメーカーよりも突き抜けて静かで燃焼効率がよく、高級車らしいフィーリングを備えた日本の自動車産業が世界に誇るべき逸品です。トヨタや日産のエンジニアがこのエンジンを使い続けるのは、コスト面の問題と切り捨てる評論家もいますが、むしろ「思い入れ」の方が大きいのではないかという気がします。そして大排気量NAに拘ったからこそ、GTカー最高レベルに達したレクサスのハンドリングが生きてくるわけで、大変失礼ですがこれにターボ付けろと大合唱している低能な評論家の皆様は全く何も解ってないんじゃないですか?

  日産GT-Rは3.8LのV6ツインターボで、ポルシェ911ターボSに肉薄する実力を示して全世界に受け入れられましたが、レクサスIS350Fスポもポルシェ911カレラSに最も迫っている一台だと思うんですよ。加速&最高速を競う「ターボS」と、NAの誇るフィーリングとハンドリングを楽しむ「カレラS」の二枚看板を掲げる王者ポルシェをどれだけ意識できるか?というのが、現代の「プレミアムGTカー」の価値だと思います。そこにはダウンサイジングターボの入る余地などない!と言い切ったりはしませんが、やはり直4ターボでは辿り着けない領域がまだまだたくさん残されているように思います。

  BMW M235iのオーナーさんも、BMWのスポーツモデルにしてはコーナーでの落ち着きが無い足回りにガッカリするどころか、逆に運転技術を高めてこの足で気持ち良く走ってやる!と気合いが入るくらいの懐が広い人ならば、むしろ良い出会いと言えるのではないでしょうか。セリカ、スプリンター、トレノ、MR-Sといったトヨタの愛すべきスポーティ・カーを所有してきた人ならば、この気持ちは良くわかりますよね。マ◯ダのロ◯◯◯ターみたいな軽量・低重心・足回りガチガチの本気モードのスポーツカーで峠を楽しんでいる人を否定するつもりはないですが、なんだか"ガチ"過ぎて見ていて引いてしまう時があります。そんなに常時グリップ状態じゃないと怖くて走れないの?(危険運転を肯定してはおりません!)

  最近ではフェラーリもランボルギーニも同じ"工業製品"だとばかりに、FFの200万円もしないクルマと同じフィールドでハンドリングを評価したりする無茶な企画をよく雑誌メディアで目にします。そもそも2ドアと4ドアを比較するだけでもナンセンスとかつては言われていたようですが、現代では2シーター・ミッドシップのランボルギーニ・ガヤルドと4ドアF-AWDのVWゴルフGTIを平気で比べちゃうわけです。誰が見てもガヤルドの方が車重も軽くて、低重心で、エンジンが中央でバランスも良いことくらいわかりますし、GTIに勝てる要素なんて一つもないわけです。

  そういうおかしなメディアに毒されてくると、BMWが現行の1~4シリーズで使用している「L7プラットフォーム」を吊るし上げて、これはBMWではない!と言いたげなジャーナリストが・・・。私もまったくお恥ずかしいことですがF20・F30系に関してはかなりの「偏見」を持ってます。当のBMWもさすがにこのシャシーをそのまま使ってM3/M4を作るのは憚られるのか、F30/F32を名乗るはずの製造コード番号がなんとF80(M3)とF82(M4)とベースモデルとは違うものになりました。ここまで改良したのだからもう別のクルマだ!と言いたいようです。しかしそれは同時に「L7プラットフォーム」の性能に何らかの後ろめたさを感じていることの現れに他なりません。

  福野さんや沢村さんの評論を読み倒すと、トヨタや日産がかつてのドイツ車のような高性能シャシーを開発すると、「ドイツの真似」と揶揄され、BMWやメルセデスの下位グレード車がトヨタに倣って乗り心地の良いシャシーを作ると「コストダウン」と言われたりする風潮をつくり出してるのはこの2人か?という気がしないでもないです。価格に見合った高性能を求めるならばレクサスか日産を買えばいいし、シャシーの限界が低くてすぐにテールスライドしてしまうシルビアや、タックインするシビックtypeRやカローラランクスZエアロが懐かしいと思うならば、「M235i」や「M135i」というのはなかなか好感触なんじゃないですかね。そしてお金が余って仕方が無いという人はBMWやメルセデスの「本物(1000万円オーバー)」を買えば良いですね。

  

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2014年7月14日月曜日

トヨタ・新型スープラ 「高級スポーツカーとは一体何?」

  スープラ復活!というニュースがいよいよトヨタからリークされたみたいです。もちろんやる気満々のトヨタをぜひ応援したいですし、BMWとタッグを組むというアイディアもとても良いものですね。スープラを名乗るならとりあえずはBMWが投入した最新の3L直6ツインターボが載ってくるだろうと誰でも想像しそうなところですが、どうやらそういった王道のスペックではなくて、マイルド路線の「変化球」になるようです。

  同時期に発売されるホンダNSXへの対抗モデルという位置づけもあるかもしれませんが、トヨタは幅広い価格帯を設定するためにコストが抑えられる「2Lターボ」と高出力・好燃費を実現した「2.5Lターボ&HV」という新開発エンジンを搭載する見通しだそうです。普段は新型ユニットの開発には慎重な姿勢を見せるトヨタが、「ターボ&HV」を無理やりに仕込んでくるあたりに「イメージ戦略」における神経戦が伺えます。かなり前から3.5LのV6ターボ&HVで登場すると告知されている次期NSXに対して「ターボ&HV」なんてトヨタでも簡単につくれますよ!とばかりにホンダの一人勝ちを防ぐ狙いがあるようです。そして自動車評論家に安易に否定させない為の戦略として「BMW」のクレジットを入れる・・・なんと完璧な戦略!

  トヨタと組むことを決めてからのBMWはやたらと「サスティナビリティ」を連呼するようになった印象です。ドイツでは一般に「環境志向」の意識は高いと言われていますが、旧態依然な自動車業界に関しては、VW、メルセデス、BMWともにまだまだ「方向性」を示した段階に過ぎません。日本の「アホ〜」なクルマ雑誌はやたらと「ドイツは日本の数歩先を行っている」と言いたがります。しかし「環境」に関してはドイツメーカーはまだ「旗」を掲げただけで、それを高いレベルで実践しているのが日本で販売される日本車くらいなのだから、日本の自動車産業の先進性をもっと誇るべきだと思うのですけど、なぜか彼らの合い言葉は「日本はオクレテル」「早くターボ化しろ」・・・です。

  最近では欧州でも高級EVを作る「テスラ」が急速にシェアを拡大しています。VWグループもポルシェ・パナメーラーSをPHV(Eハイブリッド)にして、「環境」イメージの拡大に務めています。ただ欧州メーカーの「環境」戦略は、日本やアメリカと比べて一般ユーザーのコンセンサスを得られていない部分もあるようで、自動車というインフラそのものを否定する動きがドイツでもかなり目立っています。過去10年間で新車販売が4割減というドイツは、10年前とほぼ同水準まで回復した日本と比べると「クルマ離れ」の加速度が大きく違います。これにはやはりトヨタ、ホンダをはじめとした日本メーカーの本気度がクルマの存在意義を変えつつあるからと言ってもいいかもしれません。なぜ自動車評論家は彼らの仕事を残すのに貢献してくれる日本メーカーを叩くのでしょうか?

  自動車雑誌に散々にネガティブキャンペーンを張られながらも、突き進んできた日本の「サスティナビリティ」がいよいよ、自動車雑誌の"本丸"と言えるBMWをも巻き込みつつある中で、自動車評論家のみなさまはどのような態度をとっていくのかが注目されます。直4や直3を突きつけられても「これはBMWではない!」と言えなかったメディアですから、トヨタの思惑通りに「BMWが味付けをするとやはり全然違う!」みたいな茶番を「繰り返す」のでしょうか(トヨタとしては自爆の印象もありますが)。マツダ・アクセラHVの「加速が滑らかさ」への絶賛記事を見て、現行プリウスユーザーは「もうプリウスだってだいぶ進化してるから!」と不快感すらあったかもしれません。

  トヨタの真の狙いは「HVのパイオニア」として、VWグループやホンダに引けをとらない「HVスポーツ」を出して、ライバルよりも確実に注目を集めることでしょう。「ポルシェ918」は一般人にはまったくリアリティがないクルマですし、おそらく新型NSXも同様の路線を取ると思われます。その一方で新型スープラは「手の届く」価格設定に落とし込んで、人気爆発を狙うという現実路線のようです。BMW Z4の路線を踏襲するなら600万円〜の価格設定でまあ「高値の花」ではあります。日産GT-Rを先例として挙げると・・・日産ファンから「ポルシェを本気にさせたGT-Rは別次元!」と大クレームが起こりそうですね。

  この新型スープラ開発を報じていた一般メディアで、「高級スポーツカーの開発に定評があるBMWと・・・」みたいな紹介がされていたのにはやや違和感を感じました。もちろん一般の読者に理解できる表現を使うことが大切なのはわかりますが、10年以上も「名車」と形容できるようなクルマを輩出できずに迷走を続けている現状を考えると「皮肉」にすら受け取れます。そもそもこのブランドは「スポーツカー」という概念を限界まで薄めて、単なるメーカーの「合同公開テスト」と化してしまったドイツの「DTM」という「泥舟」に乗っているだけの「哀愁」すら感じます。スポーツカーとは本来は個性の塊みたいなものですが、DTMもスーパーGTも「レギュレーション」を見るだけでウンザリするんですよね。今のF1を「つまらない」と感じる人も多いですが、ツーリングカーレースはもっと「つまらない」です。

  沢村慎太朗さんに言わせれば、フェラーリ・ベルリネッタも「もはや・・・」らしいですが、それでもフェラーリやポルシェが放つ個性に比べれば、BMWはもはや新興国生産が主体の量販車ブランドでしかないです。このブランドが今でも日本人の頭の中ではスポーツカーのアイコンになっているのか?と誤解されかねない記事を平気で大手メディアが発信することで、「日本人は全く本質がわかってない」とバカにされるんでしょうね。


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2014年7月7日月曜日

レクサスNX 「安さ爆発!の北米価格なのに・・・」

  まだ公式サイトには掲載すらされていないのですが、レクサスNXは北米でも発売される見込みで、アメリカ誌によると3万米ドル〜という価格設定になるようです。アメリカ価格で3万ドル〜というのは、プレミアムブランドの一つの基準で、主に最底辺に位置するモデルの価格帯で、3シリーズ、A4、Cクラス、レクサスISなどがこのクラスに該当します。これらのモデルは日本価格も本体450万円ほどで横並びに設定されています。「日本価格は50%増し」がこれら4ブランドでは常識みたいです。

  ちなみに日本の自動車ファンから「売国企業」と反感を買っている日産のスカイラインですが、日本で発売されているHVモデルの北米価格が4万5000米ドル〜となっていて、実は日本価格とほぼ同じというとても良心的な価格設定です。そしてレクサスNXの予想北米価格とほぼ同じ3万ドルで売られている日産ムラーノは日本でも300万円から設定されています。それに比べると、やはりレクサスISとレクサスNXの日本価格は高いと感じてしまいます。

  トーマス=フリードマンがかつてレクサスをグローバリゼーションの「象徴」として挙げた時は、正直言ってピンときませんでした。当時はアメリカで売られているレクサスがセルシオ、アリスト、アルテッツァ、ウィンダムとして妥当な価格で日本で売られていただけでしたから・・・。それが現在では何となく理解できるようになりました。確かにレクサスはアメリカだけでなく日本でもメルセデスやBMWと肩を並べるほどの「メジャー」ブランドになりました。

  フリードマンは確かNBAの選手を例に挙げてグローバリゼーションを説明していましたが、「シカゴブルズが全盛の時代にはNBA全選手の約半数が「最低年俸」の約2500万円だったのに、マイケル=ジョーダンといった一部のスター選手はCMなどの収入を合わせると50億円くらい稼いでいる。バスケットボールの実力はそれほど大きくは変わらないチームメート同士なのに、なぜそんなに格差が広がるのか?」このことを説明できるのが「グローバリゼーション」というわけです。その詳しい説明は省きますが、つまりは「メジャー」かどうか?がそのものの「価値」に大きな影響を与えるということです。レクサスと日産(インフィニティ)の日本における「格差」にもほぼ同じような説明が当てはめられそうです。

  それでもこのレクサスNXが「メジャー」にあぐらをかいた権化か?というとそうではない面もありまして、メルセデスやBMWといった他の「メジャー」と比較する中ではいくらか謙虚な存在になっているようです。プレミアムSUVを開拓したBMWのラインナップと単純に比較すると、「X3と同じ内容でX1の価格で済む」というプレミアムSUVのバリューを刷新しようとする狙いを秘めた1台です。簡単に言うとメジャーの中での「価格破壊」を意図しているようですが、同じようなクルマは他にも出て来ています。レクサスNXだけでなくメルセデスGLAも同じようにリーズナブルなプレミアムSUV市場を切り開こうとしています。

  これまでトヨタRAV4やホンダCR-Vといった2万ドル程度のSUVが売れる一方で、SUV界の"マイケルジョーダン"になったX3は4万ドルで販売されていました。しかしご存知の通り、年俸問題で選手会のストライキが発生するなどして、NBAの世界的な注目度は急激に落ち込みかつてのような輝きを今では世界に発信することはなくなりました(バブルが完全に弾けました)。NBAに代わって英国プレミアリーグ(サッカー)が巨大スポーツ産業として台頭してきたようですが、例えば人気チームのマンチェスターUのスタメンの年俸は1億〜20億円程度の開きはあるものの、かつてのシカゴブルスほどは格差は無くなっているように思います。NBAのストなどを経て行き過ぎた格差が是正され適正なレベルに抑えることを目指して、あらゆるプロスポーツでここ10年の間に議論されてきた結果と言えますが、それと同じことがプレミアム車の購入価格にも反映されつつあるのかもしれません。

  「価格」の問題とは別に、市場からSUVに求められるものも年々大きく変化してきました。かつてはエクゼクティブの間で大ブームを巻き起こしたプレミアムSUVですが、ハマーの破綻以降流れがだいぶ変化してきました。2001年9月11日以降のテロ対策意識の高まりから大ヒットしたのが、2002年に発売されたハマーH2で、軍用車両を転用した趣味のクルマH1とは違い、GMで最大の販売を誇るピックアップトラックにキャビンを載せたSUVは営業利益を押し上げるとともに日本でもよく知られる存在になりました。しかしリーマンショックの煽りを受けてGMの経営が傾き、不採算部門に転落したハマーは2010年に廃止されました。

  トラックにキャビンを載せた初期のSUVは豪快で男性的なクルマと考えられていました。トヨタのハイラックスサーフなど多くの車種がトラックと車台を共有し、プレミアムSUVとして登場したBMW X5は当時傘下に置いていたランドローバーのSUV専用設計を使い、ポルシェ・カイエンもVWグループの共通SUVシャシーを使って作られました。しかしここ数年に新たに追加され流行の兆しを見せている小型SUV/クロスオーバーモデルに関しては、普通乗用車用のプラットフォームを使って生産効率を上げるケースが増えています。そしてそれらのモデルの多くは運転のしやすさや居住性の良さを主に女性ユーザー向けにアピールして人気になっているようです。

  これらの新型SUVは主に車格に応じて3タイプに分けることができます。一番小型のものが「BセグベースSUV」でホンダ・ヴェゼル、日産ジューク、VWクロスポロ、ルノーキャプチャー、プジョー2008などの小型SUVが属します。そのワンランク上が「CセグベースSUV」でレンジローバーイヴォーグ、スバルフォレスター、メルセデスGLA、トヨタハリアー、レクサスNX、日産エクストレイルが入ります。そしてその上のクラスが「C/DセグベースSUV」でBMW  X1/X3とマツダCX5で、「BMWL2/L7シャシー」及び「マツダスカイアクティブシャシー」という高速対応型のシャシー(3シリーズ、アテンザと同じ)を使っています。ただし次期X1はFF化されBMWミニと共通の「BセグベースSUV」になる模様です。ちなみにポルシェ・マカンはVW・B8という「D/Eセグ」相当のシャシーを使っています(アウディA4/A6などと同じ)。

  マカンはともかく、この3タイプのシャシー分けで小型SUVの特徴がある程度はわかります。「Bセグ」は「コンパクトでオシャレ」というコンセプトと突き進むものが多く、「Cセグ」は「余裕と本物感」を前面に押し出す設計が多く、「C/Dセグ」は内外装の作り込みよりも、基本設計の高さを生かして「走り」で勝負するタイプが多いです。レクサスNXは所属する「CセグベースSUV」の中ではまずまずのパッケージを誇っています。またレクサスの内装ならばクラスでも最上位を狙える作り込みになることが予想されます。もちろんベースはトヨタ・ハリアーと同じものですが、価格差を埋めるだけの何かを必ず盛り込んでくるでしょう。この件に関して島下泰久というジャーナリストがちょっと前に興味深いことをコラムで語っておられましたが・・・。


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2014年7月1日火曜日

BMWミニ・ミニクーパーS 「"小さな高級車"計画爆走中」

  どこのディーラーに行っても、最高に「スポーティ」なのはBセグと言われたりします。ネッツトヨタ多摩に行けば「86もいいですけどヴィッツRSもかなりのものですよ!」と言うし、日産プリンス西東京に行けば「スカイラインもいいですけど、マーチNISMOも楽しめます!」と言うし、関東マツダに行けば「アクセラXDよりもデミオスポルトの方が楽しいかも!」と言ってます。ホンダカーズ東京中央は「シビックtypeRよりもフィットRS!」とは言わないみたいですが・・・。

  ホンダはともかくそんなに挙ってオススメするなら、もっと「欲しい!」と思わせるBセグスポーツ作ってくれと言いたいですね。「G's」や「NISMO」って名乗ればいいってもんじゃないです。大変失礼ですが、MCした新しいヴィッツRS-G'sのデザインはなんだか寒イボが出てきそうな違和感がありありです。ただしこのクラスで納得できるモデルが出て来たならば、軽自動車買おうとしている知り合いに片っ端から全力でオススメしてあげたいと思います。アテンザやスカイラインはいくらいいクルマだからといっても、サイズや価格などいろいろ制約がありますから、そんなに安易にオススメできないですけど、Bセグならば母親や親戚のオバさんの買い換え時にいくらでも話できますし。しかし現行モデルでは残念ながら、デミオ、スイフト、フィットでもあまり気が進まないレベルです。なんだかんだでカローラHVがベストかな・・・。

  そんな日本車勢を尻目に、約3.8mの小型ボディに、BMW320iの直4ターボを横置きにしたエンジンを搭載するという「王道ハッチバック」をやってくれていたのが先代の「ミニクーパーS」でした。ゴルフGTIよりもかなり軽量でかつ価格も安く、ポロGTIよりもパワルフな設計で「相対評価」が大好きな日本のオッサン達の間でもそこそこ人気です。休日にショッピングモールでも行けば、同じ区画に2台3台と「cooper S」のロゴを見かけることも珍しくないです。確かに「クーパー」と「クーパーS」の性能差がかなり大きいです。300万円をちょっとの価格なのに、450万円くらいする320iと同じエンジンという「クーパーS」の方がお得感すらありました。

  ただしこの2代目ミニはマルチリンクを装備しているにも関わらず、乗り心地がやや固くてお世辞にも良くはなかったのが残念でした。やはりホイールベースが短いクルマは足を固めると跳ねてしまいます。クルマのキャラとして全てが受け止められるならばいいのでしょうが、あまりにもターゲットが狭いクルマだなという印象で、とても失礼極まりないことですが、日本の小金持ちのオッサン達が、英国の労働階級のクルマとしての歴史を持つクルマを、高級車と勘違いしてるのか?有り難がって乗っている様はみっともないとすら思いました。これまでブログでは頑として取り上げなかったのは、そういう人々への「軽蔑の念」があったからというのもありました。

  しかしわずか数年ですが時代は流れ、何だかミニを取り巻く環境もだいぶ変わってきたように感じます。いまやVW・ポロもプジョー・208もルノー・ルーテシアも日本車のように「ストローク」をドライバーに感じさせて、乗り心地よくする方向に味付けをするようになり、「プジョーに猫足が戻った!」とか、「フォード・フィエスタはメルセデスEクラスより乗り心地が良い」みたいなことをプロのライターのみなさんが言っておられます。沢村さんの解説によると柔らかいサスを使ってバンプストップを多めにして底付きのショックも軽減して・・・といった仕組みみたいです。車幅が限られていてさらに車重も軽くなっていて、それほどスペースが無くてストローク量も確保できない小型車でも柔らかいバネ(新素材?)を使っても大丈夫になっているみたいです。さらに最近のクルマは歩行者保護の為にボンネットが高いですし・・・。

  それでも3代目になったミニはまたまた頑固なまでに固いアシなんだそうです。BMWって一体何なんだ?1・3シリーズでもフニャフニャのアシを使い始めたので、てっきりミニもそうなるのかと思いきや、なんとまさかの「逆張り」! でも・・・これは個人的にとても好感が持てます。「Bセグはスポーティを追求した先に価値が生まれる」という「正義の自動車メーカー」だけが掲げる理念を、BMWも見失うことなくしっかり踏襲していたわけです。安易に「ストローク」に逃げれば、小型車のハンドリングはどんどんシャープさを失い、その果てに沢村さんにボロクソに言われるプジョー208のような「アクセルオンで左に曲る」鈍臭いクルマが出来上がります。マツダ、スズキ、BMWはそれを良しとしないようです。

  日本には欧州で1、2を争うハンドリング・マシンである「スイフト」と「デミオ」があって150万円で世界最上級のBセグが買えます。VWポロはまだしもプジョー208のような不完全なクルマを、洗練された日本市場で売るなんて、完全に情報弱者を喰いものにする「ブランド詐欺」とみたいなものですし、208なんて199万円でも高いくらいです・・・。日本のユーザーが納得できる輸入車Bセグの姿とは、やはり小手先のギミックではなく、「乗って楽しい!」と感じさせるクルマの本質を磨いて、「スイフト」「デミオ」の二枚看板を正攻法で突破してくるくらいの気迫が備わっているか?じゃないですかね。

  さて「ハンドリングを妥協させない」ポリシーを貫いたBMWミニの秘策はというと、全長・全幅とも拡大してBセグのライバルを差し置いての「5ナンバー枠からの離脱」でした。この設計変更は居住性の向上とともに、従来のBセグ全体の弱点と言える「安っぽい乗り味」から一人だけ脱却するのに成功したようです。全幅を拡大すれば、結果的にクラス随一の安定感となりますが、それがそのまま「なかなかな高級な乗り味」につながっているみたいです。もともとBMWミニは「スイフト」や「デミオ」のようなキレキレのハンドリングというわけではなく、アンダーを抑えたニュートラルでリニアなBMW的ハンドリングが持ち味なので、これにさらに「重厚感」が加われば、それは多くの人に「高級感」と感じるはずです。

  マツダのスカイアクティブ車は従来のキレキレから「重厚感」へ特性を変えてきていますが、乗ってみると「アクセル・シフト・ハンドル」から伝わるトータルのダイレクト感が、これまでのマツダ車とはまた違う「感動」で不思議とキレキレよりも高級感を感じます。キレキレではないんですけど、緩い感じとはまた違うドライビングフィールの奥深さがある!といったところでしょうか。ハンドルもアクセルもだいぶ緩い、実家のプレミオからは贅肉感しか感じないんですが・・・。BMWミニからマツダの話に急に変わってしまいましたが、この「3代目ミニ」と「新型デミオ」が今後進むであろう「Bセグ車の高級化」というパラダイムを一気に加速させるのではないかという予感がします。

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2014年6月23日月曜日

ダイハツ・コペン 「ホンダS660なんて全く眼中にない!?」

  かつてはいろいろなメーカーから「軽オープン」が発売されていたようですが、現在では全メーカーから揃ってラインナップ落ちしていて、新車で買いたくても買えない状態が続いていましたがいよいよ先陣を切ってダイハツから「コペン」が発売されました。注目の新デザインは、昨年の東京MSで公開されたプロトモデルよりも、全体的に仰々しくて手数をかけているのがわかる印象のものになりました。特にヘッドライトやフォグランプ、グリルなどのフロントデザインの各部が複雑に絡み合っていて、ダイハツの「妥協はなし!」という決意が伝わってきます。東京MSではパネル取り替えパフォーマンスがとても盛況だったのですが、肝心のデザインがややパンチ不足かなという印象があったので、これはこれで良い方向なのではないかと思います。

  最初から「少量生産です!」と言い切ってしまっているダイハツの意図はちょっとよくわかりませんが、「たくさん出回らないので安心して買ってください!」といったところでしょうか。本体価格180万円はあくまで「オープンモデル」というのが前提であり、「オープンにこだわらない」ならば車格を考えるとなかなかシビアな価格設定なので必ずしも安いとは言い切れないです。そもそもルーフをほとんど開けないけどコペンを買うという人は、クルマの選択において重大な瑕疵(勘違い)があるのかもしれませんが、実際に街でみかけるコペンのルーフが開いているケースってとても少ないです。もしダイハツに死角があるとすれば価格設定でしょうか?

  軽自動車規格は全幅×全長が「1480×3400mm」に制限されていて、ほとんどの軽自動車が規格目一杯に設計されています。一方で普通車はというとグローバル化の流れから、どんどん巨大化していて、初代コペンが発売された2002年には、5ナンバーだった9代目ファミリア(全幅1695mm)が、今では3代目アクセラとなって、全幅1800mmまで拡大しています。確かに軽自動車の比率は目に見えて上がってきましたが、コペンのようなスペシャルティカーはワイド&ローのトレンドへと突き進んでいます。そんなクルマに軽規格で対抗するためのデザイン上の工夫も見られます。「下膨れ」になっているグリルはデザインの視点を低いところへと誘導し、不思議とトレッド幅が広そうに見えます。

  また両サイドに縦に長い車幅灯を採用したことで、新型キャデラックCTSなども同様の効果を狙ったデザインなのかもしれませんが、中央よりも両サイドを強調したデザインを構築していて、「ワイド&ロー」の視覚効果を生んでいます。ただしフェイスのデザインでワイドを強調してしまったのがやや仇となってしまっていて、サイドシルエットを見るとやはり違和感のある短いホイールベースのインパクトで、急に「やっぱりKカーなんだな・・・」という現実に連れ戻されちゃうかもしれません。この辺はクルマのキャラクターとして前向きに考えるべきでしょうけど。

  新型コペンの一番のこだわりはやはり「グレード設定」で、「ローブ」という通常グレードが発売され、秋頃に「Xモデル」というDIY派が注目する外板を交換できる「着せ替えモデル」が追加されます。外板が簡単に交換できるということは、5年10年と経ってくたびれてきた塗装を、新車同様のピカピカのものに出来るということですから、クルマをキレイに保つことが好きな人にとってはこの上ない長所だと思います。これまで1回目か2回目の車検で乗り換えるという人が多く、クルマ選びでも常に「リセール」が前提だったりした日本のクルマを巡る商習慣を大きく変えるきっかけになるクルマかもしれません(より一層クルマが売れなくなるかもしれませんが)。

  さらに来年には、「ローブ」にボディデザインの違うタイプが追加されるという発表も行われました。今回発売される「ローブ」や秋に出る「Xモデル」のフロントマスクは主張が強いデザインで、これは案外と女性にウケるのではないか?という気もするのですが、来年発売されるモデルは、先代のヒットにもつながったヘッドライトが丸目の「穏やか」なデザインになるようです。さらにダイハツが「上手い!」のが、3モデルの発売をずらすことで、一過性の人気に終わらせないというだけでなく、今回発売された「ローブ」は来年発売される丸目のモデルへと外板を貼り替えることができる!ということです。つまり「Xモデル」だけでなく「ローブ」のお客も外板が痛んできたら、交換するだけで簡単に「新車同様」の見た目になりますし、しかもヘッドライトの形状から全く違う「別のデザイン」へ変えることで、「新型に乗り換える」気分が味わえるわけです。

  当初「着せ替え」と聞いて、スマホじゃないんだぞ!と反発を感じた自動車ファンもいたでしょうが、いまさらですが「これはスゴいことだ!」と声を大にして、いろいろな人に勧めてあげたいクルマじゃないかと思います。アルファロメオ4C(そしてこのコペン)のように全身をCFRPで固めたスポーツカーは、今後はもっともっと増えていくと思いますが、このコペンもその恩恵もあってか電動ハードトップを備えていながら、総重量はホンダのN-ONEとほとんど変わらない850kgに収まっています。スポーツカーで見ればスズキのエンジンを積んだケータハム160は車重500kgで、日本の軽自動車の「自主規制」を無視して80psまでエンジンパワーを上げていまので、スポーティという意味では特に「ストイックさ」は発揮されていないのですけど、このケータハム160と並んで「軽自動車」の枠組みをどんどんと変えて行きそうな可能性を、この「コペン」には感じます。ダイハツは素晴らしいです!

  

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2014年6月16日月曜日

スバル・WRX STI「スバルはもっと自信と狡さを持てばいいのだが・・・」

  もし新型WRX STIが日本で発売されなかったら? 熱心なファンにとっては悲劇以外の何者でもないでしょう、好きなクルマが消滅したときの喪失感は結構尾を引きます。最近ではRX-8が心残りでした。ランエボも間もなく生産が終了するようで、一時代が終わった寂しさがあります。WRX STIにしてもこの2台と同じくらいにクルマ好きを悲しませるでしょう。マツダも三菱も撤退理由は、スポーツカーに注力できるだけの企業体力が無いというものでしたが、誰の目にもかつては華やかだった「日本の小型スポーツカー」というジャンルそのものが「賞味期限切れ」を起こしているのは明らかだと思います(トヨタさんはなんとか支えようとしていますが)。

  そんな岐路に立たされているモデルの1つが、このスバル「WRX STI」なわけですが、マツダや三菱と違いスバルは高らかにモデル存続を打ち出しました。まあその覚悟というか姿勢だけでも、クルマ好きとしては十分に賞賛に値するわけですが、やはり売るからには広く知られたモデルになって一定の成功を収めてほしいですし、やはり「解る人にだけ解る」みたいな姿勢だけではダメなんじゃないの?という気がするわけです。やはり所有していて誇らしい気分になるか?というハードルを超えられるかが、新型スポーツカーが成功するための唯一のポイントですから、隣りにAMGとかエンブレムが付いたクルマが来ても、「耐えられるか?」が全てといっていいかもしれません。

  もしスバルがその点をしっかり考えて、新型スポーツモデルを選定しているとしたら、一番簡単なのは新型レガシィをベースにした高性能スポーツモデルを作ることでしょうか。500万円以下で350psくらい出るようなら・・・そんなに甘くはないとは思いますが、目新しさとスバルのブランドイメージからかなりの売上が見込めそうな気がします。古くからのスバルファン(スバリスト?)は、「そんなものはスポーツカーではない!」と反発するかもしれないですが、BMW M3が北米価格並みの500万円で販売されれば「迷わず買う!」という人は相当に多いでしょうし、M3じゃなくて306psの直6ターボを積んだ335iセダンが500万円だったとしても「大ヒット」間違いないです。レガシィならばその需要を上手く取込むことができると思います。

  さてインプレッサがベースで、レヴォーグと共通で開発が行われた新型「WRX STI」ですが、スバルにとって最大の難関と言われているのが、ブランドのトレードマークにすらなってしまった「アイサイト」だそうです。レヴォーグにも当然ながらアイサイトは設定されているわけですが、これによって「WRX STI」の生命線といえるサスやブレーキに広く及ぶ「チューンナップ」に大きな制約ができてしまい、「アイサイト」のあり・なしでクルマのポテンシャルに小さくない幅ができてしまうようです。さらに新型エンジン「FA20DIT」の投入でさらに出力アップをすることが既定路線だったようですが、保証ができる範囲にパフォーマンスがまとめられないという深刻な事態もあるようで、すでに北米モデルについては先代の「EJ20」のまま発売されました。

  従来のエンジンのままでは、日本市場では極めて厳しいという意見がスバリストからも挙がっているようで、レヴォーグと同じFA20DITのチューンアップ版を、メルセデスやアウディに対抗した400psオーバーにしたものを出さないと意味がない!という厳しい意見も・・・。とにかく作る側も待つ側も考える方向性が同じ?というのには関心させられます。たとえばマツダのロードスターなどは「じゃあ次はこういうのにしてみるか?」みたいな何の制約も無い中で作られていて、待つ側もどんなクルマだったとしても、ある程度は受け入れてしまう懐の深さがあるような気がします。しかしスバルはとにかく「最強」という言葉が似合うモデルが望まれてしまうところが辛いですね。

  小型高性能スポーツというジャンルが、そもそもマツダも三菱も逃げ出すほどの「無理ゲー」になっているわけです。国産メーカーに限らず、あのポルシェだって1000万円以上するスポーツカーを売るのが厳しくなってきています。911に復活した「タルガ」に大きな期待が寄せられているようですが・・・。BMWだって一生懸命に2シリーズのプロモーションを繰り広げているわけですが、一段落して目新しさがなくなった時には、もはやコンバーティブルでゴリ押しするしか生き残る道はないでしょう。じゃあWRX STIはどうするか?車高も下げられず、屋根も開けられず・・・残された道はクロスオーバー・スポーツくらいなのかもしれません。今後も「アイサイトのスバル」ではなく「スポーツカーのスバル」を貫くのであれば、「XV STI」みたいな派生モデルを用意して、GLA45AMGから「さや抜き」するくらいのしたたかさがあってもいいのかなという気がします。


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2014年6月9日月曜日

プジョー308 「欧州COTY・スタイルは没個性・だけど・・・」

  「プジョー308」と車名は先代と同じままなのですが、完全なるFMCでプラットフォームもPSA版の「MQB」として話題になっている「EMP2」というPSAのほぼ全車をカバーする新開発のものになりました。「MQB」をさらに上回る140kgの軽量化と報じられているが、先代の1370kgが今回は1090kgという「公称値」を見るとあれ?140kgどころじゃない?気がするのですが・・・。これにはカラクリがあって、日本仕様は1.6Lターボエンジンのみの設定で1370kgですが、今回は1.2Lターボしかも3気筒になってエンジンの軽量化もさらにすすんでいます。さらに日本仕様には快適装備のための電装系が追加されてもっと重くなるので、最終的には1230kgくらいになるのかもしれません。

  ちなみに「日本版」VWゴルフの1.2Lターボは最廉価グレード・トレンドラインで1240kgですから、ほぼ同じくらいの水準に落ち着くことになりそうです。これじゃつまらん!と思ってしまいますが、プジョーが仕掛けてきているのは、どうやらエンジンのようです。カタログ数値をみれば一目瞭然なのですが、最大馬力/最大トルクがVWの1.2Lターボと同じ排気量とは思えないほどパワフルです。VWが105ps/175Nmですが、プジョー(PSA)のものは130ps/230Nmとなっています。しかも燃費がゴルフ1.2Lターボが21.0kg/Lなのに対し308は21.7kg/Lとまあ「後だしジャンケン」のメリットをしっかりと生かしています。

  この数値を見て「プジョー圧勝!」と喝采したいファンの人も少なくないと思います。馬力差をみると、ちょうど日本におけるトヨタの1.5Lエンジンに対して、パワフルで評価が高いホンダやマツダの1.5Lエンジンのようなポジションを占めているといってもいいかもしれません。もちろんトヨタやVWも境最大規模の量産メーカーとして、一定の品質やコストにおける基準に基づいて生産が行われているので、単純にパフォーマンスだけで比べられるものではないですが、トヨターホンダ・マツダの力関係の欧州版といってもいいかもしれません。

  プジョーは「欧州のホンダ」ということになるわけですが、ホンダがトヨタに対して仕掛ける切り口が、そのままプジョーによるVWへの攻勢のポイントになっている類似点としては、「スペック優先主義」が挙げられるでしょうか。ただしホンダユーザーはともかく、フィットによるヴィッツやカローラに対しての「スペック上の優越性」は、トヨタによるHV戦略という厚い壁に阻まれて、一般レベルではほとんど認知されていないのが現状です。去年鳴りもの入りで投入された新型フィットもリコール騒動が収まらず、ホンダが自ら仕掛ける軽自動車の攻勢に対して、普通車シェア回復の起爆剤には成り切れなかった感があります。

  「高温多湿」「ストップ&ゴー地獄」で過酷な使用環境として知られる日本。最近は徐々に下がってはいるものの、「90%」という他国では例を見ない高い国産比率の一因は、この環境だと言ってもいいでしょう。「輸入車に乗るヤツはアホ」みたいな意見が当たり前のように語られ、「どうせ私は馬鹿ですから!」と居直るくらいの度胸が無ければ、輸入車オーナーなんてとても務まりません。しかし最近ではホンダもマツダも普通車はほとんどがグローバル車ですから、「ホンダ(マツダ)に乗るヤツはアホ」と言われる時代がいつやってくるともわかりません。もちろん両社には日本で長年クルマを作ってきたノウハウがあるので、かなりの部分でリスクはヘッジできるでしょうが・・・。

  トヨタやVWが控えめなスペックでクルマを設計する理由は、おそらく1000万台メーカーとしてのリスク管理が何よりも優先されるからです。必要以上に馬力を出せばエンジンはそれだけ脆弱になるし、燃費を伸ばし過ぎても同じことが言えます。そして何より新設計エンジンの投入には二の足を踏みます。ヤマハに作らせたり、フォードの人員を引っ張ってきてその模倣を行うといった手法が「石橋を叩いて渡る」という社是につながります。ホンダやマツダといった中堅が、この2大メーカーグループを出しぬこうとするとどうなるか? ホンダがトヨタやVWに見せつけるように導入した、「HVのモータートルクでDCTを滑らかに動かして、MTと同じ伝達効率でCVTを上回るという」アイディアには思わぬ落とし穴があったわけです。しかし中堅はリスクを取らなければ未来は・・・ということです。

  ちょっと横道それましたが、いまや中堅の上位にまでシェアを下げてしまったPSAにとってもリスクはヘッジすべきか取るべきかの舵取りが難しくなっています。そしてこの新型の「308」もその両方の要素が入ったPSAの苦悩が伝わってくるクルマに仕上がっています。2014年の欧州COTYを圧勝と言える得点差で受賞したことからも、「欧州ブランドの期待の星」として、フォードに圧迫されつつある欧州主要市場で弱体化が指摘されるVWに変わる役割を求められているのがわかります。全世界注目のライバル車・アクセラ、そしてシュコダ版「ゴルフ」であるオクタビアに大差を付けたという事実は、このクルマがただの新型車ではないことが伺えます。

  このクルマのポイントは、簡単に言ってしまえば1.2Lターボという効率重視でトヨタやVWよりも踏み込んだ設計でリスクを取ったエンジンを採用しつつ、仮想ライバルであるVWグループのゴルフ・オクタビア・A3が欧州メーカー製DCTを使うところで、日本のアイシンAW製の6速ATを標準で持ち込んでいることです。フェラーリ、ポルシェ、GT-R、ランエボで高性能DCTが相次いで採用されたことで、DCTのイメージは2007年頃に大幅に良くなりましたが、変速ショックが大きいために小排気量エンジンでは耐久性に問題が出るという指摘があります。また20年前に日本やアメリカで急速にトルコン式ATが普及した理由もトルクコンバーターがエンジンへのショックを最大限にいたわってくれるという、隠れたメリットが大きいと言われています。

  1.6Lから1.2Lへのさらなるダウンサイジングを果たし、そこにVWとは違うトルコンATを乗せたことは大きな意味があるように思います。欧州の道路環境も都市周辺部では日本と同じで「ストップ&ゴー」とまではいかないほどに「低速区間」が増えたことで、DCTよりもトルコンAT・CVTの優越性がはっきりしていて、そのトレンドを踏み外したVWが伸び悩み、そこを改善したPSAが復権していくのでは?という予感があります。そのためにも「復活の旗印」となるヒット車が必要になるでしょうが、この新型「308」が担っていくかもしれません。

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2014年6月3日火曜日

メルセデスCクラス 「ドイツ版レクサスという衝撃!」

  レクサスRC-Fが公開されたというネットの記事に、5年くらい前からタイムスリップしてきたようなコメントばかりが殺到していました。もはやレクサスがドイツ・プレミアムブランドの下風に立たされる時代はGSとISの相次ぐFMCによってとうとう終わりを告げたというのに、yahooニュースに反応する一般人の認識はまだまだ改まってはいないようです。結果論と言われるかもしれませんが、レクサスがクルマ作りにおいてメルセデス・BMW・アウディといったドイツブランドを追い越すのは必然の成り行きだったと思います。

  レクサスはトヨタグループの「最上級」ブランドとして設立され、年間1000万台を販売するようになったトヨタの「最上級の顧客」のニーズを十分に満たせるようにクルマが開発されています。一方でメルセデス・BMW・アウディのいわゆる「御三家」の立ち位置はレクサスとは根本的に違います。これらのブランドの同じグループにはさらに上位のマイバッハ・ロールスロイス・ベントレーといったブランドが存在します。よってメルセデス・BMW・アウディには「レクサスLS」のような最上級のクルマを作らなきゃいけない必然性が乏しいのです。グループの顧客の最上位層は上位に位置する同グループのブランドが対応します。よってクルマの品質はレクサスよりも低いところに収まる傾向がここ近年では顕著になってきました。

  メルセデスは短期間で北米におけるレクサスの成功を許した反省から、いよいよブランドの再編へと動きだし、上位のマイバッハを廃止し、メルセデスが最上位の顧客をも担当するという意味で「レクサスに近い」ブランドへと生まれ変わりました。新しいメルセデスの戦略を検証すると、多くの点でレクサスの戦略との類似点が見られます。ポイントを簡単に言うと、「スモールカー」による入門グレードの設置と、ブランドの骨格を成す「基幹3モデル」への開発資源の集中が挙げられます。

  レクサスのグローバルでのヒット車として挙げられるのが、HV専用モデルの「CT」です。敷居の高いレクサスのすそ野を広げる廉価グレードで、日本でも「小さな高級車」として、プリウスと同じユニットを使うクルマながら予想外の健闘をしています。メルセデスも以前から「スマート」という三菱からのOEMを使ったモデルがありましたが、ブランド好きの日本でもさすがに普及せず、全世界的にも「空振り」に終わりました。旧型のAクラス・Bクラスにしてもブランド内での立ち位置は極めて不明確で、上位グレードとの関連性を感じることができず、「すそ野」として十分に機能できなかった点を見直し、新たに「A」「CLA」「GLA」の3台を追加して「CT」と同じ役割を期待するようです。

  入門モデルの拡充とともに「基幹3車種」の競争力を上げるという取り組みもまたレクサスの戦略をそのまま辿っているかのようです。レクサスは「LS」「GS」「IS」の3車種にブランド全体車種の開発資源の多く(8割?)を集中させ、この3車種に関しては同クラスのライバル車に絶対に負けないという目標を設定し、当初から評判が高かった「LS」に加え、「GS」「IS」に関しても新型プラットフォームを投入して、それぞれクラス・ナンバー1をもぎとりました。乗り心地・静粛性といった従来トヨタが強かった「NVH」への対応に加え、ハンドリングでBMWを、直進安定性でメルセデスをそれぞれ「超えた」ところまで持ってきたことには驚かされました。

  メルセデスもレクサスを追従して、去年「Sクラス」を全面刷新して、マイバッハの顧客にも受け入れられる水準まで、様々な面での改良が行われました。さすがはメルセデスというべきか、1回のFMCで文句無くマセラティやベントレーといった高級ブランドを脅かすポテンシャルを持つモデルを作り上げてきました。そして今回は「Cクラス」の改良が行われたわけですが、コンセプトはとてもわかりやすく、ずばり「Sクラス」の質感をそのまま「Cクラス」のサイズにまとめること!で、すでに海外試乗レビューも出回っていますが、現行のEクラスやCLSクラスを完全に超える「乗り心地」になっていると言われています。

  これまでメルセデスでは「Sクラス」と「CLクラス」のみで使われていた、前後輪に「マルチリンク」を配した足回りをそのまま「Cクラス」へと移植し、さらにオプションでエアサスまで装備してしまうという「クラス随一」にとことんこだわった設計です。これだけでもメルセデスの哲学がここ20年のものから大きく変化していることが解ります。設計上はレクサスLSと同等の足回りを履いた「Cクラス」ということになります。ここまで大胆な設計をすれば、高品質を理由にレクサスに引き寄せられていたユーザーを再びメルセデスへと振り向かせることも可能でしょう。さらにインテリアも新型「Sクラス」に準じたものへ変更になり、割と古典的だった従来のメルセデスの内装からは大きな進化(変化)です。近年では内装の質感の高さで独走していたレクサスに「待った」をかけるという意図が十分に見られます。

  もちろん次期Eクラスにもこの「レクサス戦略」は適用される見通しで、なんと次期モデルでは直6エンジンの復活が示唆されています。また同時にレクサスの世界観をもブランド内に取込んでしまおうということで、「S」と同様に「E」「C」でもいずれはハイブリッド(PHV)搭載ユニットが主力になる見通しのようで、すでに「Cクラス」ではPHVの試作車が完成していて、公道テストを行っている模様です。

  なんだか全体的に「レクサス視線」での意見になってしまいましたが、「メルセデスの復活」はクルマ好きにとってはやはり喜ばしいことですし、「坂の上の雲」じゃないですけど、トヨタがドイツブランドの背中を追いかけて始めたレクサス事業が北米で始まって20年以上が経過し、それだけの年数を存続していくだけでも大変なのに、着実に進化を遂げてました。そしていよいよ「大きな岩を動かす」瞬間が訪れているようです。これまでのトヨタグループの地に足が着いた着実な歩みに、人生の教訓を感じる次第です。トヨタグループとメルセデスの今後のより一層の活躍を期待したいと思います。
  

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2014年5月28日水曜日

日産スカイライン 「2L直4ターボ発売・・・」

  「本当に発売するとは・・・」なんて今さら驚いているわけではないですけど、やはり日本メーカーのプライドとして、このクラスのクルマにターボを付けるのはやめてほしかった・・・。日本には欧州ブランドの階級主義なんていらないですし、「上」と「下」で全く意味合いが違うエンジンを使い分けてユーザーを「差別」するなんていう文化を日本メーカーが率先して持ち込むことに違和感を感じます。まあ日産だけが悪いのではなく、スバルのレヴォーグも基本的には同じ考え方みたいですが・・・。

  BMWもメルセデスもジャガーもベースグレードでは直4ターボが定番になっています。日本価格だとこれでも平気で400万円を超えてくるのですが、ハッキリ言ってそれほどの価値は絶対に無いと思います。どうしてもBMWやメルセデスに乗りたいという人には満足かもしれませんが、車重1600kgを超えるボディというだけでも、これらのクルマには直4エンジンで走らせるだけの能力が決定的に欠如しています。さらにパワーシート、電動ステアリング、電制ダンパー、後席用の快適装備などに多くの電気を使いますから、エンジンが小型になればなるほど設計上に無理が生じてきます。

  新型スカイラインは世界初の技術を含め、さまざまな電制デバイスを積み込み大排気量エンジンを想定して設計がされました。しかし急遽、廉価版の2Lターボを積み込むことになり、深刻な電気不足に陥ることからステア・バイ・ワイアなどの新機能はかなりの割合でキャンセルされています。スカイラインHVの一つの売りであったクルマオタクが悶絶する「96通り」の運転モードなどもおそらく何事も無かったかのように消え去っているはずです。

  ただしステア・バイ・ワイアのフィーリングにしても、運転モードの多さにしても、専門家筋からもそれなりに異論が上がっていて、さらに一般ユーザーからしてみたら「かなりどうでもいい」という意見も多そうなので、廉価ターボ版を販売する意義というのは小さくなさそうです。また日産にしても、日本市場限定でしかもフーガ以外の他車では使わなくなりつつある「2.5LのV6」エンジンを置き換えたいという意図もあるでしょう。レクサスISやクラウン、マークXとまだまだ台数が稼げるトヨタの「2.5LのV6」と比べると生産効率で大きく劣ります。つまり同じようなクルマを作っていても、常にトヨタの方が利益を出し易く、日産は不利な状況に置かれます。こうしたウィークポイントを無くすことは極めて妥当な選択と言えます。

  今や2.5Lの6気筒エンジンを使っているメーカーなんてほとんど無くなっていて、トヨタと日産以外では中国製造のBMWが2.5Lの「V6」エンジンを積んで販売されているくらいだそうです。これだけ潰しが利かないエンジンを残しておくメリットはまったく無いですし、3.5LのHVがすでにこのエンジンを大きく凌ぐ経済性を発揮していますので販売理由もなくなっています。FFのティアナは軽量で高出力の直4NA(2.5L)の新型エンジンが搭載され始め、6気筒エンジンになんら劣らない静粛性を発揮しています。

  スカイラインにもこのティアナ用の直4NAを使えば良いと思いますが、日産は縦置き(FR用)に設計変更するコストを無駄と判断したようです。また仮に出来たとしても、FFのティアナよりも、構造上重くてうるさくなってしまうFRのスカイラインにそのまま使うには、さらにプロペラシャフトやギアボックスの静音性の設計調整が必要ですし、重量増やトラクションの不利でティアナよりもパワーが出せない設計になってしまうのは目にみえています。

  そして日本市場で売れているライバルのドイツ車が直4ターボを用いる中で直4NAを投入しても売りにくいという判断もあるかもしれません。とりあえず直4ターボのFRならばBMWもメルセデスもジャガーも日産もほぼ同じで価格面でちょっと有利な立場に立てればいいといったところでしょうか。BMW320iが466万円、メルセデスE250が599万円のところをスカイラインGT-tが383万円ですから、「ハリボテ・プレミアムカー」というジャンルでいよいよ日産が主導権を握る時代がやってきたかもしれません。そのために物議を醸した「日産」から「infinity」へのバッジ変更も推し進めました。

  まあなにはともあれ、アメリカだけでなく、日本でもBMWを叩き潰すぞ!という気合いを日産陣営から感じることができます。BMWも劣勢が明らかになれば値下げを断行してくるでしょうし、世界的にも最高値の領域にあるドイツ車価格が是正されることは、とても喜ばしいことではないでしょうか? それでもやはりスカイライン買うなら腹括ってHVにすべきだと思いますが・・・。

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2014年5月19日月曜日

スバル・レヴォーグ 「ワゴンユーザーを悩ます"裸の王様"が登場」

  スバルというブランドへ注がれる一般ユーザーの視線は、しばしば「盲目的」だなと感じることがあります。誤解を恐れずに言うならば、「AWDの肯定」というアウディやランボルギーニと同じ立ち位置から全てが始まっている!というアブノーマルな前提を認識せずに、他のブランドとは違うという「優越」意識を持つ「スバリスト」の思想は極めて危険です。ちょっと違うかもしれませんが、ロータスユーザーが2シーターで無いことを理由にBMWを批判するようなものかもしれません。

  別にそんなことは大きなおせっかいで、今さら言わなくてもいいことなのですが、この「レヴォーグ」という新型車の存在価値をあれこれ考えると、やはり「AWDの肯定」というスバルのイデオロギーの前に、モータージャーナリズム全体がフリーズしていて、どうもシーン全体が「虚構」に塗固められていると感じてしまいます。レヴォーグは実は「裸の王様」ではないのか?という気がしてなりません。

  とりあえず一人くらい正面切って批判する人がいてもいい気がします。なぜ「古臭くてダサい」といったアテンザやレクサスISでさえもぶつけられた厳しい一言が全くと言っていいほどに無いのか? そもそも全ての評論家はスバルに対しては一切の批判能力が麻痺します。スバルを表立って批判するのは、場合によってはプロライターという商売が出来なくなるほどのダメージを受けます。

  あのウルトラ辛口な沢村慎太朗氏でさえも、「真のスポーツカーはロードスターと911だけ!」というめちゃくちゃカッコいい評論の中で、「ランエボとインプは別だけど・・・」とお茶を濁したほどです。国沢光宏氏はレクサスISを「発売前から既に古臭い」と酷評していましたが、レヴォーグのデザインはどのように評するのだろうか?

  スバルが拘る「AWD」の長所としては「直進安定性」と「加速性能」の2つがあるわけですが、直進安定性についてはトラクションコントロールの進化により、駆動方式によって大きな差がつくわけではなく、車格によってどれだけのデバイスを使っているかによる比重が大きくなっています。FRでもFFでも一定の車格を持っているクルマならば、AWDにこだわる必要はないです。AWDの最近のトレンドは、メルセデスの「4MATIC」採用車種を見るとよくわかりますが、明らかに「加速性能」向上に重点を置いています。

  高性能車の性能を判断する指標が、「0-100km/h」の到達タイムに絞られている中で、1800kgもの車体で4秒以内を叩き出すにはどうしてもAWDが必要になります。日産GT-R、ポルシェ911ターボ、アウディRS6/7、メルセデスE63AMG"4matic"はいずれも加速性能に特化したスポーツモデルです。これらのクルマはいずれも500psオーバーですから、直線の加速だけではスバル車では逆立ちしても敵いません。つまり「スバル=AWD=加速」という図式はすでに形骸化しているのです。

  最近スバルが作ったクルマの中で一番世界を熱狂させているのは、間違いなくBRZです。スバルのアイデンティティを無視してトヨタが押し付けてきた、このFRスポーツはスバル陣営ではまるで腫れ物に触るような扱いだそうで、トヨタがノリノリでMCを進めようとしてもスバルがことごとく反対して、「ビッグマイナー」とはいかなかったようです。スバルにとっては他社のアイディアでクルマを作るなんて屈辱以外の何者でもないわけですが、一方でスバル独自の看板モデルである「WRX」とその兄弟車にあたる「レヴォーグ」には、そもそもどれほどの求心力があるのでしょうか? WRXは(日本ではあまり売れないから)アメリカで開発してアメリカで先行発売する!これが答えです。

  スバルらしい「デザイン」「スペック」「ボディスタイル」を掲げてブランドイメージを凝縮した新型車「レヴォーグ」。これにスバリストの皆さんが熱狂するのは全くもって構わないですが、なんでそんなに「内輪」でばかり盛り上がるクルマを作っちゃうのかな?というところにスバルへの不満を感じてしまいます。

  
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2014年5月12日月曜日

キャデラックCTS 「日本を諦めた?強気な価格設定・・・」

  「ワールド・カー・オブ・ザ・イヤー」をアウディA3が受賞しました。またしてもこの賞がVWグループの手に渡り、なんだかシラケてしまいましたね。今年で10周年になりますが、その内の6回をVWグループが受賞。しかも最近6年で5回目ですから完全に一人勝ち状態。これだけ独占するわけですから、他のメーカーを大きく凌ぐ成長を見せていると思いきや、トヨタやGMと肩を並べる販売台数のほとんどが新興国でのノックダウン生産で、まだまだ旧式のジェッタなんかを作って中国や東南アジアで売りさばいています。なんじゃそりゃ?

  しかもこれだけ受賞を重ねていながらも、世界最大の市場であるアメリカでは売上減に歯止めがかかりません。それもそのはず、VW自慢の受賞車であるポロ・up!はアメリカでは販売されておらず(誰も買わないから)、アウディA3もセダンのみの販売です。ゴルフは不人気すぎてコンセプトはブレまくりで、販売の主体はSUVとパサート/ジェッタです。そんな「正義」の国・アメリカを代表する"ラグジュアリーカー・ブランド"であるキャデラックがいよいよ本腰を入れて欧州や日本で活発に展開されるようです。これには思わず、頭空っぽのドイツ車信者達を片っ端から退治してほしい!なんてささやかな期待をしてしまします

  キャデラックの旗艦モデルCTSがいよいよFMCを迎え、絶妙なボディサイズやエクステリアの進化がかなり意欲的な様子が伺えます。基本的にアメリカメーカーを蔑視する姿勢を、21世紀になっても貫き通している日本の愚鈍なカーメディアのフィルターを通してしまうと、このクルマの正確な立ち位置が全く伝わらないですね。どのライターの記事も大同小異に「ドイツ車にかなり近づいていてなかなか良い」みたいなことが書いてあります。

  なんで個性を競うライター稼業で、バカみたいに同じようなことを書いているのだろうか? 他のクルマだったらもっとそれぞれに個人の引き出しがあって、それを発揮できているのになんで「キャデラックCTS」の前では思考が停止してしまうのか不思議です。そもそも公然の事実としてキャデラックのATSと新型CTSはドイツのオペルが主体になって開発をしています。つまり「ドイツ車に近い」ではなくてドイツ車なのです。

  もちろん記事を書いているライターはそんなことは百も承知です(のはずです)。海外メディアはオペルが開発したと堂々と報じているので、「大人の事情」による規制ということはなさそうです。おそらく「ドイツ車=至高」&「アメリカ車=愚鈍」という彼らの信念が大きく干渉して、その結果として伝えるべき「真実」を覆い隠しているような気がします。新型CTSに関するほとんどの記事を読み終えて、浮かんだイメージは「アメリカもやっとドイツ車の良さが分るようになった」ということです。

  しかし「真実」(=データ)はこれとはまったく逆です。特に近年ではドイツ車はアメリカでの人気は低調です。日本人の多くは「レクサスはアウディのパクリ」と信じているようですが、アウディなんてドイツではBMWを凌駕する存在になりましたが、アメリカではアキュラ(ホンダの高級車ブランド)の後塵を拝する残念なブランドです。アメリカでシェアを伸ばしているレクサスはドイツ車とは全く別の世界観を見せています。たとえ「真実」と乖離した評論になっていようともそんなことは全く気にしないのが日本のジャーナリストの図太い所で、同じように「ドイツ車=至高」と考える単細胞な読者に迎合しておけばOKなんでしょうね・・・バカバカしい話です。

  新型CTSが「内装もドイツ車に全く引けを取っていない」ってのもなかなかナンセンスで、馬鹿な読者に必死で迎合する「魂を売り渡した」記述ですね。Eクラスや5シリーズの内装が「チープ」とは言いませんが、レクサスGSや日産フーガのクオリティに比べれば、確実に数段落ちるレベルなわけです。じゃあGSやフーガはどこを見て内装のクオリティを決めたのか?ってなりますよね。そしてどちらも欧州で売るクルマではないわけです。そう北米市場でキャデラックを超える”ラグジュアリーカー”を目指して作られているわけです。そのキャデラックを引き摺りだして「ドイツ車に引けを取っていない」なんて堂々と(わざと)書くわけですから、呆れてしまいます。

  ドイツメーカー(オペル)が、キャデラックの新しい魅力を引き出すために奔走して、オペルの「プレミアムブランド」としての新生キャデラックが生まれました。ってことなんですが、残念ながら日本価格もドイツメーカー車らしいものになってしまいました。先代は3.0Lと3.6L(どちらもNA)の二本立てだったのですが、新型は3.0Lがダウンサイジングされ2.0Lターボとなり、日本ではこの2.0Lターボのみの「699万円」という価格設定になりました。先代の3.0Lが「549万円」だったわけですから、いくらマイナー車種だからといってもやり過ぎじゃないかと・・・。

  ちなみに新型の2.0Lターボの北米価格は4万5000ドルで、これはフーガ(3.7L)とほぼ同じ価格です。フーガの日本価格はベースグレードで451万5000円ですから、まあ先代の価格くらいが妥当だったと思います。しかし今さら550万円で売ったところで、大型化してもコスパ抜群のスカイラインの魅力には太刀打ちできませんし、それならば一層のこと価格を上げて「高級車」であることをアピールした方が得策と考えたのかもしれません。まあBMWやメルセデスと比べて、軽くてパワーもある設計なので、いまさら「アメリカ車=愚鈍」というのは筋違いだと思いますね。ニュル最速タイムも日産とポルシェがいがみ合う中でアメリカメーカーがさらっていったわけですから・・・。


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2014年4月28日月曜日

新型シビックtypeR 「考え方を変える必要がある!・・・ユーザーが」

  ホンダが何やら自信満々に開発を宣言している「NSX」じゃなくて・・・「シビックtypeR」。メルセデスに例えると、ブランドの「象徴」SLSの後継車として開発されている「メルセデスAMG・GT」と同じポジションが「NSX」だとしたら、一般人に手が届くレベルに設定されている「A45AMG」と同等に位置するのが、この「シビックtypeR」になります。まあそういう視点でこのクルマを見るならばかなり納得がいく部分も多いのではないでしょうか。

  今回のtypeRは、なんとターボが付きます!このインパクトがどうも強すぎるようで、従来のtypeRファン、いわゆる「原理主義者」を中心に激しい逆風を受ける羽目になっていいるようです。ホンダの主張をどれほどの人は真摯に受け止めているのか分りませんが、もはや自動車雑誌の誌面からも「嘲笑」が聞こえてきそうな論調で報道がされている気が・・・。確かにアウディTT-RSとメルセデスA45AMGが「2Lターボ」というフィールドで激しく「出力合戦」を繰り広げていて、さらに「2Lターボ&FF」というジャンルでもルノー・メガーヌRSとフォード・フォーカスSTが「FF最速」の座をかけて争っている中に、ホンダがノコノコと「2Lターボ」に参入してきたと見られても仕方がないですが・・・。

  そして従来のtypeRユーザーからしてみたら「Vテックは究極の高回転エンジン」であり「ターボ化」とはエンジンの特性において全くベクトルが違う!という本質的な意見も当然あります。それでもホンダは「Vテック」という名称を使い続けるわけですから、これはもはや自ら批判を煽っていると言ってもいいかもしれません。もちろん「可変バルブタイミング」機構を使っていれば「VTEC」ですし、三菱やスバルのようにターボとの組み合わせで使われることもあるわけで、名称自体は何の問題もないのでしょうけど、ホンダはここまでNAにこだわってブランディングしてきたわけですから、いまさら方針展開されてもファンは当然に戸惑いますし、今までの「Vテック」は何だったのか?となりますよね。

  さて冷静にホンダが技術系雑誌に提供している、「ターボエンジン」展開に付随する技術的な説明をじっくり読んでみると、前提として「HVおよびディーゼルが経済的に普及しない地域」(所得が低い地域?)をターゲットとしたターボ車マーケティングの一環と位置づけています。これらの地域でシェアを伸ばしつつあるフォードとVWを追従するための戦略、つまり「パクリ(模倣)」です。VWに比べてエンジン技術における進化が目覚ましいフォードのターボ戦略に完全に感化されたようで、「1.0L・1.5L・2.0L」の三段階に作り分けるところもそのまま「パクって」ます。

  typeR向けの「2.0Lターボ」は3.5Lクラスのエンジンを置き換えるとされていて、ホンダのラインナップだと「北米アコード(上級モデル)」と「レジェンド」に将来的にこのエンジンが使われるようです。ちなみに「アコード(ベースモデル)」には1.5Lターボが2.4L直4を置き換えるみたいです。つまり従来の2LのNAで200ps前後だったtypeRとはクルマのコンセプトが大きく変わるということになります。

  ちょうどトヨタがオーリスのボディにクラウン(上級モデル)の3.5LのV6エンジンを積んだクルマを想像してもらえばいいと思います。考えるだけでもワクワクするクルマなんですが、そんなバランスの悪いクルマは誰も作らないだろ!って感想が聞こえてきそうです。が・・・しかし、ついこの前までトヨタは「ブレイド・マスターG」というオーリスとほぼ同じボディに3.5Lの2GR-FEを押し込んだクルマを売ってました。しかも本体価格はたったの330万円!残念なことに6ATのみの設定でしたが。もしこのクルマにMT仕様があったなら・・・とクルマ好きなら誰でも想像しちゃいますよね。

  そうです!この新型typeRこそが!ホンダが「トヨタ・VW(ゴルフR)・アウディ・メルセデスどいつもこいつも"楽しいクルマ"が解ってない・・・」と嘆きつつも、上から目線で投入する「革新的」なCセグを超越したスポーツカーです。そういうの(300ps&MT)だったら既にメガーヌR.S.があるじゃん!という指摘もあるわけですが、「日産ルノーこそが正しい!」からそのシーンを盛り上げていこう!とわざわざNAエンジンを放り出してまで、typeRをメガーヌR.S.のライバルに仕立て上げたわけです。

  ホンダとしてはかつてのライバルだったアルファロメオが、いつの間にか「4C」という軽量スポーツカーを出し、「ロータス」とライバル関係になり「新たな恋」を燃え上がらせているのに驚いたのかもしれません。やはりライバルがいないと、とてもじゃないですがスポーツカーが売ることができない時代です。それに世界中のどこを探してもtypeRの高回転NAに勝負を挑んできてくれるスポーツメーカーなんていませんし、今後も現れないでしょうし・・・(MのRタリーに僅かな期待はあるけど)。


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2014年4月21日月曜日

メルセデスGLA 「今の日本市場でこれを売るのは至難」

  いつの間にやら街中はマツダCX5がやたらと目に付くようになりました。2年連続でSUV売上ナンバー1ですから多いのは当たり前なんですが、CX5発売前にはマツダのSUVなどほとんど見かけることは無かったことを考えると、これまでの実績など無関係にウケれば何でも売れてしまう時代みたいです。ブランドによって車格やボディタイプが暗黙のうちに決められた時代は終わり、いまではどこのメーカーがどのジャンルでクルマを作っても受け入れられるのかもしれません。

  メルセデスが新たに発売する小型SUVのGLAも、従来のメルセデスのイメージとは大きく異なるモデルになっていて、その売れ行きは一体どうなるのでしょうか? GLAの元となったAクラスは賛否両論が渦巻く中で、若い世代へのアピールが足りないと言われていたブランドのバランスを取り戻すカンフル剤になったと言えるほど、欧州と日本では発売直後の好感触があったようです。しかしこのAクラスはなかなか曲者で、試乗車に使われた初期モデルと同じ2013年の後期モデルではアナウンス無しで仕様が変更され、高級車調に見せる演出の幾つかが削られています(例えば後席の乗り込み口に設置されていたアルミ製ステッププレートが無くなっている)。

  Aクラスがすぐに売れた要因は、BMWやアウディがすでにCセグHBを発売していることで、メルセデスもそれに追従することがユーザーには特に違和感は無く受け入れられたのだと思われます。しかし本来はメルセデスを追いかけてプレミアムブランドへと舵を切ったはずのBMWやアウディを、逆にメルセデスが追いかける立場になったわけです。直後にCLAクラスも発売し、単なる追従ではなくメルセデスの独自路線だというイメージも発信することで、メルセデスが万策尽きてライバルをパクったという批判は逃れているようですが・・・。

  CLAクラスはもはやメルセデスの「アイデンティティ」の一部となりつつある4ドアクーペ。CLSを発売して10年が経過しブームが一段落し、その優雅さからメルセデスの古典的スタイルの仲間入りを果たしたタイミングを待ってのCLAのリリースはとても巧妙です。BMWやアウディにはないタイプなので「メルセデスを買う!」と強く意識させることができるところがこのクルマの強みです。メルセデスへの憧れが強い人ほど、このCLAへ気持ちが傾くみたいです。

  そして今度発売される小型SUV版のGLAは、これまたHBのAクラスと同じでBMWやアウディの後追いモデルになります。BMWとアウディが仁義無きアピール合戦を繰り広げていて、「FRベースAWDの”X1Xドライブ”はFFベースと違って4輪への荷重配分が適切で安定します!」なんて完全に「アウディQ3クワトロ」をターゲットにしたようなキャッチコピーを掲げています。もちろんアウディ側もクワトロの実績を掲げ、アウディとBMWではAWDを熟成させてきた期間がまったく違う!とアピールするわけですが・・・。

  そこにFFベースの4MATIC(熟成期間はまだまだ)という「丸腰」スタンスで飛び込んでいくGLAは、まさにBMWとアウディの両陣営から恰好の「引き立て役」になってしまいそう。「GLA45AMG」というハイパフォーマンスタイプも用意されていますが、すでにアウディから「Q3RS」という対抗モデルが発売されていて、さらに同時期にポルシェマカンSという一回り大きなSUVがほぼ同価格で発売されるので、やや苦しい展開かもしれません。それでもAMGのネームバリューでそれなりには売れるでしょうが・・・。

  そしてAとGLAの日本での販売環境で最も異なるのは、BMWやアウディ以外の層の厚さです。CセグハッチバックではゴルフとレクサスCTが有力ライバルとして存在しましたが、Aクラスはこの2台よりもコストパフォーマンスを優先させる戦略(安さ爆発!)でアドバンテージを得られました。現在ではマツダアクセラの登場によりかなり売りにくい展開にはなってきていてはいますが、インプレッサやオーリスといった既存の日本車勢はこれといってインパクトがなく、かなり参入し易い状況でした。

  しかしGLAに対してはCX5、ハリアー、エクストレイル、アウトランダー、フォレスター、XV、ヴェゼルと日本の各主要メーカーの渾身の1台がライバルとして存在します。ここ数年で一気に層が厚くなった日本勢の前にBMWX1もアウディQ3もフェードアウト気味です。現在メルセデスは日本価格をまだ公表してはいませんが、350万円程度でベースグレードを設定しないとまったく勝負にならない公算が高いですね。


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BMW X1 vs アウディQ3

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2014年4月14日月曜日

新型スカイラインクーペ 「"エッセンス"の市販化はあるのか?」

  日本でも発売する2ドアクーペモデルとして独自の存在感を発揮する「スカイラインクーペ」。特に先代のCV35から日本車離れしたラグジュアリーな雰囲気を持つようになり、結構このクルマに吸い寄せられて「クルマっていいな!」って思う若者がかなり多いようです。「クルマ離れ」の時代に「現実的」に若者を憧れさせることができるクオリティカー。これはある意味でプリウス並みに社会貢献度が高いクルマだなと思うのです。

  かくいう私もその一人で、数年前のある日、突如思い立って購入を前提にCV36の中古車をリストアップ。現在では130万円くらいからあるようですが、当時は最安値でも200万円以上なので慎重にリストアップを進めて、それなりに目星がついたところでとても賢い彼女に打ち明けると、まさかの大反対。「ギラギラし過ぎていてイヤかも」と言われてしまい泣く泣く断念しました。まあ彼女がいなければクルマなんて要らない生活なので、反対を押し切ってまで買う理由なんてありませんでした。意外とあっさり「じゃあ次」と別のクルマを買いにいきましたが・・・。

  やはり何より唸らされるのが「やる気」満々のデザインですね。同クラスの「3シリーズクーペ」や「Cクラスクーペ」と比べればその差は歴然ですし、後から出て来た「アウディA5」はなかなかの出来(スカクーよりいい?)ですが、価格がかなり高いです。スカクーはどれも3.7LのNAでエンジンに関しては1グレード制なのに対し、A5にはハイスペックモデルのS5 / RS5が追加されなんだか買いにくくなりました。RS5なんてそれこそ1000万円を軽く越えてしまいます。人によって意見は違うかもしれませんが、こういう売り方をされる中でベースモデルのA5を買うのはちょっと悔しい気がします。

  というわけでスカクーはドイツ車のライバルよりもユーザーに「優しい」と思います。日産というメーカーは高級車(クオリティカー)に乗る人に恥をかかせない!という素晴らしいコンセプトを持ったメーカーなんですよね。スカイラインやフーガのセダンならば経済性を考えると2.5Lエンジンでもいい。だけれどもFR車なんだからちゃんと6気筒エンジン載せときますよ!っていう辺りもとても気にいっていたのですが・・・。

  そして何よりスカクーの価値はというと、最近になってアテンザがディーゼルに6MTが選べるようになりましたが、それまでは唯一のMTが選べるDセグ車(とりあえず日本車では)だったことでしょうか。「若者の心を捉える」ことにはいろいろな方法があると思うのですが、例えば若い女性がハーレーダビッドソンの大型バイクに乗っていると聞くと、多くの人は「え〜!」って驚きがありますよね。人にそういう風に驚かれることはかなり多くの人にとって快感だったりするわけです。20歳前半の若者がCV36のスカクーを所有していて、MTでの運転を楽しんでいる!というだけで、周囲の人は「若いのになかなか奥行きがある人間だ」と感じてくれる部分もあるわけです。

  自分をブランディングするためにCV36に乗るというのは、やや本末転倒かもしれませんが、結構いろいろなハウツー本ではそういう投資は積極的にやるべき!みたいな指南が書かれていることも(スカクーは投資価値が高い!?)。スカクーは普段のクルマ(デートカー?)としても高い性能を発揮しますし、趣味のクルマとしても極めて高い水準にあるのだから、親に頭下げてお金借りてでも買って損はないクルマだと思わせる力を持った「特別な存在」でもあるわけです。「自分のブランディングの為に300万円貸して!」と自分の将来の為に親に頭下げられる若者が居てもいいかなという気がしませんか?

  しかし今年発売が予定されている、次期スカイラインクーペはこの伝統が守られるかどうかちょっと怪しい気もします。漏れ伝わってくる情報によると、新型はモデル名を「インフィニティQ60」と変え、セダンとは別のクルマと位置づけて設計されるようです。デザインは5年ほど前に日産が発表した「エッセンス」というコンセプトカーのデザインを煮詰めたものになりそうです。セダン(インフィニティQ50)発売時にちょっと魅力に乏しいデザインを悪名高い英国メディアに批判され、日産の担当役員が「クーペは大きく前進する!」と言い放っているので、「エッセンス」に近いやや過激なスタイルになるかもしれません。

  そしてなにより気になるのが、セダンと共通の3.5L+HVのユニットが使われることです。スポーツセダンとしての評価も高いインフィニティQ50はハイテク装備が評判になっていますが、従来のスカクーの魅力であるMTを備えたアナロジカルな魅力とは方向性が異なります。おそらくこのハイブリッドにはMT設定はできないでしょう。一方でMTモデルの需要も当然に把握している日産は、あらたにメルセデス製の「2Lガソリンターボ」の搭載を決めたようです。こちらにはMTを配備してくるようですが、どうもスカクーの本質的魅力が1つこぼれ落ちてしまう気がします。ちなみにスカクーは中古車を調べるとMTモデルの方が圧倒的に高価格です。2Lターボのスカクーからは「ハーレーダビッドソン」的な魅力を若者は感じられるのか?ということです。



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2014年4月7日月曜日

ジャガーXE 「BMWの"本丸"へ突入!」

  まだまだ発売は1年ほど先になりそうですが、ジャガーがブランド生き残りを掛けて精力的な開発を続ける1台が、新型Dセグセダンの「ジャガーXE」。去年スポーツカーの「Fタイプ」を発売して話題を振りまいたのですが、割安とはいえ1000万円という価格!そして扱いにくいサイズが日本ではイマイチ。しかし国内外のメディアによると「よい具合のオープンスポーツ」とかなり好意的に受け取られているようです。幾つかの雑誌では「Fタイプ vs Z4」といった構図が使われていましたが、これはどうやらジャガー側が仕掛けた「メディア戦略」の匂いがしますね・・・。

  ジャガーとしては東アジアで絶大のブランド力を誇るBMWを上手く利用して、ブランディングを進めたい様子。とりあえず誰が乗り比べても「Z4」に負けない「Fタイプ」でジャガー>BMWという印象を植え付けようとしています。福野礼一郎氏を始め幾多のライターが実際に「Fタイプの完勝!」という判断(そもそもZ4の専門家筋の評価は最低だが・・・)を下しています。BMWと真っ向から闘うならば「5シリ vs XF」というEセグ対決に持ち込むべきなのに、コチラの比較は取り上げられたのを見た事がないです。とりあえずメディアを使って弱そうな「Z4」を血祭りに挙げたジャガーといったところでしょうか・・・。

  次なる狙いは、これまた評判が良くないけどBMWの屋台骨になっている「3シリーズ」。あまりにもぼんやりと作ってしまったために、レクサスISや新型スカイラインにもあっさり先を越され、クラスの先端からはちょっと落ちるイメージすら付いてしまっています。ジャガーにとっても与し易い印象がある様子で、早くもメディアはジャガーXEは「3シリーズがターゲット!」と盛んに報じています。

  ジャガーのDセグセダンと言えば、完全にジャガーの「黒歴史」と言えるXタイプというクルマがありました。ジャガーなのにFFのフォードのプラットフォームが用いられ、日本でも400万円という格安価格で販売されました。しかし200万円の初代マツダアテンザと同じプラットフォームでしかもアテンザよりも低スペックなサスペンションを使い、無理やりにV6エンジンを押し込むというパッケージは、想像どおりの凡庸さでクルマ好きから集中砲火を受けました。

  過去の反省を踏まえてかどうかわかりませんが、今回はFRの新プラットフォームとなりました。メルセデス、BMWのドイツ勢とレクサス、日産の日本勢が激しい競争を繰り広げる中に、「キャデラックATS」が去年参入しましたが大きな反響は得られていません。そして6ブランド目のFRプレミアムDセグとしてジャガーXEが登場することになりそうです。F30系3シリーズをベンチマークしつつ、その先へと進んでいるレクサスIS、新型スカイライン、新型Cクラスに対して、モデルデビューを果たしたばかりのクルマがどこまで迫れるのか?まあ多くは望めないでしょうけど。

  先ににジャガーXEの気になる点を挙げておくと、1つは同時にSUVを開発していてジャガーとしては「どちらかがヒットすればいい」くらいの気持ちがあるのではという事。もう1つは上級モデルにあたる「XJ」と「XF」がアルミを多用した軽量化された車体を使っていて、これが「ユーロNCAP」という衝突安全基準のテストであまり良い成績では無い事です。「XJ」も「XF」もジャガーとしての「本物感」は出せていますが、BMWが追求するような車体剛性や安全設計という点では疑問が残ります。

  逆にジャガーだからこそ期待できる点は、本物の「スポーツカーブランド」が手掛ける「スポーツセダン」ということです。ジャガーというブランドは英国上流階級の為の超高級車を手掛けるブランドというイメージがありますが、あのGT-Rの生みの親と言われる元・日産の水野和敏さんいわく「日産入社当時のスポーツカーブランドと言えば、ジャガー、ポルシェ、マツダの3つ」だったそうで、確かにいまでもこの3ブランドが手掛けるセダンやSUVはひと味違うと言われますし、最高のスポーツカーが今後生まれるならやはりこの3ブランドからということになるでしょう。

  乗用車改造スポーツカーを作らせればピカイチなのが「BMW、スバル、日産」の3ブランドでいずれも熱い支持を得ています。しかし"ピュア"スポーツブランドが作ったジャガーXEはこれらとはひと味違って、艶かしいスポーツカー的要素の濃いクルマになりそうだという予感があります。そして自らスポーツ的要素を否定する方針の「メルセデス、レクサス、キャデラック」とも異なる新しい高級車のイメージを確立してほしいという期待もあります。ポルシェも近々「パジュン」というDセグセダンを企画しているようですが、確実に先に発売されるであろうジャガーXEをまずは楽しみに待ちたいと思います。


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 ↓ジャガーの本気に執筆陣も熱気ムンムン!三栄シリーズの傑作だと思います。