2013年9月26日木曜日

スバルBRZ tS 「絶対お得なコンプリートカー(BRZを買う予定なら)」

  スバルが発売から1年あまりが経過したBRZの限定モデル「tS」を500台限定で発売しました。先日発売されたWRX-tSなどは2週間で300台のほとんどを売り切ったそうですが、BRZ-tSはやや苦戦している模様で、1ヶ月経ってもまだ半分売れ残っているとか。

  スバルの「限定モデル」がなかなか素敵だと思う点は、スペシャル仕様にも関わらず、法外な価格を取ろうとはしないことです。スバルはどうやら直4エンジン車の価格の限界は500万円と定めているようで、2.2Lの専用エンジンをわざわざ装備したインプレッサ22Bでも500万円でした(400台が3日で完売)。単純比較はどうかと思いますが、量産モデルとして昨日、日本発売が開始されたBMW428は4気筒にも関わらず600万越えしています・・・。

  あくまで素人の考え方かもしれないですが、「WRX」よりもむしろ「BRZ」の方が、ノーマルモデルと比べたときの「tS」の出来の良さを多く感じられるのではないかと思います。ご存知のようにBRZはトヨタ86と共通設計で、当然ながらトヨタ基準の厳しいコスト管理を元に設計がされています。スバルはスポーツモデルの設計には、必要と感じればビルシュタインやブレンボなど高性能部品をふんだんに使って仕上げることが多いメーカーなので、その辺のクルマ作りの文化の違いは以前から指摘されてきましたが、トヨタのクルマを作るという前提が強調されたようで、部品選びは完全にトヨタ主導だったようです。

  FRの本格スポーツということで、スバルが得意の欧州スポーツカー部品メーカーの製品との親和性が高いのではないかと期待されましたが、前述の理由で結果的にはSHOWA製のダンパーが採用されました。別に日本製の部品メーカーに文句を付ける気はないですが、トヨタのコスト管理下でスバルが企画した新機構が次々にボツになっていったのではないか?と容易に推測できます。発表当初からカスタムのベースカーとしての需要に応えるとトヨタが公言しているクルマなので、基本設計以外の交換可能部品は「デフォルト」品を使うのも当然ではあります。トヨタとしては好きな部品を使って仕上げてくれというわけです。もちろんそういう類いのクルマなのだという前提でユーザーも86/BRZを選んでいるのでしょうけど・・・。

  去年の発売後まもなく、普段フェラーリに乗っているというプロの評論家が、限りなく上から目線でこのクルマを悲鳴をあげそうになるほどのシニカルさで、「安いから、まあいいか・・・」と結論していました。あくまで想像ですが、他の評論家に何と言われても気にしないけど、この人からの批判はスバルの開発者にとっては「脳天直撃」のショックとして受け止められたかもしれません。スバルがやりたいように出来なかった結果としての酷評だから開き直ったかもしれないですが・・・。よってこのBRZのカスタムコンプリートカーには、スバルの意地とプライドが詰め込まれた、相当に気合いが入ったものなのではないかと想像できます。

  さてBRZ「tS」の内容を見てみると、「ブレーキの変更」という地味にクルマの性格を変えてしまいそうな部分をがっつり取り替えています。これはABSの変更にともなうプログラミングのための走行テストを要するので、一般人がカスタムで同じ事をやるのはほぼ不可能です。個人的な意見ですが、サスやブレーキを代えてくれるなら、100万円高くなっても欲しいというクルマは結構あったりします。新型アテンザとか、プジョーRCZとか・・・。

  さらに先ほどの評論家がやたらと噛み付いた部分が、しっかりと改良されている!スバルの開発者も当然に「批判」を読んでいるのでしょう。ノーマルのFA20は吸気系から「ボー」という不快な音がすると批判されていました。そこでエンジンの出力の変更はないですが、わざわざサウンドのみをチューニングしてあるのだとか。そして「不快だけどカスタムできない!」と一刀両断されたインパネのデザインもまた、ベース素材の変更だけで、まるで別のクルマというくらいに改良されています。

  個人的に86/BRZの最大の弱点は、内装で特にインパネと思っていましたが、このネガを解消してくれるならば、もはや「欲しくない」クルマではなくなりました。フロントサスもストラットという基本形状は一緒ですが、バネを専用の高機能なものに変えていて、ノーマルよりも「しなやか」になって乗り心地を良くしつつ、ハンドリングを精度を上げるために、減衰力が下がらないようになっているのだとか・・・。ここまでやってくれるなら、もはやノーマルを買うのがバカバカしくなってくるレベルかもしれません。もしBRZを購入予定なら絶対に限定モデルだと思います。


          ↓問題の批評が掲載されています!
 

2013年9月24日火曜日

クラウン・マジェスタ「これでいいのか? 落としどころが・・・」

  「非レクサス派」という人は調査をすれば結構多いと思います。特に国産のライバルメーカーの愛好者の中には、かなりの割合でレクサスと聞くだけで、やたらとムキになって否定する人がいます。かくいう私も現行GSが登場するまでは、レクサスの存在を1ミリも認められないタイプの人間でした。失礼を承知で言いますが、ネットにレクサスの良さを熱弁する人がいたら、「こいつ大丈夫か?」と思いつつ、最凶にセンスのかけらもないブサイクな人間像が頭の中に自動的に浮かんできたものでした。

  今でもLSと現行GS・現行ISしか認めていないのですが、レクサス=アレルギーはだいぶ無くなってきて、近頃では買ってもいいかなと思うことすらあります。情けないですが、自分みたいにポリシーの欠片もない人間などは、レクサスがちょっと本気を出しただけで、あっさりと許せてしまったりします。しかしまだまだレクサスに対して厳しい意見をお持ちの方も多いようですね・・・。

  最近のクルマの良さは認めるけど、レクサスオーナーの仲間入りだけは絶対に嫌だという人の気持ちは、なんとなく分からないでもないです。東京でレクサス乗ってる人は、関西人か地方出身か中国人だという「都市伝説」があるくらいなので、分別ある人なら意図的に購入は控えようとする結果、国内でのレクサス苦戦の一因になっているようです。実際に東京のショッピングモールでレクサスのドアが開くと、大抵は標準語でない会話が聞こえてくることが多かったりします。中国語だったりすることも実に多いです。まあ、なんというメチャクチャな偏見だとも思うのですが・・・。

  レクサスオーナーには絶対になりたくないけど、V8でエアサスの高級セダンに乗りたい人は、これからはどうしたらいいのでしょうか? トヨタの非情なまでのモデル刷新でトヨタブランドの最上級であるクラウン・マジェスタからとうとうV8モデルが消えてしまいました。いくらレクサスがあるとはいえ、本体ブランドのフラッグシップ車なのだから、幾つかのパワートレーンを用意するのが自然であり、当然V8モデルも残すべきじゃないか?と思ってしまいます。マジェスタはあくまでクラウン・ロイヤルの1グレードという位置づけなのでしょうか?

  この高級車ユーザーに対する非情な仕打ちは、社長号令の元「魅力あるブランド」へと脱皮を図っているトヨタ・グループにあって、看過できない「不祥事」じゃないかと思います。国内市場の一般向けモデルで唯一V8搭載車を販売しているトヨタグループが、販売チャンネルを制限するということは、国産V8モデルの希望者は全員あの日本車離れしたスピンドル・グリルを受け入れなくてはいけないのでしょうか?

  先代マジェスタのような日本情緒溢れる高級車が好みの人が乗り換えを考えたとき、V8エンジンにこだわって探すと、もはや良い雰囲気のあるクルマには巡り遭えないかもしれません。日本車離れした派手なスピンドルグリル顔のLSを含めて、V8セダンはパナメーラ、クワトロポルテ・ジャガーXJいずれも北米を意識した「大陸系」デザインへと無個性に収束していて、敢えて言えばSクラスや7シリーズ辺りが先代マジェスタのイメージにやや近いかなといったところです。いっそのこと12気筒のベントレー・コンチネンタル・フライングスパーのほうが、外国ブランドの最新デザインにも関わらず、先代マジェスタユーザーの感性に合っている気がします。

  SAIとかレクサスISとか「末端」のグレードならどんどんカッコ良くすればいいと思いますが、1000万円近いフラッグシップのコンセプトがコロっと変わってしまうのはやはりどうかと思います。LSのデザインはアヴァンギャルドになり、新型マジェスタはかなりスケールダウンしてフーガHVの対抗モデルみたくなってしまいました。エアサスも廃止され、なぜかブレーキだけは高級仕様のままというチグハグな足回りを考えても、610万円〜という価格も妥当ではありますが、まったく「欲しい」というモチベーションが起こらないです。先代のマジェスタは相当にお買い得だと思えたのですが・・・。



↓マジェスタはB'zが流れてるイメージかも・・・

2013年9月21日土曜日

インフィニティQ30 「シルフィはもう諦めてこれを日本で売れば・・・」

  日産にラ・フェスタというやや地味なミニバンがあります。セレナが絶好調の日産で、機能面よりドライビングフィールを重視した設計のミニバンとして、マツダのプレマシーをOEMしているクルマです。日産は特にOEMを戦略として多用するメーカーのようで、非トヨタ系のメーカーなら構わず提携したがる傾向があるようです。

  フランクフルト・モーターショーで、インフィニティ初の「Cセグハッチバック」が発表されました。予告されていたスケッチデザインが「ほぼ」マツダの鼓動デザインと同じで、いよいよアクセラまでもOEMされるのかと勘違いしてしまうほどです。デイズ/ekワゴンと同じように、INFINITYQ30 / MAZDA3で同時発売するという「サプライズ」があったら誰も疑わないほど良く似ています。

  プレミアムハッチバックの新車発売が相次いでいますが、やはりレクサスCTがじわじわと世界中で成功したのが大きく影響していると思います。日産はこれまで対抗モデルを用意せず、インフィニティブランドは大型車のみのラインナップでした。しかし北米でもインフィニティの大型車戦略は曲がり角を迎えているといわれ、一時はブランドの廃止まで真剣に検討されたようです。プレミアムブランドが小型車で稼ぐ時代に急速に変化した中で、アメリカン・プレミアムの中に取り残された感があります。アキュラもアメリカにはシビックベースのモデルを投入していなくて似たような状況です。結局レクサスとアウディが躍進してメルセデスとBMWが素早く対応しつつあるといったところでしょうか。

  日産はミャンマーでの生産に乗り出すなど、新興国マーケットの掘り起こしに主眼を置いているようで、競争が激しく苦戦気味の高級車市場にはやや及び腰になっているのかなと思っていましたが、ここに来て「後だしジャンケン」的な競争力のあるプレミアムハッチバックを用意してきました。デザインコンセプトの発表はマツダの「鼓動コンセプト・SHINARI」以前にさかのぼるので(つまりQ30のデザインはパクリではない)、十分な開発期間を使っていてさぞかし成熟された出来上がりになっているはずです。高級車となると過剰な技術投下が顕著に見られる日産なので余計に期待感も高まります。新型Aクラスのように試乗に赴いた素人にバカにされるような乗り味ではないはずです。

  仮想ライバルのドイツプレミアムブランドのCセグハッチバックが、前評判ほどの水準にはなく、デザイン面でも明らかな洗練不足(手抜き?)だと、MAZDAも日産もよく分かっているようです。どちらもここが勝負所と言わんばかりに、コンセプトに出来るだけ忠実なデザインを選考したところ、同じ顔になってしまったということでしょうか。それでもサイドからボディの形状をよくみると、両車の違いはかなりはっきりしています。ドイツのトレンドに従って低重心を意識しているアクセラに対し、Q30は日産ジュークのような腰高さを感じるデザインで、ハッチバックでありながら大径ホイールを配して、都市型SUVをクーペ的なボディラインでまとめた形状をしています。フロントは酷似してますが好みは相当に分かれそうです。

  そして「リアデザインの日産」を誇示するかのような、悪く言えばクラス不相応のド派手に飾ったデザインは自信の現れでしょうか。ライバルモデルが地味過ぎるという分析のもと、重点的に強化した様子が伺えます。それでも簡単には変更が効かないのがリアデザインなので、「過激」を押し付けられるユーザーにとっては購入時にかなりの決断を迫られるクルマかもしれません。日産はジュークの「個性的」なデザインで一線を超えてしまった経験もあり、実際にジュークは新型車として十分に成功したといえます。よって安易に批判するのは的外れだと思います。個人的な意見ではボルボV40のリアデザインは相当にアヴァンギャルドだと思っているので、Q30はそれを軽く超えたところにあります。

  一方で新型アクセラは「過激」さを意図的に抑えていて、それでいてハッチバックの最良と言える魅力的なラインを持っています。レクサスCTもそうですが、日本車のハッチバックのリアデザインはレベルが高く、インプレッサもヴィッツもとても良く出来ています。そういう日本車の良い流れを無視して、大きくデザインを飛翔させたQ30は、やはり親会社のルノーのようなフランス車的なアイディアで設計されてるようです。ルノーメガーヌの、これまたアヴァンギャルドなリアデザインを見ると、ルノー・日産グループとしての方向性にある程度の申し合わせがあるのだとわかります。

  さてもし日産が早いタイミングでこの「Q30」を日本市場に投入することになったら、マツダとしては期待のアクセラにとって、出鼻をくじかれかねないなかなか嫌な存在になりそうな予感がします。日産は現在は日本市場においては、新興国向けのクルマをそのまま投入していました。ミャンマーでは新たに「サニー」が作られるようですが、これと基本設計の同じ北米モデルがセントラで、日本ではシルフィとして売られています。このシルフィが案の定、日本市場で大苦戦をしています。やはりCセグを買うユーザーの多くはクルマに関して詳しかったりするので、シルフィはその層にはあまりウケていません。1.8LのNAという設定はなかなか魅力的なのですが、足回りの簡易的な設計には閉口してしまいます。これを1.2Lや1.4Lターボにするとほぼ「ゴルフ」なのですが、それをしても日本では販売は上向きにはならないでしょう。

  マツダとしては本来は実力がある日産が素っ惚けたクルマを売っている間に、アクセラのシェアを伸ばしたいと思っているはずです。Q30がインフィニティの名に恥じない高級スペックで登場するならば、アクセラやインプレッサにやや飽きてきたというこよもあって、日本車好きの注目を一身に集めそうな予感がします。詳しいスペックと販売確定の発表を待ちたいと思います。



   ↓せっかく注目度◎なのに水をさされた?新型アクセラです
  

2013年9月19日木曜日

ゴルフⅦ・GTI 「チェック柄のシートの真意は?」

  日本のコンパクトカーにはないVWゴルフの良さの一つにエンジンのラインナップが豊富というのが挙げられます。もちろん日本車も販売数が見込めるコンパクトカーには最大限に配慮が行われていて、トヨタヴィッツは1L・1.3L・1.5Lと3段階設定で、さらに特別仕様車にはターボ付きの高出力モデルが用意されたりします。しかしドイツメーカーであるVWが作るゴルフはエンジン出力の面で幅がとても広く設定されていて、最上級のゴルフRともなると三菱やスバルのAWDターボのスポーツモデルに大きくは劣らないほどの性能を誇ります。ゴルフが日本で人気となっている一番の魅力はこのエンジン・ヴァリエーションだと思います。

  ゴルフRとともに「スポーツカーグレード」に分類されるゴルフGTIは、公道ではやや過剰スペックなWRXやエボよりもお買い得で、通常モデルよりも軽快に走れるとあって日本での人気は高いです。観光地やドライブスポットで見かけるゴルフの半分近くをGTIが占めているような印象があります。もちろんVWが三菱やスバルより日本で安い訳がないですから、クルマの性能自体には大きな差があります。簡単に言うと、三菱やスバルは性能本意で高価なドイツ製部品を随所に施し、VWは価格面で優れるアジア製の部品で可能な限り徹底的に代用しています。

  「ゴルフ」はその地域の実情に合わせて、部品供給体制を整えて、GMやトヨタに互する巨大ブランドVWの主力車として、大量生産体制が採られています。日本へ供給されるクルマは日系繊維メーカーが日本の自動車メーカーに供給している素材を使っています。ブレーキパッドも日本車と同じブレーキダストが少ないものを作らせていて、本国仕様とは別物になっています。この日本向けの「味付け」が実はとてもウケているという話もあります。少々失礼ですが、脳内では「これぞ王道欧州車の乗り味!」と変換されてしまっている人もたくさん居たりします。

  そして一番「???」に思うのがGTIに使われるブレーキです。一見するとスバルWRX STIのようなオレンジ色塗装なので、「ブレンボ製か?」と思ってしまいますが、通常モデルと同じブレーキです。なぜ色が違うのか? なんとなく主旨は分かりますが、なんとなく恥ずかしい気がします・・・。スバルのように「ブレンボ」「ビルシュタイン」と有名パーツメーカーの名前を列挙してクルマの性能を担保しようとするのも、どうかと思ったりしますが・・・。ポリシーは無いのか?

  ブレーキの塗装だけでなく、GTIには通常モデルと区別するための内外装の差別化がいたるところで見られます。外装のワンポイントラインなどはとてもセンス良く、さりげなく特別モデルであることを示しています。しかしどうしても理解できないのが、昔の日本車にあったようなチェック柄のシートです。VWのやることですから必ず意図があるはずだと思います。スコットランドの民族衣装のチェック柄に伝統があるように、VWはゴルフという車種に「伝統」を織り込もうということなのでしょうか? 

  40年近い歴史を持つゴルフの初代モデルから「GTI」は設定されていて、まだまだFWDのハンドリングが100psにも耐えきれない時代に、ゴルフⅡ・GTIでは138psを出していたが、そのハンドリングは当時最先端の技術で滑らかに動いたそうです。その後ゴルフⅢ・Ⅳでは通常モデルのエンジンの大型化(つまりアメリカ進出)によりGTIの意味はあまり無かったようです。ゴルフⅤでTSIエンジンが使われるようになると、GTIはホットハッチに最適化とされている2Lの4気筒ターボに収まり、再び脚光を浴びるようになりました。三菱やスバルの2Lターボのラリーモデルが欧州を席巻した影響も当然あったでしょう。

  VWの存在を浮上させた稀代のTSIエンジンを皮切りに、メルセデスもBMWもダウンサイジングターボへの切り替えが急激に進みました。三菱やIHIといった日本企業のターボが欧州車のトレードマークになる中で、「欧州車としてのアイデンティティ」を示す必要があると感じたフォルクスワーゲンはGTIのシートに「欧州」であることを強烈に意識した柄を使ったのではないかと思うのです。現代のトレンドとはかけ離れたシート柄として浮いた存在になっていますが、クルマ好き向けの特別車なので、伝統文化を解さない「非文明人」に無理にウケる必要はないという冷徹な自負をGTIの「あのシート柄」に感じてしまいます。

  


 

ゴルフⅦの海外市場動画です。英語版ですが・・・。 

2013年9月16日月曜日

BMW4シリーズ 「まったくの予想通り それ以上でもそれ以下でもない・・・」

  いよいよ4シリーズの外観やラインナップが明らかになり、その全貌が見えてきました。3シリーズクーペの後継モデルなので、完全な新設モデルという訳ではないのですが、車名を変えてくるからには、様々な新機軸を装備して、停滞しつつあるブランドの流れを変えるべき革新性を持った提案があるのかと期待はしていましたが・・・。

  BMWの事情はともあれ、レクサスに2ドアクーペが来年にも復活すると噂され、2ドアクーペにも「競争」が生まれる予感もあり、中途半端な改良ではライバルに一気に捲られる恐れもあります。2014年にレクサスRC、インフィニティQ50クーペ、キャデラックATSクーペが登場すれば、モデル数が過剰・飽和になります。Dセグ2ドアクーペの伝統を守ってきたのはジャーマンプレミアム3なのですが、クーペの命と言えるデザイン面で新興の日米のプレミアムカーがかなり強敵となっています。さらに性能面でもドイツ勢の劣勢が予想されます。

  ドイツ勢の劣勢は、ドイツメーカーの低迷を意味しているわけではなく、このクラスで本気を出していないことが原因です。ジャーマンプレミアムにとってこのクラス(3シリーズ・Cクラス・A4)では高級車を売っているという意識はないようです。レクサスISとインフィニティQ50と比べると、エンジンスペックやサス設計のレベルが圧倒的に低いだけでなく、ドイツ車のかつての代名詞であった車体剛性やブレーキ性能でも完全に負けています。もちろんM4、C63AMG、RS5を登場させるなら話は別ですが、それらの価格なら日産のGT-Rが買えてしまうし、レクサスもRC-Fで対抗する予定です。

  ドイツメーカーよりも巨大資本に成長したトヨタと日産がムキになっているように映りますが、真摯に競争力のあるクルマを開発する態度は評価されるべきだと思います。それに対して、FMCだかMCだか解らない「引き継ぎ」を繰り返し、「新しさ」を感じないラインアップばかりになってしまったジャーマンプレミアムは、固定化された人気にあぐらをかいて世界のファンへの裏切りを続けています。もっともメルセデスやBMWは販売台数ベースでは「中堅」規模であり(利益はトップクラスだが・・・)、新機軸を開発すれば絶えず「不具合」と格闘してきたこの20年を考えれば、低リスクな新モデル開発に軸足を移してしまうのも止むを得ないかもしれません。

  現実にメルセデスもBMWもレクサスの「スピンドルグリル」級に大胆な意匠変更をしなければ行けない局面にさしかかっているのですが、この新型4シリーズを見る限り「F30のクーペ版」以外の何者でもないクルマに着地しました。新型レクサスISが高剛性のGSのシャシーを使い、スピンドルグリルと個性的なサイドデザインを入れ、新型HVパワーユニットを設定し、4輪操舵(4WS)とこのクラスのジャーマンプレミアムには考えられないほど力を入れてきているのに・・・。

  BMWのF30系は日本にディーゼルを定着させる影の功労者でした。BMWのアシストで一番助けられたのが、マツダで欧州で絶賛されたディーゼルターボを日本に持ち込み、危機的な経営状況から脱することができました。BMWのおかげで、日本の高級車ユーザーが安心してマツダディーラーに足を運びました。日本での人気はまだまだ陰りを見せないBMWは日本メーカーの強力なライバルであると同時に、日本の「中型車」の進化に大きな貢献をしたブランドであります。V36スカイラインもアテンザも新型レクサスISもBMWの対抗車種として開発されました。

  そんなBMWだからこそ、さらなる新しいアイディアを4シリーズ登場に合わせて盛り込んでくれるか?という希望的憶測もあったのですが、F30からの車体サイズでの差別化がやや目立つ程度でした。1300mm台への低車高化、これはジャーマンプレミアムがしのぎを削る2ドアクーペの最重要項目のようです。先代のE92と比べてワイド&ロー方向に変更されていますが、アウディA5に完敗したスタイリングでの挽回を意図しているようです。

  この4シリーズで一番ポジティブだと感じる点は、435iという直6ターボのグレードが「残った」ことしょうか。F30系の日本導入モデルでは、南アフリアでの生産を効率化するために、直6ターボモデルが消滅しました。しかし4シリーズでは435iが主力グレードとして公開されていますので、ドイツ生産が継続されるようです。もちろん南ア?ドイツ?というのはナンセンスな話ですが、FRのプラットホームに拘っているのに純粋な6気筒モデルがないというF30セダンの状況は端から見ていて少々奇異に感じます。250ps以下もしくは4気筒のクルマをFRにするメリットはほとんど無いので、アクティブHVやM3の為だけにFRにしているというのがBMWの言い分です。116iなどが良く「クラス唯一のFR」と評されていますが、「唯一」というのは「ナンセンス」と同義です。

  いよいよBMWも1・3シリーズを担当する「L7プラットホーム」の後継にはミニの設計を使ったFFを準備していると言われています。かつては中型車の雄として北米でホンダと火花を散らしたBMWには、その「復活」ののろしとして、上級モデル用のL6プラットホームを使った「中型車」をこの4シリーズに充当してほしかったと思います。直6ツインターボで前輪にDWBを備えた「440i」なるグレードを今後は期待したいと思います。

  
↓10月号はBMW特集でした。430d(3Lディーゼルターボ)もあるそうです。
  

435i試乗動画はこちらです⇒「自動車動画まとめブログ/BMW新型4シリーズクーペ試乗」

2013年9月11日水曜日

インプレッサXVハイブリッド 「クラウンHVより燃費悪いが・・・」

  アウトランダーPHEVという画期的なAWDのHV車が昨年に颯爽と登場し、業績不振に喘ぐ三菱に久しぶりに明るいニュースとなりました。三菱に負けじとライバルのスバルもよりスタイリッシュな都会型SUVに仕上げたインプレッサXVを発売しました。ゲリラ豪雨に豪雪が毎シーズン到来し、夏も冬もAWD車の必要性をひしひしと感じる日本の現状を考えるとどちらも画期的なクルマといえます。

  インプレッサXVは現行インプレッサが大々的に打ち出した「サイバー・デザイン」が、「都会的SUV」のデザインと相性が良い?ようで、新型車種にしてはかなり解りやすい仕上がりになっているようです。単体で見るとなかなか評価が分かれるデザインです。スバル+"やや"ポップというイメージを急に展開されても、ブランドイメージがすぐに変わるわけはなく、今は過渡期の真っ最中なのかなという気がします。

  クルマに「ポップさ」を求めることは、デザインに於いては良く有る話なのですが、こと賛否両論ある中でいつも全力で「スバルらしさ」を発揮してきたスバルが、唐突にややポップなデザインを出してくるとやはり戸惑ってしまいます。それでもスバル初のポップ・デザインは予想外にレベルが高く、初代日産マーチやVWビートル、BMWミニほど拘ったキャラ設定こそしていませんが、同じ都市型SUVのヒット商品である日産ジュークのデザインと比較すれば圧倒的に支持されるくらいの完成度はあります。

  サイバー・デザインと言えば、最近のメルセデスベンツもスバルと争うかのように積極的に取り入れている感があります。他社と比べて直線的なヘッドライトとグリルデザインで近未来的な乗り物デザインを志向している意図を強く感じます。ただ直線的なデザインは「色気がない」や「子供っぽい」といったネガティブな要素も醸し出すので、高度なデザインワークが要求されます。メルセデスの盟友である日産はこれとは逆に「曲線が複雑に絡み合う意匠」をフーガやスカイラインで多用し過ぎて、どこか締まりのない表情やサイドラインにやや混迷を感じたりもします。直線or曲線で方向性を決めてしまうのは、今後成長が望めない気もします(今後傑作デザインが登場する可能性もありますが・・・)。またメルセデスとスバルがデザイン的に近似する点も増えてきた結果、ややメルセデスの格調が失われたという意見も聞こえてきます。

  表題にクラウンHVより燃費が悪いと書きましたが、これは歴然たる事実です。ほぼすべての速度帯、走行条件に於いて数字が下回っています。2WDのクラウンHVは後輪動力源をエンジンとその互換機能としてモーターを設置し、出力特性に応じて絶妙にバランスミックスして使うことで燃費を向上させます。これに対し4WDのインプレッサはモーターをエンジンのアシストつまり「スーパーチャージャー」的に使っているので、大きく燃費は伸びません。EV発進がデフォルトのトヨタ車に対し、スバルHVは始動時はエンジン発進をします。もちろん一旦停止からはEV発進するようですが、一番の売りはEV発進ではなくエンジンの加速能力をモーターアシストで高めた時のスポーティな発進における燃費の良さです。瞬間的に3km/L程度に落ちる強烈な加速を、回生ブレーキを使ったモーターアシストに頼ることで軽減しています。スバルにとって見たらDITに変わる新しいエコ・モーター・チャージャーとでも言うべき機能です。

  いろいろ調べてみると、かなりスポーティなHVというスバルの予告通りのクルマになっているのですが、スバルの宣伝が完全にブレブレになっていることがやや残念です。一般的な印象としてもインプレッサXVハイブリッドが、WRXが積んでいるDITエンジンに比肩するパワーユニットだとは夢にも思いません。もちろんEJ20DITや最新鋭のFA20DITといったカリカリのスポーツエンジンともだいぶ距離があるのは確かなのですが、トヨタアクアとWRXのどちらに近いかと言えばWRXにやや近い!となら宣言しても問題ない立ち位置だと言えます。

  ホンダがこのクルマを作ったならば鬼の首を獲ったかのように、「スポーティHV完成!」と大々的にプロモーションすると思いますが、スバルにとっての「スポーツ」とはとてもじゃないがこんなレベルではない!とでも言いたそうな意地を感じます。それ故に他のブランドではもっとチヤホヤされていいくらいのクルマなのですが、スバル車である限りはなかなか扱いが地味なようです。まだまだスバルの開発の中枢部は「ロングストローク+ターボなんて子供だましのクソだ・・・」とでも考えているのでしょうか? スバルに言わせればBMWやメルセデスの現行モデルのほぼすべてが・・・!? やっぱりスバルはいいですね!
  

  ↓WRXは世界に誇る改造乗用車ですが、このXVハイブリッドも存在意義をもっとPRして良いのではと思ってしまいます。


  

2013年9月10日火曜日

輸入車ブログ: 輸入車の良さがわからないヤツは・・・心が腐っている!

輸入車ブログ: 輸入車の良さがわからないヤツは・・・心が腐っている!: 最近ではトヨタ・スバル・マツダといった国産メーカーがツボを心得た高性能車を次々と作るようになり、国産車と輸入車の立場にもはっきりとした変化が見られるようになってきました。とは言っても自動車ファンの間での印象でしかなく、一般の方々の意見をネット等で目にすると、日本車側も輸入車側...

2013年9月1日日曜日

トヨタSAIマイナーチェンジ 「ひそかな自信作では?」

  モリゾー社長の号令のもとトヨタの改革が進んでいます。去年のオーリス、カローラ、クラウンのFMCではまだまだ現場が付いていきていないバタバタした印象でしたが、今年になって期待のレクサスISを発表して、文句なしのDセグ最高水準の評判を勝ち得た勢いそのままに、同クラスのHV専用セダンSAIのマイナーチェンジがこれまたなかなか意欲的で好印象ですね。

  去年の後半からセダンをめぐる環境はかなり好転しています。新型アテンザの成功に引きずられるようにレガシィとマークXの販売台数も再上昇しています。乗り出し価格で400万円近くになるアテンザの価格上昇を受け、したたかなトヨタは一応以前から設定しているマークX”G’s”のプロモーションを強化して、高性能な3.5L搭載で420万円〜という絶妙な価格設定でアテンザを牽制しています。

  このマークX"G's"は一部で不評な「Xマーク」を外すという大英断が施されています。外観はFRスポーツの名車S15シルビアを一回り大きくしたようなスタイルで、トヨタらしからぬキャッチーなデザインになっていて、アテンザなどの新型車にも十分対抗できる目新しさがあります。さらにトヨタの3.5LエンジンはDセグにはパワフル過ぎる性能で、走りでもアテンザディーゼルを上回る爆発的な加速力を誇ります。つまり燃費以外(=走りの楽しさ)はアテンザにまったく負けていません。

  さらに質感と低燃費で勝負してきたアコードHVやメルセデスCLAに対抗して、今回はSAIに強烈なMCを施してきました。従来のSAIの弱点であったスタイリングが格段に向上していて、アコードやCLAに全くひけをとらない洗練されたものになっていて素直にビックです。あくまで推測ですがトヨタはこのSAIを特にCLAにぶつけてきたような気がします。わざわざナビをオプションにしてCLA180を下回る価格へと改訂し、もともと評判が良かった内装をさらにブラッシュアップして、決してメルセデスの後塵を拝することがない水準へと引き上げています。燃費・加速・足回りなどの基本性能もCLA180をきっちり上回っていて、トヨタとしては国内市場は絶対に譲らないという強い意志が感じられます。メルセデスが今後CLAにハイブリッドを持ち込んで400万円くらいで出しても負けないほどの完成度を誇っていると思います。

  SAIのコクピットを見れば、トヨタがこのクルマに懸けた想いを感じることができます。トヨタがここまで作り込んだ造形を見せるのは、兄弟車のレクサスHSを除くと1993年デビューの80系スープラが思いつくくらいです。80系スープラはリトラクタブルライトが廃止になり、やや中性的でマイルドな表情に変わりましたが、トヨタ渾身の3Lツインターボ(2JZ-GTE)と造形に優れた「スペシャル」なコクピットで人気を博しました。もちろん当時はGT-Rという世界的なスーパースポーツカーをライバルにしていたということもあってのコスト度外視の入魂だったようですが・・・。

  そんな歴史的名車にインスパイアされたかのような設計のコクピットを持つSAI/レクサスHSですが、冴えない外装と旧型ハイブリッドのせいもあってターゲットの高齢者にもまったく訴求しない残念なクルマとしてラインナップの片隅に放置されていました。HSの北米販売中止を受けてモデル消滅も止むなしと思っていましたが、トヨタの優秀なマーケティングは「大規模マイナーチェンジ」という判断を下してきました。

  クラウンやISではライバルと比べて価格が高くて(高いことに意味があるので仕方がないですが・・・)、十分に浸透しないと踏んで300万円台で収まるハイブリッドのDセグセダンを残すのはある意味当然の選択ではあります。BMW3とメルセデスCを総合的に出し抜いたレクサスIS、アテンザのスポーティユーザーに訴求するマークX"G's"3.5L、そしてアコードHV、メルセデスCLAとアテンザのエコユーザーへの需要を取込むSAI。強力な3モデルに加えて従来のトヨタユーザーをきっちり掴まえる新型クラウンとトヨタ陣営の強力なラインナップが揃った感があります。

  残るはアウディA4クワトロを叩くために、徹底的に外装をブラッシュアップしているという噂の新型レガシィを投入し、新たに参入するBMW4とインフィニティQ50クーペに対してレクサスRC(ISクーペ)をぶつける総力戦が展開されるようです。日産とトヨタのクーペ対決はお互いに厳重に情報管理を行っていて、特に日産はセダンとはまったく趣向の違うパネルデザインを見せると海外メディアに幹部が強弁しているようです。先に公表されているBMW4シリーズが霞んでしまうほどのスタイリッシュな対決が来年には見られそうです。