2013年6月5日水曜日

スバルWRX STI 「さらなる低価格化で入門車にまで敷居が下がるのか?」

  スバルが今年に予定している「WRX STI」のFMCで、いよいよ1.6Lターボを設定して200万円台後半のスポーツモデルに参入する見込みだ。スバルはすでにトヨタと共同で開発したBRZを200万円台で展開していて、同価格帯のスポーツモデルの追加によって、「日本のスポーツブランド」の主役の座を狙っている。

  長らく、日本車の「低価格4シータースポーツ」という免許取り立ての若者を魅了しそうなクルマは、各社のラインナップから消えてしまっている。いずれ復活すると言われ続けながらも、シルビアやプレリュードの復活はいまだ実現しておらず、昨年そんな「欲求不満」の市場に「86/BRZ」が投入されて、当然ながら快調なヒットを飛ばした。もちろん新設計のスポーツカーを作って売り、たとえ86くらいヒットしたとしても、その利益はたかが知れている。それでも、「クルマを初めて買う層」にアピールできるのであれば、ある程度のリスクを侵しても参入するメリットは十分にあると思う。各社の戦略もここにきてだいぶ変化して来たように思う。

  スバルはBRZの成功に味をしめて、早くも低価格スポーツ第二弾として「WRX」に廉価グレードを投入することで、200万円台の「WRX」を若者が買う「人生最初のクルマ」として選んでもらおうという意図が感じられる。この「WRX」のベース車となる2012年モデルのインプレッサは、先代モデルに比べて、外装&内装で大幅な良化が図られデビュー当初から好評を博してきたモデルということで、スバルの鼻息もかなり荒いようだ。

  実際にハッチバックの「インプレッサスポーツ」は世界中のライバルと比べてもまったく遜色ないだけのスタイルを誇り、内装も欧州のプレミアムハッチバックとほとんど変わらないほどの出来になっている。ベース車のレベルの高さが従来の「WRX」とはハッキリと違うので、従来の400万円近くするクルマなのに内装が非常に安っぽいという「ネガティブ」な評価(究極の欠点)はかなり改善されるのではないかと期待できる。

  さらに従来の「WRX」は極限までターボ過給を施していて、2Lターボで燃費は10km/Lに届かない程度の「極悪燃費車」であった。これは3.7Lのスカイラインなどとカタログ上では同水準の数字だ。3.5~3.7Lの大排気量のセダンがことごとくハイブリッドモデルに軸足を移しているので、スポーツスペシャルモデルであっても、やはり「低燃費」のグレードを作る必要があったようだ。結果として、15km/L以上の良好な燃費となり、2LのNA車と同水準程度ならば、長距離のドライブカー(GTカー)としての性能も飛躍的に高まったといえる。ベースのインプレッサの2Lモデルならばカタログ燃費で18km/L程度の実力があるが、加速などの性能面でスポーツ走行への要求には不十分と見られてしまうようで、「1.6Lターボ」はベース車と2Lターボ車との大きな隔たりを埋める絶好のモデルだ。

  しかも総額で300万円を少し超えるくらいで買えるというのも魅力的だ。従来の2Lターボはスポーツ志向が強く、欧州のスポーツカーを凌ぐ動力性能の割に400万円で買える価格設定は「安い」といえるものだった。しかしMBやBMWのライバル車は性能こそ劣るが300万円の価格設定をしていて、インプレッサの「盲点」を付くかたちになっていた。今回投入される「1.6Lターボ」というスペックは明らかに、欧州の「プレミアムハッチバック」への対抗の意図してのものだろう。内外装のデザイン・動力性能・燃費・価格どれをとっても、他社のライバルモデルに劣ることはない素晴らしいグレードが設定された。従来の「スポーツフラッグシップ」としてのWRXの役割ではなく、「スバル車」の素晴らしさを手軽に味わえる「入門車」として、スバルのクオリティカー戦術の中枢を担っていく定番車に成長していきそうだ。


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