ホンダアコードHV

  日本のセダン市場はホンダの予測とは裏腹に、一時期の低迷を脱出し上昇カーブを描き始めたようです。2008年にレクサスに対抗してホンダはアキュラブランドの日本投入を計画しましたが、日本市場でのセダンの低迷とライバルのレクサスの大不振を受けて、計画を撤回しました。2008年当時のセダン主体のアキュラブランドは日本には不要との判断はとても妥当なものだったと思います。その後、日本はリーマンショックと東日本大震災に見舞われて、ホンダの予測通り2008年頃に発売されたトヨタ・日産・スバル・マツダ・スズキのセダンはいずれも素晴らしい出来だったのですが、揃って「討ち死」していきました。

  GH系アテンザやV36スカイラインは間違いなく「名車」に分類されるクルマだと思いますが、悲運なことに日本でのセールスは散々なものでした(どちらも海外ではかなり好調でしたが)。その結果、日産はセダン開発そのものを北米に移管してしまい、マツダは円高による経営危機から株価が低迷し「破綻」が噂されたほどでした。死に体となったマツダが社運の全てを懸けて開発したのが新型アテンザで、マツダにとっては良くあることですがこのクルマ(あとCX-5)によって徐々にマツダの業績は好転しつつあるようです。それと同時に日本市場に「セダンブーム」が生まれつつあります。

  さて「先見の明」があったはずのホンダですが、日本市場が思わぬ回復を見せているのを横目に、日本では軽自動車の開発に勤しんでいます。2008年からのホンダは、クルマ雑誌には叩かれて、日本経済新聞にはその経営モデルの妥当性(軽への転換は好判断)が多いに評価されていたりとやや複雑な状況ではあります。ただ高級車の販売となると、ブランドが持つ「正当性」みたいな要素が販売に絡んだりするようで、アキュラを引っ込めた日本市場ではホンダのアッパークラスのクルマが揃って低調になりました。レジェンド・インスパイアは2012年を持って撤退し、エリシオンやオディッセイはトヨタのミニバンとは違ってサスをダブルウィッシュボーンにするなどクオリティ路線だったのですが、こちらも低迷しています。日本市場を見放したホンダに対して、熱心なクルマファンからは厳しい反応が見られるようです(知り合いの美容師さんは、インテRとアコードを乗り継いだホンダファンですが、今はアルファードに乗ってます)。

  そんなホンダが今年、久しぶりにセダンの新型モデルを発売します。トヨタのカムリのヒットに習って、北米での対抗車種の新型アコードをHVモデルのみ日本で発売するようです。カムリのライバルだけあって、スペックも価格もカムリとほぼ一緒でとくに大きなポイントがないのが残念ですが、このクラスのセダンでは驚異的な燃費を誇っていたカムリをも上回る燃費性能を持っているようです(これだけでも買う価値はありますね)。ただこのアコードHVの投入が、燃費以外に熱心なクルマファンに訴える要素を持っているわけではなく、ただラインナップの空白をそこそこ売れるクルマで埋めただけの消極的なイメージが拭えません。F1やNSX、シビックRと話題こそ振りまいていますが、日本のファンは冷めきっていることを真摯に受け止めて、日本市場をきっちり向いたホンダらしいクオリティカーを開発してほしいと思います。

↓ホンダの名が泣いている。F1ではなくて、スゴい足回りのシビックを発売してくれればいいのだが・・・。(この本を読むとホンダファンになっちゃうのですが、今のラインナップだとリアリティないな・・・)


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